EPC(Effective Perinatal Care:効果的な周産期ケア)研修を実施しました。

2018年11月5日

プロジェクトが対象とする6か所の市および郡中央病院に、EPC研修を実施しました。研修内容は、周産期ケアを包括的にカバーし、特に緊急産科と新生児蘇生に重点が置かれているものとなっています。本研修には、各市/郡中央病院より、1)産科医、2)新生児科医(いない病院は小児科医)、3)蘇生医(日本の麻酔医と救急医を併せた資格)、4)助産師、5)新生児ケア専門看護師が参加し、研修は異なる職種の5名でチーム編成し実施しました。通常タジキスタンでは、研修は専門職ごとに行われるため、複数の専門職をチームとして参加させる研修方法については、保健社会保護省との調整に多大な時間を要しました。しかしその結果、国内で初めてマルチ・タスク・アプローチという名称でチーム研修を行いました。

研修は理論と実践のアプローチを採用し、講義の後に第一産科・周産期研究所(Science and Research Institute on Obstetrics, Gynecology and Perinatology、国立第一産科病院を併設)での取り組みを見学する方法で進められました。例えば、院内感染対策の講義終了後には、第一産科病院の洗濯室、滅菌室、分娩室、焼却所を観察し、現場での取り組みを学びました。パルトグラム(分娩経過図)については研修初日に講義が組み込まれていましたが、図作成に慣れていない参加者が多数いたことにより、2日目以降も10分程度の演習を毎日続けました。このように、参加者の能力に応じた柔軟な研修の進め方に講師チームも対応してくれて、6か所すべての市および郡中央病院に研修を行うことができました。さらに、理解が追いつかず、研修についてこられない郡があることが研修開始後に判明したこともあり、保健社会保護省の許可を得た後、研修講師とプロジェクトが相談して、研修プログラムを改訂したこともありました。

また、臨床面の講義実習のみならず、各病院の状況に応じた治療方針の立て方や、提供する医療サービスの質向上のための計画の立て方も、研修講師チームより学びました。研修参加者は今後、自分たちの病院内の機材・物品の配置換えをしたり、内部研修の実施に向けた準備をしたり、研修で作成した治療方針を他のスタッフと共有したりして、研修内容を自分たちの病院で実践することが期待されています。

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パルトグラム記載・読解実習の様子(参加者はクショニヨン郡中央病院の医療従事者)

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新生児蘇生法実習の様子(参加者はムミノバード郡中央病院の医療従事者)