離任の御挨拶(豊岡理人長期専門家)

2017年9月1日

プロジェクト開始から長期専門家(遺伝子解析)として関わってこられた豊岡理人先生が、2017年8月30日をもって離任されます。豊岡先生から離任のご挨拶です。

8月末日を持って任期を終え、帰国することになりました。当プロジェクトには2年4か月にわたり長期専門家という形で関わらせて頂きました。元々タイ保健省医科学局と我々どもの研究室や結核研究所、複十字病院並びに理研の長年の研究協力および交流があったこと、および、タイ国側カウンターパートからの協力的なサポートもありプロジェクトをスムーズにスタートすることが出来ました。
最初の二年間ではDNA配列を大量に読むことのできる次世代シークエンサや血中薬剤濃度を測定するタンデムマススペクトロメトリの機材供与やそれに関わる技術供与を行いました。それと並行しながら、自分自身でも結核発症に係る遺伝子の研究を行い、筆頭著者として1本の論文を発表し、また、複数の論文の掲載や学会にも参加出来たことは良い思い出です。
当プロジェクトのカウンターパートの特徴としてはタイ国保健省傘下の研究セクションではありますが、保健省直属の病院の臨床現場と密接な関わりがあることで、基礎研究を行いながらも臨床応用を意識することが求められ、一例としてカウンターパートによって行われた抗結核薬の副作用に関わる遺伝子のタイプを決定する研究成果がタイ国の特許を取得し、臨床でのテストに移行していく様を見て、大学で実施している基礎研究とも異なったスピード感があり、とても新鮮でした。今後は最初の二年で導入した機器から出力される結果を元に結核発症や抗結核副作用、結核菌とヒトの遺伝子の相互作用についての更に多くの科学的知見が得られるものと期待しております。
末筆ながらこれまでプロジェクトをサポートして頂きました関係者の方々に改めて御礼申し上げるとともに、残り1年8か月変わらぬサポートをお願いできますれば幸いです。

【画像】