研究者会議と第5回合同調整委員会(JCC)が開催されました

2017年11月30日

当プロジェクトでは、各研究の進捗状況、成果を発表する場として半年に一度のペースで研究者会議を実施してきました。今回は、2017年11月6〜7日の2日間にかけて保健医科学局の会議室で行われました。

日本側は、日本側プロジェクト・ダイレクターである東京大学の徳永教授や理化学研究所の莚田博士、複十字病院の野内博士等が出席され、タイ側は、実施機関である保健省医科学局生命科学研究所の研究者とともに、マヒドン大学の研究者が出席し、出席者は47名でした。

タイ側プロジェクトマネジャーのDr. Surakamethからプロジェクトの概要について発表があり、その後プロジェクトの成果ごとに発表と質疑応答が行われ、活発な意見交換や議論がありました。

成果ごとの発表、協議内容は以下の通りです。

成果1:結核発症診断のために、9種類のRNAの遺伝子発現を用いて、TB SICK SCOREを作成した。

成果2:結核菌のModern型に感染し、発症リスクがHLA-DRB1* 09:01を持つ人でより高くなった。また、非北京型では45歳以上の患者において、CD53に関与するSNPsを持つ人でより発症するリスクが高くなった。

成果3:結核菌の全ゲノム解析の解析結果をもとに、East African-Indian (EAI)型の系統樹解析を行い、チェンライ地方における優位な結核菌の同定が行われた。また、他国には存在しない結核菌の多様性が確認された。

成果4:インドネシア、タイ、日本の遺伝子データをまとめた結果からも、NAT2のSNP多型が薬剤性肝障害をもたらす原因遺伝子であるという結果が得られた。Slow Acetylatorという代謝が遅い体質の中でも、特にUltra Slow Acetylatorというさらに代謝の遅い体質の人に、より薬剤性肝障害のリスクが上昇することが分かった。

閉式の言葉では、徳永教授から、プロジェクトは概ね計画通りに進んでいること、プロジェクト開始当初に予期していなかった成果が発現していること、また今後の課題としては活動成果を論文として纏め、学術誌等に投稿していくべきいう提言がありました。

会議後は、タイ側の招待によりチャオプラヤ川沿いにあるレストランに移動し、タイ料理を頂き、関係者間の交流を深めることができました。

翌11月8日は、合同調整委員会(JCC)が開催されました。JCCとは、タイ側と日本側のプロジェクト関係者が一同に介し、これまでの進捗とこれからの計画を確認する場となります。

Dr. Surakamethから過去1年間のプロジェクトの進捗状況、成果、活動内容について、その後これからの1年間の活動計画について説明がありました。プロジェクトは、ほぼ計画通りに進んでおり、引き続き計画通りに活動を進めていくことが関係者で共有されました。今後の課題としては、これまでの研究成果を纏め、学術誌等に論文として投稿していくこと、計画より若干遅れている供与機材の調達を可能な限り早く進めて行くということが共有されました。

次の研究者会議と第6回JCCは1年後の2018年12月に予定されています。

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研究者会議でコメントをする徳永教授

【画像】研究者会議の集合写真

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JCC

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プロジェクトの進捗を発表するDr. Surakameth