プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)県農業開発計画(DADPs)灌漑事業推進のための能力強化計画
(英)Technical Cooperation for Capacity Development for the Promotion of Irrigation Scheme Development Under the District Agricultural Development Plans(DADPs)

対象国名

タンザニア

署名日(実施合意)

2010年10月22日

プロジェクトサイト

農業・食料安全保障・共同組合省 灌漑技術サービス局(ダルエスサラーム)、ゾーン灌漑技術サービスユニット(以下、全国の7つのゾーン;キリマンジャロ、モロゴロ、ムトワラ、ムベヤ、セントラル、タボラ、ムワンザ)及び全国の県及び一部の灌漑地区

協力期間

2010月12月10日から2014年6月8日

相手国機関名

(和)農業・食料安全保障・共同組合省
(英)Ministry of Agriculture, Food Security and Cooperative(MAFC)

背景

タンザニア(以下「タ」国)における農業は、GDPの約25%以上、輸出総額の約4割程度を占め、人口の3分の2の生計を支えている基幹産業であるが、大部分が天水に依存する小規模生産形態であり、干ばつ等の自然条件の変動に農業生産が大きく左右されている。灌漑開発は農業生産を改善するための重要な手段であり、農村地域における貧困緩和に対して効果的なアプローチの一つであると捉えられている。

「タ」国における灌漑開発事業は、かつて中央の農業・食糧安全保障・協同組合省灌漑技術サービス局(以下DITS)及びDITSの地方の出先機関である灌漑ゾーン事務所(全国7ヶ所)の管轄下にあったが、2002年に策定された「農業セクター開発プログラム(以下ASDP)」において、雨水利用による灌漑事業や既存灌漑施設の改修事業などの小規模灌漑事業(500ha以下)は、ASDPに基づき県ごとに策定される「県農業開発計画」(以下DADPs)に沿って、県が事業主体として実施することとなった。

ASDPの予算の約8割は、世界銀行、国際農業開発基金(IFAD)を始めとする各ドナーが資金を拠出するバスケットファンドにより確保されており、地方分権化の流れに従いASDP予算の75%はDADPに基づき地方に配賦されることとなっている。特に灌漑開発に関しては県灌漑開発基金(DIDF)が別途立ち上げられており、世界銀行がASDPバスケットへの拠出とは別にDIDFに拠出を行っている。このように、各県は小規模灌漑事業を実施することとなり資金も確保されたものの、県の灌漑技術者の数や経験・能力不足がボトルネックとなり適切な灌漑開発が進まない状況にある。

日本は、灌漑開発推進のための体制強化および灌漑開発人材の能力強化のため、2001年から2004年まで開発調査「全国灌漑マスタープラン調査」を実施し、「タ」国全国を対象とした灌漑開発マスタープラン(以下M/P)と行動計画を策定するとともに、実証調査を通じて、「DADPs灌漑案件形成ガイドライン」の策定と灌漑開発に関するデータベースの構築に取り組んだ。

このM/P調査で策定されたガイドラインの現場での活用を促進させ、小規模灌漑事業の質の向上を図るため、JICAは2007年2010年まで技術協力プロジェクト「県農業開発計画(DADP)灌漑事業ガイドライン策定・訓練計画」を実施した。具体的には、上記ガイドラインの改定を行うと共に1)施工管理、維持管理及び研修を追加した「DADPs包括的灌漑事業ガイドライン」の策定 2)県の事業実施を技術的に支援する灌漑ゾーン事務所の能力強化 3)灌漑ゾーン事務所による訓練を通じた県灌漑技術者の灌漑事業実施能力強化の支援について対象4灌漑ゾーンを中心に行った。

同プロジェクトはDIDFへの案件申請数や採択数の増加、また灌漑面積の拡大等着実に成果を上げていることが確認されたが、1)「DADPs包括的灌漑事業ガイドライン」の全国普及 2)さらなる灌漑事業推進のための県灌漑技術者の施工管理能力の強化 3)灌漑組合による運営維持管理能力の強化等の課題も明らかになった。それら課題を解決することを目的とした技術協力プロジェクトが「タ」国政府から要請され、2010年10月に「日」・「タ」双方間で実施署名が行われた。

目標

上位目標

DADPsによる灌漑開発が改善・推進される。

プロジェクト目標

全7灌漑ゾーン事務所およびプロジェクトがトレーニングを実施した県の灌漑技術者、灌漑地区の灌漑組合(IO)の灌漑事業実施能力が強化される。

成果

  1. 「DADPs包括的灌漑事業ガイドライン(GL)」に沿った灌漑ゾーン事務所及び県灌漑技術者による灌漑開発の実施(計画立案、組織設立、F/S、設計、入札、契約管理及び施工管理)支援体制が強化される。
  2. 「DADPs包括的灌漑事業ガイドライン(GL)」に沿った灌漑ゾーン及び県レベルの灌漑技術者による灌漑組合(IO)への灌漑施設の維持管理実施支援体制が強化される。

活動

1-1.
灌漑開発の実施にかかるGLの普及・定着のため、講師となる灌漑ゾーン事務所技術者への研修を実施する。
1-2.
灌漑ゾーン事務所技術者により県灌漑技術者に対する研修を実施する。
1-3.
県灌漑開発基金(DIDF)申請案件の選定/優先順位付けプロセスにおいて、灌漑ゾーン事務所を支援する。
1-4.
実施承認案件の中から施工管理モニタリングのための灌漑地区を選定する(各灌漑ゾーンに1ヶ所の灌漑地区選定を想定)。
1-5.
選定灌漑地区において、灌漑ゾーン事務所からの指導を受けながら灌漑開発を実施する県と灌漑組合を支援する。
1-6.
選定灌漑地区において、実施された灌漑地区開発の結果を共有するためのワークショップを実施する。
1-7.
選定灌漑地区での灌漑開発の実施を通じて得られた成果、課題及びその対応策を取りまとめる。
1-8.
灌漑地区開発のモニタリング・報告プロセス・仕組みを改善する。
1-9.
GLに沿って実施された灌漑地区開発の結果に基づき、必要に応じてGLの修正/更新を行なう。
2-1.
灌漑施設の維持管理にかかる、GLの普及・定着のため、講師となる灌漑ゾーン事務所及び県灌漑技術者に対する研修を行なう。
2-2.
維持管理や灌漑組合育成に関して、県灌漑技術者へ指導者研修 (TOT)を実施する灌漑ゾーン事務所を指導する。
2-3.
建設された灌漑地区の中から維持管理モニタリングのための灌漑地区を選定する(各灌漑ゾーンから1ヶ所の灌漑地区の灌漑組合選定を想定)。
2-4.
選定灌漑地区において、維持管理や灌漑組合育成に関して、県灌漑技術者へ実施研修(OJT)を行なう灌漑ゾーン事務所を指導する。
2-5.
選定灌漑地区において、灌漑ゾーン事務所の指導を受けながら灌漑地区を維持管理する県と灌漑組合を支援する。
2-6.
選定灌漑地区において、県灌漑技術者により灌漑組合に対して実施される研修の実施支援をする。
2-7.
選定灌漑地区で実施された維持管理事業の結果を共有するためのワークショップを実施する。
2-8.
選定灌漑地区での維持管理実施を通じて得られた成果、課題及びその対応策を取りまとめる。
2-9.
GLに沿って実施された灌漑地区維持管理事業の結果に基づき、必要に応じてGLの修正/更新を行なう。

投入

日本側投入

  • 長期専門家:4名(総括/灌漑政策、灌漑施工監理、参加型灌漑維持管理/組織育成、業務調整/研修促進)
  • 短期専門家:活動計画に沿い、必要に応じて派遣する。
  • 在外事業強化経費:実証事業実施、研修に係る一部経費等
  • 供与機材:車両、事務・測量機器(GPS)等
  • カウンターパート研修:本邦あるいは第三国研修

相手国側投入

  • タスクメンバーの配置:約20名
  • 水・灌漑省、灌漑ゾーン事務所及び対象県における作業場所及び施設・機材
  • ローカルコスト負担