地域連携の「共通言語」とは?-連携のための手順やツールをASEAN各国と議論-

2017年5月9日

2017年5月8日~9日

「ASEAN災害医療連携強化プロジェクト(ARCHプロジェクト)」では、ASEAN地域の各国が、域内で災害が起きた時に連携・協力して、より効率的で効果的な医療支援活動を行う体制を整えるため、災害医療チームの「共通言語」となるべき「地域連携ツール」の開発に取り組んでいます。

2017年5月8、9日の2日間、ASEAN加盟各国の災害医療関係者、ASEAN事務局、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)、タイ政府関係機関、JICA、日本の災害医療専門家、プロジェクトの運営を担う日タイプロジェクトチームなど、約50名がバンコクに集まり、ASEAN各国が災害医療分野において連携するために必要な手順やツールについて話し合いました。

では、「地域連携ツール」とは、具体的にはどういうものでしょうか?

ARCHプロジェクトで取り組んでいるのは、次の4つです。(1)災害時に域内の災害医療チームが連携するために必要な流れや行動をまとめた「手順書」の作成、(2)域内各国から災害医療チームのメンバーとして派遣される人が一定のレベルを満たしていることを担保するための「最低基準」の設定、(3)災害医療チームが災害現場に到着した後、迅速に保健医療に関連するニーズを把握するための「保健医療ニーズ評価の調査項目・手法」の整理、(4)災害時、被災国が被災状況に最も適した機能を持つチームの派遣を迅速に要請するための情報ソースである、「地域の医療チームのデータベース」の構築。

災害が起きたときに、連携するための方法も取り決めも何もなくては、効果的な連携を行うことは困難です。どのように連携するのか、という地域のルールを予め決め、必要な準備を整えておくことが、災害が起きた際の域内各国の医療支援チームの効率的かつ効果的な連携・協力を実現するために重要です。そのための準備が、これらのツールなのです。

これらのツールは、今回のような会議での参加者の意見を踏まえてさらに改訂していくとともに、プロジェクト期間中に行われる地域の合同演習(ドリル)において、医療チームの人たちに実際に使ってもらい、本当に使える内容になっているか、課題は何か、を検証し、改善を重ねていくことになっています。

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会議の様子

【画像】集合写真