プロジェクト概要

プロジェクト名

熱帯地域に適した水再利用技術の研究開発プロジェクト

対象国名

タイ

プロジェクトサイト

バンコク

署名日(実施合意)

2009年3月31日

協力期間

2009年5月11日から2013年3月31日

相手国機関名

(和)環境研究研修センター(ERTC ; Environmental Research and Training Center)、チュラロンコン大学(ChulalongkornUniversity)、カセサート大学(Kasetsart University)

背景

昨今、我が国の科学技術を活用した地球規模課題に関する国際協力の期待が高まるとともに、日本国内でも科学技術に関する外交の強化や科学技術協力におけるODA活用の必要性・重要性がうたわれてきた。このような状況を受けて、2008年度より「地球規模課題に対応する科学技術協力」事業が新設された。本事業は、環境・エネルギー、防災及び感染症を始めとする地球規模課題に対し、我が国の科学技術力を活用し、開発途上国と共同で技術の開発・応用や新しい知見の獲得を通じて、我が国の科学技術力向上とともに、途上国側の研究能力向上を図ることを目的としている。また、本事業は、文部科学省、独立行政法人科学技術振興機構(以下、「JST」)、外務省、JICAの4機関が連携するものであり、国内での研究支援はJSTが行い、開発途上国に対する支援はJICAにより行うこととなっている。

タイ国は、工業化や都市化、モータリゼーションの進行を背景に、水資源の脆弱性や衛生的で安全な水の確保、水質保全の課題を抱えている。タイ国政府は水のビジョンにおいて、「2025年には、市民参加の下、効果的で持続可能かつ公平な水利用を達成する水経営により、タイ国全土にわたり十分な水の供給を実現する」としており、天然資源環境省を中心にその抜本的解決を図ることを目指しているものの、都市用水や工業用水においては水資源の脆弱性の課題は解決しておらず、水使用の合理化や再利用を進める施策の実現が必要とされている。未処理の排水を浄化して水汚染を解消すれば、身近に利用できる水資源の量も増え、健全な水経営の第一歩を踏み出すことができることから、同方面の研究を進める必要性が高まっている。このような中、熱帯地域に適した水再利用技術の研究開発が地球規模課題対応国際科学技術協力案件としてタイ国政府から要請された。

上記の研究をタイ国の研究機関(環境研究研修センター、チュランロンコン大学工学部、カセサート大学工学部等)と日本の東京大学等が共同して地球規模課題となっている水資源の脆弱性の解消と安全な水の確保に資する熱帯地域に適した水再利用技術の研究開発を行うことは、日本、タイ国双方にとって有益な水利用研究体制の確立に寄与するものであるとの認識から、本案件が採択され、同案件の詳細計画策定調査が2008年12月に実施された。その後、2009年3月31日にR/Dの署名・交換がなされた。

プロジェクト目標

水資源の脆弱性の解消と安全な水の確保に資する熱帯地域に適した水再利用技術の研究開発を行う

成果

  1. 水再利用技術の研究・開発・普及促進に係わる制度的枠組みができる。
  2. 社会に実装されるための新たな省エネルギー型(エネルギー自立型)個別水再生・再利用システムが開発される。
  3. 社会に実装されるための新たな資源生産型(地球温暖化ガス発生抑制型)水再利用技術が開発される。
  4. 地域水再利用のための効果的な管理・モニタリング手法が開発される。

活動

  • 1-1. ERTCにおける水再利用技術研究開発センターの形成
  • 1-2. 水再利用技術の技術情報データベースの構築
  • 1-3. 水再利用システムのベスト・プラクティスの構築
  • 1-4. 水再利用技術とプロジェクトの情報の普及促進
  • 2-1. 計画と準備
  • 2-2. ベンチスケール及びパイロットスケール実験の実施
  • 2-3. 商業ビルの水再利用のためのプロトタイプシステムの運用
  • 2-4. リン回収システムに係わる研究開発の実施
  • 2-5. 長期運転による運用の最適化と維持管理手法の確立
  • 2-6. 汚泥流動シミュレーション及び性能評価動力学モデルの構築
  • 3-1. MFメンブレン利用の統合型嫌気フォトバイオリアクターの開発
  • 3-1-1. 光合成微生物成長、膜分離効果、バイオマス生成(歩留)に係わる最適運転条件決定のためのラボスケール及びベンチスケール実験
  • 3-1-2. 選定された食品工場でのMF装置利用のパイロットスケール・フォトバイオリアクターの建設と運転
  • 3-1-3. 処理性能の最適化と評価
  • 3-2. 廃棄物処分場浸出水処理のためのipMBR-ROの開発
  • 3-2-1. 有機廃棄物洗浄、メンブレン・バイオリアクター運転、RO性能に係わる最適運転条件決定のためのベンチスケール実験
  • 3-2-2. 選定された固形廃棄物処分場でのパイロットスケールipMBR-RO装置の建設と運転
  • 3-2-3. 処理性能の最適化と評価
  • 3-3. 食品工業排水からのエネルギー回収システムの開発
  • 3-3-1. 嫌気性処理に係わる研究開発の実施
  • 4-1. パイロット地域における既存データ・情報の整理・分析
  • 4-2. モニタリングに必要な設備の設置とモニタリング活動
  • 4-3. 水質情報プラットフォームの開発
  • 4-4. 健康と生態系に係わる水質リスク評価に係わる調査
  • 4-5. 水再利用技術導入の経済的インパクトの検討
  • 4-6. パイロット地域における最適な水再利用システムの設計
  • 4-7. 水再利用システムの設置と運転
  • 4-8. 再利用水の健康リスク評価モデルの開発

投入

日本側投入

日本国側投入 専門家:長期専門家1名、短期専門家11名

本邦研修:【短期】各年度あたり10名程度の研修員を想定、【長期】長期研修員1名

供与機材:本プロジェクトで実施する共同研究・開発項目に必要な水質分析・計測等に係わる基礎的な研究・開発用機材をERTC、チュラロンコン大学、カセサート大学それぞれに供与する。また、パイロットスケール実験とプロトタイプ実験に係わる設備を供与・建設・設置する。

相手国側投入

カウンターパート:プロジェクトダイレクター、プロジェクトマネージャーを含め、ERTCから9名の研究者、チュラロンコン大学から3名の研究者、カセサート大学から2名の研究者がカウンターパートとして参加する。

施設、機材等:ERTC内に専門家執務スペースを含めたプロジェクト本部用の事務室等をタイ側が用意する。チュラロンコン大学とカセサート大学もそれぞれ専門家用執務スペースを用意する。また、タイ側は本プロジェクト実施に必要な予算を手配する予定である。

実施体制

(1)現地実施体制

主要実施機関(責任機関)は天然資源環境省環境品質促進局(DEQP)下の環境研究研修センターとする。その他の実施機関はチュラロンコン大学工学部、カセサート大学工学部である。4つの成果の中で、成果2をチュラロンコン大学が、成果3をカセサート大学が、成果1と4をERTCがそれぞれ責任を持った上で、総合的な実施責任をERTCが担う体制とする。

なお、新たな水再利用技術の研究開発結果の利用促進を図り、将来的な制度的インパクトの発現を可能にするためにタイ側政府機関が数多く参加する合同調整委員会を形成し、効果的な情報共有とプロジェクトの有効性・インパクトの拡大を目指す。

(2)国内支援体制

国内支援体制としては、東京大学、東北大学、立命館大学、早稲田大学、山形大学の教員による日本側専門家チームがタイ側関係機関と共同研究・開発を実施する。日本側専門家チームの研究総括及び研究副総括は東京大学教員が担う。