サイトVOICE I“The love in form of long-term care” バンコクサイトより

2015年10月19日

6回のシリーズでLTOPの6サイトで活動するメンバーからの声をお届けします。
第1回目はバンコクサイトのソーシャルワーカーのNipa Juansom(通称Aey)さん(左)と看護師のNuttita Panyacom(Jung)さん(右)からのお便りです。

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Aeyはバンコクにあるディンデーン高齢者サービスセンターでソーシャルワーカーとして、Jung はヘルスセンターで看護師として働いています。二人ともJICA LTOPプロジェクト、バンコクサイトのケアマネージャーとして活動しています。

今回は私たちがケアしている、ある高齢者ご夫妻についてご紹介します。
奥様のSomjitさん(78歳)とご主人のSamruengさん(69歳)は結婚して長い年月を一緒に過ごしています。お二人には9歳の年齢差がありますが、驚くほどの深い絆で結ばれています。

奥様のSomjitさんは、認知症、心臓病、高血圧、緑内障と様々な病いを抱え、また手術で腰の一部に人工骨を入れたため、日常生活を送ることが困難です。その上、11年前に起きた発作で左半身不随となってから、チューブから栄養を取り、ベッドでの生活を余儀なくされました。当初、日常生活動作(ADL)は0と診断されました。しかし幸運なことにこのような困難な中でも、Somjitさんにはいつも精神的支えとなってくれ、勇気付けてくれるご主人と子供たちがいました。

ご主人のSamruengさんは、常にSomjitさんに寄り添い、介護を続けています。SamruengさんはSomjitさんを介護が必要な人としてではなく、愛する妻として接し、共に歌い、笑うことを心掛けています。Samruengさんだけでなく、家族みんなが和やかでユーモアがあり、どんな状況下でもSomjitさんを支えていく強い意志を持っています。日中Somjitさんが2階の寝室で孤独にならないよう、毎日SamruengさんがSomjitさんを担ぎ、1階の子供たちが経営するカオマンガイ屋さん(タイ風蒸し鶏飯)に連れてきます。これは私たちが訪問するときにはおなじみの光景です。

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ご主人のSamruengさん(左)奥様のSomjitさん(右)

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家族みんなが介護を負担を感じないのは、Somjitさんに対する愛情だけではなく、介護のサポートをしているサイトのケアチームと連携をしているからです。家族の献身的な介護やサイトのケアチームのサポートにより、Somjitさんの身体機能及び精神状態は次第に良くなり、現在では日常生活動作(ADL)が0から6になりました。具体的な効果としては、Somjitさんは自分で食事が取れるようになり、音楽に合わせ足を動かせるようになりました。

この事例はバンコクサイトでは“家族の無償の愛”の成果とされ、今回の記事のタイトルを“The love in form of long-term care”としました。

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LTOPバンコクサイトのケアチーム