モデルサービス効果測定調査のキックオフ会議が開催されました。

2014年3月13日

LTOPプロジェクトでは開発中の介護モデルサービスの効果を定期的に調査し、エビデンスに基づく介護サービスの構築を目指しています。プロジェクトでは高齢者介護の研究を専門とするタイ人研究者と日本人研究者が協力し、タイでのフィールド調査にかかる倫理、主観的な尺度と客観的な尺度に対する考え方等の知見と経験を織り交ぜながら、何度も議論を重ねて調査技法が話し合われ、開発されてきました。

そして2014年2月5日(水)、効果測定調査のキックオフ会議が開催され、ワーキングチームへ調査方針と手法、スケジュールの説明会が行われました。

タイ側研究者であるチュラロンコン大学医学部スティチャイ教授は、このように効果検証したうえでサービスを定期的に改善していくプロジェクトは世界でも希少かつ大変貴重であると強調した上、現場の事象を把握し、かつ可能な限り現場に負担がかからぬ効率性を鑑み開発したツール、高齢者フォルダ(Community Long-term Care Personal Folder)の説明を行いました。

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高齢者フォルダの説明を行うスティチャイ教授

高齢者フォルダとは、各サイトのケアマネジャーが高齢者の状況を把握・管理するためのツールです。効果測定は高齢者フォルダからの情報と、調査チームが実施する質問紙調査の分析を通じて行われます。またそれらのデータ分析が行われた後、調査チームは再度サイトを訪問してフォーカスグループインタビューを行い、質的データを収集しながら介護サービスシステム改善に向けた現場へのフィードバックが行われる計画です。

現時点での調査概要と調査手法と以下の表にまとめてみました。

効果測定調査の概要(2014年2月5日時点)
6サイトの対象者 指標 調査方法
要介護高齢者 要介護状況(ADL等)、経済的な状況、QOL、モデルサービス満足度 ケアマネジャーが記入する高齢者ファイル、質問紙
介護者(主に家族) 介護負担度、QOL、介護者の知識・技術、モデルサービス満足度 質問紙及びフォーカスグループインタビュー
プロジェクトで育成中のケアマネジャー ケアマネジメント力、モデルサービス満足度 質問紙及びフォーカスグループインタビュー
プロジェクトで育成中のケアワーカー 介護力、モデルサービス満足度、業務量(費用対効果) 質問紙、介護日誌及びフォーカスグループインタビュー
地方自治体 モデルサービス満足度 フォーカスグループインタビュー

スティチャイ教授が「調査の為の調査ではなく、現場に還元する為の調査にしよう」との掛け声の中キックオフ会議は無事終了。2月下旬には各サイトから現場のケアマネジャーを招聘し、調査方法説明会を開催予定です。

【画像】スティチャイ教授、議長の榎本チーフアドバイザーと各プロジェクトサイト担当者との集合写真