プロジェクト概要

プロジェクト名

デング感染症等治療製剤研究開発プロジェクト

対象国名

タイ

プロジェクトサイト

バンコク、ノンタブリ

署名日(実施合意)

2009年7月3日

協力期間

2009年7月15日から2013年7月14日

相手国機関名

タイ保健省医科学局(Department of Medical Sciences, Ministry of Public Health)、マヒドン大学熱帯医学部(Faculty of Tropical Medicine, Mahidol University)、マヒドン大学理学部(Faculty of Science, Mahidol University)

背景

昨今、我が国の科学技術を活用した地球規模課題に関する国際協力の期待が高まるとともに、日本国内でも科学技術に関する外交の強化や科学技術協力におけるODA活用の必要性・重要性がうたわれてきた。このような状況を受けて、2008年度より「地球規模課題に対応する科学技術協力」事業が新設された。本事業は、環境・エネルギー、防災及び感染症を始めとする地球規模課題に対し、我が国の科学技術力を活用し、開発途上国と共同で技術の開発・応用や新しい知見の獲得を通じて、我が国の科学技術力向上とともに、途上国側の研究能力向上を図ることを目的としている。また、本事業は、文部科学省、独立行政法人科学技術振興機構(以下、「JST」)、外務省、JICAの4機関が連携するものであり、国内での研究支援はJSTが行い、開発途上国に対する支援はJICAにより行うこととなっている。

デング熱を始めとして、インフルエンザ、ボツリヌス中毒症などの再興感染症が、人口規模が大きい東南アジア地域に多く見られ、この地域から感染が国境を越えて拡大することが懸念されている。

本プロジェクトは、東南アジア地域における主導的立場にあるタイ国において、疫学的研究を通じてタイ国で重要と考えられる感染症を引き起こす病原体(デングウイルス、鳥インフルエンザを含むインフルエンザウイルス、ボツリヌス菌)に対する、ヒト型単クローン抗体を作製し、対象感染症の治療製剤開発に役立てようとするものである。また、デング出血熱に対して有効な、植物・昆虫由来細菌を含むタイ原産微生物からの新規機能物質の探索を行う。これらの共同研究を通じて、タイ保健省及び関連研究機関(国立衛生研究所(以下、「NIH」)、マヒドン大学等)の能力向上を図ることを目的とする。

目標

プロジェクト目標

共同研究を通じて、感染症、特にデング出血熱に対する治療薬に関するタイ研究機関の研究開発能力が向上する。

成果

1.タイ人及び日本人研究者が協働し、デング出血熱、インフルエンザ、ボツリヌス中毒症を対象とするヒト型単クローン抗体が作製され、有効性・安全性評価が実施される。

2.タイ人及び日本人研究者が協働し、デング出血熱に対して有効な、植物及び昆虫由来細菌を含むタイ原産微生物からの新規機能物質が探索され、有効性・安全性評価が実施される。

3.生物製剤等の研究体制及び薬事対応体制が整備される。

活動

  • 1-1.デングウイルス ヒト型単クローン抗体の作製と有効性・安全性評価
    • 1-1-1.検体を採取し、選別を行う。
    • 1-1-2.デング感染症患者から得た検体を用いてヒト型単クローン抗体候補物質を作製する。
    • 1-1-3.ヒト型単クローン抗体のデングウイルス中和活性を判定する実験系を確立し、候補物質のスクリーニングを実施する。
    • 1-1-4.デングウイルスに対するヒト型単クローン抗体の有効性・安全性評価のための動物実験系を確立し、最終候補物質を同定する。
    • 1-1-5.ヒト型単クローン抗体IgG可変領域のクローニング実験系を確立し、遺伝子組み換え抗体IgGを作製する。
    • 1-1-6.チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞及び植物バイオテクノロジーを用いたヒト型単クローン組み換え抗体IgG発現系を確立する。
  • 1-2.インフルエンザウイルス ヒト型単クローン抗体の作製と有効性・安全性評価
    • 1-2-1.検体を採取し、選別を行う。
    • 1-2-2.インフルエンザ患者から得た検体用いてヒト型単クローン抗体候補物質を作製する。
    • 1-2-3.ヒト型単クローン抗体のインフルエンザウイルス中和活性を判定する実験系を確立し、候補物質のスクリーニングを実施する。
    • 1-2-4.インフルエンザウイルスに対するヒト型単クローン抗体の有効性・安全性評価のための動物実験系を確立し、最終候補物質を同定する。
    • 1-2-5.ヒト型単クローン抗体IgG可変領域のクローニング実験系を確立し、遺伝子組み換え抗体IgGを作製する。
    • 1-2-6.CHO細胞を用いたヒト型単クローン組み換え抗体発現系を確立する。
  • 1-3.(ボツリヌス毒素 ヒト型単クローン抗体の作製と有効性・安全性評価)
    • 1-3-1.タイでアウトブレイクを引き起こす可能性のあるボツリヌス菌のタイピングを行う。
    • 1-3-2.ヒト型単クローン抗体のボツリヌス毒素中和活性を判定する実験系を確立し、候補物質のスクリーニングを実施する。
    • 1-3-3.ヒト型単クローン抗体IgG可変領域のクローニング実験系を確立し、遺伝子組み換え抗体IgGを作製する。
    • 1-3-4.CHO細胞を用いたヒト型単クローン抗体発現系を確立する
  • 2-1.植物及び昆虫由来細菌を含むタイ原産微生物からの抽出物を既存物質のデータベースと照合することにより、新規物質の同定を行う。
  • 2-2.新規物質から抗デングウイルス活性を有する新規機能物質を選別する。
  • 2-3.候補物質の有効性・安全性評価のための動物実験系を確立し、最終候補物質を同定する。
  • 3-0.研究実施活動のための実験室を整備する。
  • 3-1.研究課題ごとの標準操作手順書を整備する。
  • 3-2.作業部会を組織し、2ヵ月に月1回、研究の進捗、成果、安全管理について協議する。
  • 3-3.各タイ及び日本人研究者が研究進捗報告書を月1回作成する。
  • 3-4.年間研究実施計画書を作成する。
  • 3-5.生物製剤等の非臨床試験及び臨床試験実施要領が整備される。
  • 3-6.GLP に係る訓練及び指導を実施する。

投入

日本側投入

  • a. 専門家派遣
    • 長期専門家:業務調整
    • 短期専門家:チーフアドバイザー、ウイルス実験、細菌実験、新規物質検索、細胞操作技術、遺伝子操作技術など
  • b. 機材供与
    • 単クローン抗体作製・スクリーニング・細胞操作・遺伝子操作用実験機器、新規物質検索用実験機器
  • c. 研修員の受け入れ
    • 本邦研修

相手国側投入

  • a. カウンターパート配置
  • b. 施設および資機材
    • 国立衛生研究所内、マヒドン大学熱帯医学部及び理学部内事務スペース
    • 保健省医科学局内の既存バイオセーフティレベル(BSL)2実験室
    • マヒドン大学熱帯医学部内のBSL-2実験室スペース
    • マヒドン大学熱帯医学部内実験室スペースの改修費
    • マヒドン大学熱帯理学部内の既存実験室スペース
  • c. 予算措置:研究活動のための経常経費

業務実施体制

タイ:
保健省医科学局国立衛生研究所が代表機関となり、マヒドン大学熱帯医学部、マヒドン大学理学部が参画する体制。
日本:
国立大学法人大阪大学微生物病研究所が代表機関となり、同大学生物工学国際交流センター、株式会社医学生物学研究所が参画する体制。