早稲田大学 野口教授によるコスト分析

2016年9月2日

タイ高齢者の政策提言に重要なコスト分析。今回早稲田大学の野口教授がLTOPに関わる費用の解析をしてくださいました。
今年2月に野口教授による『コスト分析ワークショップ』をノンタブリの保健省にて3日間開催しました。そのワークショップで6サイトの運営費用と家族介護者の機会費用の調査表をタイ側と共に作成し、4月から6月にかけて各サイトで調査を実施。調査のデータをもとに野口教授が分析し、その結果を7月28日のワークショップでタイ側に報告しました。

1.サイト運営費

サイトの運営費用を分析するにあたり、6サイトのサイト事務所(デイケアセンター含む)の1)土地費用 2)資産費用 3)人件費 4)運営会計簿を調査しました。
その中でも特に重要な人件費に関する結果を一部紹介いたします。

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結果としてサイトの人件費に関しては、専門職(医師・看護師、マネージメント職等)がかなりの人件費を占めていることが分かりました。また年齢については、専門職は50歳以下が大半を占めているのに対し、ケアワーカー/ボランティアの80%弱が50歳以上という結果に。さらに職業経験年数は、専門職は20年以上が半数でしたが、ケアワーカー/ボランティアは約60%が経験年数5年というものでした。総合して、性別・経験年数・年齢が平均時給に相関しているという結果になりました。

2.家族介護者の機会費用

現在タイの高齢者介護を主に担っているのは家族介護者の方々です。その家族介護者の機会費用(介護をすることによって失われた収入の機会を数値化したもの)について、各家族介護者に調査し、そのデータを野口教授に分析していただきました。

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機会費用は、「家族介護者の時給×1年間の総介護時間数」で算出しています。また一度も働いたことが無い介護者の場合、タイの最低労働賃金である300THB/dayで計算しました。結果から、機会費用は比較的収入レベルが高いとされているバンコク、スラタニサイトがより高い数値となりました。また機会費用の金額と家族介護者の教育レベルに相関性があるという結果が分かりました。

これからさらにモデルサービスの提供時間・内容を含めた分析を進め、政策提言へとつなげていく予定です。

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野口教授からのコメント
「願わくは今回の費用分析の結果がタイの介護政策のベンチマークとならんこと」