タイ側ARCHプロジェクトタスクフォースメンバーの仙台訪問

2017年10月7日

2017年10月5日~7日

2017年10月5日~7日にかけて、タイ側ARCHプロジェクトタスクフォースの医師2名と救急救命士1名が、仙台を訪問しました。
タイでは、タイ国内全国各地の医療機関や公的機関に勤務する災害医療・救急医療従事者によるタスクフォースを結成し、ARCHプロジェクトの活動の企画や運営におけるタイ側実施機関をサポートする体制を作っています。

今回の来日の主な目的は、11月にバンコクで実施予定の第2回ASEAN加盟国向け研修の運営、実施体制について、日タイ関係者で協議を行うことです。特に、同研修の中で、日タイのファシリテーターが共同で行う被災地での医療チームの活動の模擬演習の進め方について、関係者間で綿密に議論しました。

加えて、一行は来日期間中に実施される我が国の災害医療に関する訓練や研修を見学しました。
まず視察に訪れたのは、仙台空港で実施された航空機事故対処総合訓練です。この訓練では、医療チーム、自衛隊、消防との連携によるトリアージ(傷病者の診療順位決め)や報告体制などの航空機事故対応の様子を見ることができました。
次に見学したのは、東北大学病院先端医療技術トレーニングセンターで実施されたATOMコース(Advanced Trauma Operative Management、外傷外科トレーニングコース)(注)です。外傷外科手術についての座学を受けた後、実習の見学をしました。

今回のタイ側プロジェクトタスクフォースメンバーの仙台訪問では、主目的でもあった研修打ち合わせが非常に有意義なものになったことに加え、我が国の研修訓練の見学を通じ、日本の経験を見てもらうことができたと共に、人的ネットワークを広げてもらうことができました。また第2回ASEAN向け研修の準備会議の後、タイ側のファシリテーターの人選や役割分担が進み、研修の共同実施者としてより深く関わってもらえる体制が整いました。
一連のプログラムで、タイタスクフォースメンバー受け入れにご尽力いただいた関係者の皆様にお礼を申し上げます。

(注)ATOMコース(Advanced Trauma Operative Management、外傷外科トレーニングコース)とは、胸腹部の貫通性外傷に対する手術管理に必要な外科的知識と手技を学ぶための1日で行われる教育トレーニング。米国コネチカット州ハートフォード病院の外科医レンワース・ジェイコブ医師によってATOMコースは開発された。近年米国でも外傷外科手術の機会が減る状況の中で、外傷外科管理における手術手技を伝えるために1998年より始まった。米国東海岸を中心に広く普及し、カナダ、アフリカ、中東へも広がりを見せた。2008年より米国外科学会外傷外科委員会がATOMコースを監督することとなった。日本では2008年12月、自治医科大学において米国よりATOMコースを担当する外傷外科医を招聘し、第1回日本ATOMコースを開催され、米国外科学会より自治医科大学は日本ATOMコースのサイトとして認められた。

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仙台空港航空機事故対処総合訓練の視察

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第2回ASEAN向け研修の準備会議の様子

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ATOMコース見学の様子