プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)環境汚染物質排出移動量登録制度(PRTR制度)構築支援
(英)The Development of Basic Schemes for PRTR System in Kingdom of Thailand

対象国名

タイ

プロジェクトサイト

バンコク(パイロットプロジェクト:ラヨーン県)

署名日(実施合意)

2010年7月8日

協力期間

2011年3月1日から2015年2月28日

相手国機関名

(和)天然資源環境省公害規制局、工業省工場局、工業団地公社
(英)Pollution Control Department, Ministry of Natural Resources and Environment(PCD), Department of Industrial Works, Ministry of Industry(DIW), Industrial Estate Authority of Thailand(IEAT)

背景

タイ国では、工業化や都市化の進行を背景に深刻な大気汚染問題を抱えている。この問題に対しタイ国天然資源環境省公害規制局(PCD)では、硫黄酸化物や浮遊粒子状物質などの伝統的な大気汚染物質について環境基準値を設け、バンコク首都圏を中心に全国でモニタリングを行い、大気汚染対策に取り組んでいる。

また、光化学オキシダントの生成の原因となる物質の一つとして知られている揮発性有機化合物への対策として、先般JICAが実施した「環境基準・排出基準設定支援プロジェクト(揮発性有機化合物:VOCs)」(2006年2月〜2008年2月)では、対象となる大気汚染物質の体系的なモニタリングを実施し、環境基準の設定を図った。このプロジェクトによりVOCs対策は一定の成果を挙げたことから、現在タイ国は対策の次のステップである、化学物質のリスクの包括的管理や環境情報の提供、普及について取り組み始めた状況にある。

一方、石油化学コンビナートが中心となるマプタプット工業団地では、原因不明の大気汚染で隣接する小学校の児童・教師数十人が緊急入院するという事件(以下マプタプット問題)が起きている他、地域住民から悪臭に対する苦情が多発しており、行政および工業団地内企業に対して地域住民が訴訟を起こすなど、環境政策に対して強い社会的圧力がある。しかしPCDは、タイ国内の化学物質排出量・移動量を把握できず、策定した環境基準に基づき化学物質対策を継続的に実施できるような状況にはない。

以上の背景からタイ国政府は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、化学物質による環境保全上の支障を未然に防止するため、社会、文化等の類似点が多く、PRTR制度の経験・知見が豊富な我が国に対して、PRTR制度構築支援に関する技術協力プロジェクトを要請し、わが国政府は本要請を採択した。詳細計画策定調査の協議議事録(M/M)の署名は2010年4月1日に、討議議事録(R/D)の署名・交換は2010年7月8日に行われた。

目標

上位目標

環境汚染物質排出移動量届出制度が確立され、実施される。

プロジェクト目標

PCD及びDIWスタッフの能力が、PRTR調査をプロジェクト対象地域で実施する上で必要な水準まで強化される。

成果

  1. タイにおけるPRTR制度の基本設計が立案される。
  2. 事業所の排出量届出制度が策定される。
  3. 点源の排出量・移動量集計のための能力が強化される。
  4. 非点源の排出量推計のための能力が強化される。
  5. 初期評価を含めたPRTRデータ利用の重要性が理解される。
  6. リスクコミュニケーションの重要性が理解される。

活動

1-1
基本設計の作成(基礎調査、サンプル調査、パイロット調査の実施に向けた対象化学物質及び業種の選定、パイロット調査の実施計画レポート)
1-2
プロジェクトのための情報収集
1-3
プロジェクトのアクションプラン策定
1-4
PRTR制度の基本設計作成
1-5
パイロット調査の実行
1-6
PRTR制度の推進に向けた実行計画策定
1-7
最終セミナーの準備・発表
1-8
成果1のサマリーレポート作成
2-1
点源の対象となる対象業種、事業規模の選定
2-2
準備段階の届出書式、届出制度の構築
2-3
届出書式、届出制度に関する啓蒙セミナー
2-4
届出書式の送付
2-5
パイロットエリアにおける届出制度の適用
2-6
届出データの収集、整理
2-7
外部公表方法の決定
2-8
タイ国全土に適用するための書式案、届出制度案の策定
2-9
成果2のサマリーレポート作成
3-1
点源排出量集計マニュアル(素案)の作成
3-2
政府関係者及び関係機関を対象にした、点源排出量の集計能力強化
3-3
政府関係者及び関係機関向けワークショップによる、集計マニュアルのための能力強化
3-4
届出データの収集、整理、データベース作成
3-5
パイロットエリアにおける点源排出量の集計
3-6
点源排出量集計マニュアル(改訂版)の作成
3-7
排出量集計能力強化のための工場ワークショップ
3-8
成果3のサマリーレポート作成
4-1
非点源排出量推計対象カテゴリーの選定
4-2
排出係数及び活動量データの基本情報収集(例、自動車交通量、塗料統計、農薬統計)
4-3
非点源排出量推計マニュアル(素案)の作成
4-4
政府関係者及び関係機関を対象にした、非点源排出量の推計能力強化
4-5
パイロットエリアにおける非点源排出量の推計
4-6
非点源排出量推計マニュアル(改訂版)の作成
4-7
政府関係者及び関係機関を対象にした、非点源排出量推計ワークショップの実施
4-8
成果4のサマリーレポート作成
5-1
初期評価を含むPRTRデータ利用に関する、国内外のケーススタディ紹介
5-2
PRTRデータ活用に向けたモデル(例、濃度モデル)やツールの利用及び可能な開発
5-3
PRTRデータを活用した(対象業種の初期評価を含む)ケーススタディの実施
5-4
政府や民間を対象にした、初期評価を含むPRTRデータ利用のためのモデルトレーニング
5-5
成果5のサマリーレポート作成
6-1
政府関係者及び関係機関を対象にした、リスクコミュニケーション手法の能力強化
6-2
政府関係者及び関係機関を対象にした、リスクコミュニケーション・ワークショップの実施
6-3
成果6のサマリーレポート作成

投入

日本側投入

  • 以下の分野の専門家の派遣
    1. 総括/環境汚染物質排出移動量届出制度の設計
    2. 化学物質管理
    3. 点源排出量推計/点源排出量届出システム構築
    4. 非点源排出量推計
    5. 社会配慮及びリスクコミュニケーション
  • 「環境汚染物質排出移動量届出制度」に関する本邦研修の実施(2〜3名/年)

相手国側投入

  • 事務所スペースの提供及びプロジェクト実施に必要なローカルコストの負担
  • カウンターパートの配置