チェンライ出張にJICAインターンの塚本宇信さんが同行しました

2017年8月4日

初めまして。東京大学薬学系研究科の塚本宇信と申します。現在、私はJICAのタイ事務所でインターンをしています。
私は普段は大学院の研究室で、生物学の基礎的な研究をしており、国際協力とはまったく関係のない生活を送っています。そのため、インターンに参加するにあたって、友人からは「なんでJICAのインターンに参加するの?」とよく聞かれました。青年海外協力隊などのイメージが強いため意外に感じるかもしれませんが、JICAはSATREPSというプログラムにより、日本と発展途上国の国際共同研究の支援も行っています。今回のインターンで、SATREPSの一つである本プロジェクトにかかわる機会をいただき、研究者として多くのことを学ばせていただきました。

7/17〜7/22の日程で、本プロジェクトの重要な研究拠点があるチェンライへ視察を行いました。チェンライには、TB/HIV Research Foundation (THRF)という結核・HIV/AIDSの研究のために設立された機関があり、本プロジェクトにおいては、検体とデータ収集の実施機関として機能を発揮しています。THRFの設立や活動の維持には日本人研究者が大きく貢献しており、またこれまでに日本の研究機関と共同で研究を行うなど、日本とともに結核・HIV/AIDS研究を積み重ねてきた実績があります。

今回は、今後のプロジェクトの方針について、THRFの事務所やチェンライ病院において、日本側の研究者、タイ側の研究者による協議が行われました。協議内容は本プロジェクトに関する疫学調査の実験手法から、調査に必要な実験器具の調達方法など具体的な項目について議論が重ねられました。

また、THRFは研究機関としての側面だけでなく、人材育成や慈善事業など様々な活動も行っています。今回、青年海外協力隊としてタイに派遣されている永崎隊員のTHRFにおける活動を見学させていただくことができました。THRFは貧しい結核患者に対する金銭的支援を行っており、永崎隊員はそういった患者にインタビューを行いながら、“どの患者に、いくらのお金を渡すか決める”という、いわばTHRFの慈善活動の基準づくりの支援や啓蒙活動に取り組んでいました。

今回の視察で、日本とタイの国際共同研究の現場を間近で見学させていただくことができました。その中で、次世代シーケンサーなどの最先端の技術を用いたタイと日本との国際共同研究である本プロジェクトの裏には、THRFのようにこれまでに積み重ねられてきた日本とタイの研究者同士の堅実な協力関係があると感じました。縁もゆかりも無く国も違う機関同士が、急に協力して国際共同研究を始めることはとても難しいことであると、容易に想像できます。THRFのように実績を積み上げ国際的に信頼関係を築きあげている機関の存在、またそういった機関の積極的な活用が、効率的な国際共同研究において重要であると感じました。
最後になりますが、一人の薬学生として、本プロジェクトを介して結核患者に対する効率的な治療法が確立されることを心から期待します。

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TB/HIV Research Foundation (THRF)の事務所

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会議風景

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チェンライ病院で活動を行う永崎隊員