中間評価を実施しました

2015年6月19日

2015年5月20日から15日間かけて中間評価を実施しました。

中間評価の目的は、1.プロジェクトの活動実績 2.5項目評価による成果達成度の分析 3.評価に基づく提言をするというものです。

調査は、JICA人間開発部、コンサルタント、有識者からなる7名で実施されました。タイ側カウンターパートと共に6つのプロジェクトサイトにて現地調査、高齢者介護サービス提供者へのインタビューを行い、調査結果を基にカウンターパートと現況を共有するとともに今後の活動について協議を重ねました。

主な評価結果は以下の通りです。

(1)成果及び目標達成度

活動はほぼ計画通りに進捗しており、以下の提言を関係省庁やプロジェクト関係者により遂行することで、プロジェクト目標を達成する見込みである。

(2)5項目評価

妥当性・有効性:「高い」 効率性:「中程度」 インパクト:「正のインパクトが見られる」 自立発展性:「ある程度期待できる」

(3)提言

1)タイの現在の社会情勢、地域における介護ニーズに適合したサービス提供するため、必要とされる介護サービスの機能を明らかにした上で、現行のモデルサービスにおけるケアマネージャーとケアワーカーの役割規定について改めて議論すべきではないか。それをやるためには、地域において介護に実際に携わるプレーヤー(家族、ボランティア、専門職等)の役割も同時に議論される必要がある。

2)今後、タイでますます急速に高齢化を迎え、家族構造、社会条件も変わっていくと見込まれる。したがって将来的にも持続可能な介護の仕組みを検討する必要があり、そのためには、将来の介護ニーズを数値的に具体的な必要規模を把握しておくことが重要である。具体的には、75歳以上高齢者人口の増加のピークを迎える15年後をターゲットにして、全国レベルでの高齢者数や要介護数の推計、それに伴う介護人材の規模等を推計した上で、介護人材の確保策も含めた適切な介護の仕組みについて、中央レベルで議論する必要がある。そのため、LTOPにおいては、プロジェクトサイトごとに、中央レベルの関係者が、各プロジェクトサイトの関係者とともに、現行モデルサービスの改善方策や課題を議論するのみならず、持続性の観点から、地域特性にあった介護サービスのあるべき像と、それを実現するための課題を議論する必要がある。具体的には、75歳以上高齢者人口の増加のピークを迎える15年後をターゲットにして、全国レベルでの高齢者数や要介護数の推計、それに伴う介護人材の規模等を推計した上で、介護人材の確保策も含めた適切な介護の仕組みについて、中央レベルで議論する必要がある。

3)効果測定調査の第2回情報収集(2015年6月・7月を予定)の機会を利用し、中間地点として現在のサービス提供の実態を正確に把握し、投入量と、本人及び家族介護者の満足度および介護負担を把握し、プロジェクトサイト毎に整理した上で、後半のモデルサービス改善に活用するとともに、政策提言を検討する際の基礎資料とすることが望ましいだろう。

4)今後の政策提言の取りまとめに向けて、保健省を含むタイ政府が現在進めている介護人材育成や地域のケアシステムの開発の方向性を十分把握した上で、カウンターパート及び日本人専門家もLTOPの取り組みを関係機関と共有しつつ、政策提言の検討を行うべきである。

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評価レポートの交換式 JICAタイ事務所にて(2015年6月3日)