プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)気候変動に対する水分野の適応策立案・実施支援システム構築プロジェクト
(英)Integrated Study Project on Hydro-Meteorological Prediction and Adaptationto Climate Change in Thailand (IMPAC-T)

対象国名

タイ

プロジェクトサイト

バンコクおよびチャオプラヤ河流域

署名日(実施合意)

2009年3月25日

協力期間

2009年5月11日から2014年3月31日(5年間)

相手国機関名

カセサート大学(Kasetsart University)
王立灌漑局(Royal Irrigation Department)
タイ国気象局(Thai Meteorological Department)

日本側協力機関

東京大学生産技術研究所、京都大学、東北大学、国立環境研究所、北海道大学、東京工業大学、福島大学

背景・概要

タイ国では、主要産業が農業であることに加え、近年の工業セクターの発展や生活様式の変化などによる水需要の急増と相まって、タイ経済の水資源への依存度が高まっている。同時にタイには、世界各地で解決が求められている典型的な水問題-洪水、干ばつ被害の増大、都市部地下水の過剰汲み上げによる地盤沈下、主要河川(チャオプラヤ川)の年流量の長期的な減少傾向、大規模貯水池(ダムを含む)の適切な運用の必要性、国際河川メコン川の支流におけるダム開発等などこれらの課題を解決するための適切な水資源管理情報に対する社会的ニーズはきわめて大きい。

加えて将来の気候変動からの影響に対応するためには、現在顕在化している問題への取り組みを強化するだけでなく、長期的な視点を加味した適応策の立案・実施が極めて重要となっている。その根拠となる気候変動による将来リスクを予測するためには、気候変動長期モニタリングや気候変動に伴う水循環変動に関する水文気象観測、ならびに水循環・水資源モデルの構築が不可欠となっている。

この様な背景を受け、的確な適応策の立案に資する将来の気候変動に伴う水循環変動とこれが水関連災害に与える影響の評価手法に関する研究開発を行うために、2008年度タイより技術協力の要請があった。これを受けてJICAは2009年1月に詳細計画策定調査団を派遣し、カセサート大学をはじめとするタイ国関係機関と協力内容について協議を行い、合意結果をまとめた討議議事録(Recordof Discussion:R/D)としてとりまとめを同年3月25日に署名した。

上位目標

本プロジェクトで構築されるシステムが気候変動や治水・利水に関連するタイ政府関係機関に活用される。

プロジェクト目標

治水・利水計画の立案から数時間先の洪水・土砂災害予測警報にも利用可能な水循環・水資源管理情報の提出が可能となるシステムの開発

成果

  1. 気候変動にかかる水文気象観測能力が向上する。
  2. 水循環と人間活動を統合した水循環・水資源モデルが開発される。
  3. 気候変動の影響と人間活動を考慮した水関連リスク評価手法が開発される。

活動

1-1
タイにおける気候変動の継続観測能力の強化にかかる分析レポートを作成する。
1-2
タイにおける気候変動モニタリングに関連する水文気象観測の優良事例をとりまとめる。
1-3
観測システムの開発・運用について、タイ側研究者および関係機関に有用な情報を取りまとめる。
1-4
準リアルタイム観測の実施のための観測所を選定し、テレメトリシステムを導入し、連続観測を行なう。
1-5
衛星画像、気象レーダー、雨量計およびメソ気象モデルを用いた準リアルタイム面的雨量マップ(1時間毎、10km四方)作成システムを開発する。
1-6
通常の水文気象観測では得られない特殊な水文気象データ(Flux、水質、土壌水分等)に関する集中観測を行なう。
2-1
水循環モデル作成に必要な情報の収集と検証を行なう。
2-2
水循環モデルの再現性を向上させる。
2-3
人間活動が水循環に与える影響に関する情報を収集し、水循環モデルに反映させる。
2-4
統合モデルの運用・管理について、タイ側研究者および関係機関に有用な情報を取りまとめる。
2-5
水文気象データ統合システムを開発し、シミュレーション結果をウェブ上に公開する。
3-1
水文気象データおよびシミュレーション結果が影響評価(インパクトアセスメント)に統合される。
3-2
現在および将来の災害ポテンシャルおよびリスク指数が定義される。
3-3
リスク評価および影響評価に方法書/解説書が作成される。
3-4
気候変動への適応策として、準リアルタイム・リスク指数が開発され、予警報システムに活用される。

投入

日本側投入

  • (a)専門家:
    • 長期専門家 1名(業務調整)
    • 短期専門家 11名(チーフアドバイザー、研究計画、水文気象観測、水文・人間活動モデリング、影響評価・リスク評価)
  • (b)研修員受入:5名程度/年×5年
  • (c)機材:統合システム用サーバー、気象観測機器(雨量計、水位計、土壌水分計他)、観測データ転送システム、Fluxシステム他

相手国側投入

  • (a)カウンターパート(C/P)
    • プロジェクト・ダイレクター:カセサート大学 学長
    • プロジェクト・副ダイレクター:カセサート大学 工学部長
    • プロジェクト・マネージャー:カセサート大学工学部 (前工学部長)
    • その他C/P:公害局、水資源局、王立航空農業降雨局、チュラロンコン大学、モンクット王工科大学トンブリー、ナレスアン大学、マハナコーン工科大学の関係職員
  • (b)施設、機材等
    • カセサート大学工学部における専門家執務室
    • TMDおよびRIDの気象・水文観測施設/関連データ、気象・水文観測機器設置場所、等