国民中心の医療情報システムを目指して-国別研修を実施

2018年5月11日

当プロジェクトは、タイの国民医療保障機構(NHSO)の管理職を含む職員等14名を対象に、3月4日から17日の期間、国民中心の医療情報システムの構築、その課題及び解決策を考えるため研修を日本で実施しました。

タイ国においては高齢化が急速な勢いで進んでおり、今後どのように保健医療サービスや高齢者への継続的なケアを行っていくのかという大きな課題を抱えています。当プロジェクトでは、そのような課題を解決する一つの重要なツールとして、ICTの活用に注目しています。その背景として、タイ国には潜在的に国民に大きな利益をもたらす可能性のある保健医療関係の情報インフラがあり(ハード面)、他方でわが国は世界に先立ち直面している高齢化に対してICTを活用した取組みを推進しており(ソフト面)、これらを高度に融合させることにより相乗効果が期待できると考えました。

厚生労働省は、国民の基本的な保健医療データを統合した情報基盤「PeOPLe(ピープル)」を整備し、25年度までに本格運用をスタートさせる計画です。医療専門職が患者の情報を把握し、効果的な治療を提案できるようになるほか、全ての国民もアクセスでき、活用できる情報基盤として活用してもらう狙いがあります。

今回の研修では、そのような日本における医療、介護、福祉の分野で先駆的に行われているICTに係る政策や取り組みを学習し、タイ国の保健分野における今後のICT政策の策定につなげるという目的で研修を行いました。

医療情報システム開発センターの山本隆一所長による医療情報の基礎知識の講義から始まった日程は、厚生労働省、国立国際医療研究センター、東京大学、株式会社情報医療、慶応義塾大学、特別養護老人ホーム芙蓉苑、東北大学大学院、世田谷区役所、株式会社メディカルノートのご協力を得て、講義や視察を実施し、国民中心の保健情報システムをどう構築していくかについての経験が共有され、活発に議論が行われました。今後は、NHSOが研修成果を活用して、国民中心の保健情報システムを構築していくために、当プロジェクトでも引き続き技術協力を進めていきます。

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