最後の研究者会議がタイ北部のチェンライ市で開催されました

2019年2月6日

2018年12月17日と18日の二日間、プロジェクトサイトのあるチェンライ県チェンライ市のPhowadol Resort & Spaホテルにて、最後の研究者会議が開催されました。

日本側は、東京大学の徳永教授(チーフアドバイザー)、理化学研究所の莚田博士、複十字病院の野内博士等、タイ側は、実施機関である保健省医科学局生命科学研究所の研究者、マヒドン大学科学学部の研究者等、チェンライ病院関係者やフィールド調査を行っている看護師、総勢40名が出席しました。

会議では、日本とタイの研究者がプロジェクトの各成果に関する発表を行いました。成果1 [ヒトゲノム解析]では、保健省のSurakameth Mahasirimongkol博士がヒトゲノム解析についての背景や主な結果について話され、Nusara Satproedprai博士が血中のRNA発現量に基づく結核診断法、結核研究所の瀬戸博士が当プロジェクトのGWAS解析にて発見された結核発症に関連するCD53遺伝子の機能的解析結果について発表されました。

成果2 [結核菌ゲノム解析]では、マヒドン大学のPrasit Palittapongarnpim教授からタイ国内の結核菌の新しい分類と民族分布との関連について発表があり、マヒドン大学のPravech Ajawatanawong先生からタイで確立した結核菌のゲノム解析の手法について、また、全ゲノム解析を利用した結核アウトブレイク調査や、集団発症のリスク因子解析については、保健省のDr. Areeya Disratthakit博士、Natthakan Tipayakrua博士、東京大学の宮原博士らが発表しました。またマヒドン大学のPornpen Tantivitayakul博士から結核菌の病原性に関与する結核菌の遺伝子について発表がありました。

成果3 [ヒトと結核菌のゲノム相互解析]では、東京大学の大前博士からヒトと結核菌遺伝子の相互作用解析についての新たな解析結果が発表されました。

成果4 [抗結核薬に関するゲノム薬理学]では、理化学研究所の莚田博士より本プロジェクトでのゲノム薬理学に関する成果のまとめが発表され、具体的なNAT2遺伝子と薬剤性肝障害や死亡との関連、また、NAT2遺伝子とイソニアジドの血中濃度との関連についてマヒドン大学のSupharat Suvichapanich博士、Noppadol Chanhom氏、宮原博士が発表しました。

AMEDから評価委員として出席いただいた渡邊教授から、成果の到達目標であった論文の掲載数や、タイ国の結核対策にゲノム解析を用いた手法が取り入れられたこと、また、日タイ双方の研究者の高い研究能力と本邦での研修実施による研究能力向上ついて高く評価していただきました。

今後、プロジェクトで得られた研究成果を普及、継続させていくためにも、タイ政府におけるゲノムプロジェクトの推進と結核ガイドラインの改訂の必要性を再認識するとともに、引き続きタイ国とのゲノム研究の繋がりを強めていく重要性を感じました。

多くの成果発表と議論により、新たな研究課題の発見や研究者同士の繋がりを持つことができたプロジェクト最後の研究者会議となりました。

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発表を行う徳永教授とDr. Surakameth

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発表を聞く参加者

【画像】出席者一同