メトロマニラでの首都直下型地震を想定した地域連携ドリルを開催

2018年12月5日

2018年12月3日~5日

2018年12月3日から5日まで、フィリピンのマニラにおいてASEAN加盟各国政府及び日本の災害医療関係者、医療チーム、ASEAN事務局、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)、フィリピン保健省、タイ側関係者、JICA、国内支援委員会、プロジェクトチームの約160人が一堂に会し、第3回地域連携ドリルが開催されました。

第3回地域連携ドリルの目的の1つは、2回目のドリルから継続して、今まで会議で議論を重ねてきたツールや共通書式を使用し、最終的な評価を行う事でした。また、プロジェクトの本来目的である各国災害医療チームの知識・技術・能力の向上を更に進めるため、各国の災害医療チームの診療記録を元にして新たに開発されたiSPEED(緊急時医療情報システム)を試験導入しました。

今回のドリルはフィリピンの保健省が中心となり、日本、タイのプロジェクトチームと連携しながら、企画、運営を行いました。
1日目は机上ワークショップを行い、2日目にはフィリピン軍のスタジアムで実地演習を、3日目には、次のフェーズへの課題抽出ワークショップを行いました。

今回のシナリオは、ドリル開始2日前に首都マニラでM7.2の震災が発生し、フィリピン政府がASEANの手続きに沿って、事前にAHAセンターを通じてASEAN加盟国と日本に医療チームの派遣を要請し、各国が派遣の意思を表明したという設定で、ドリル1日目は医療チームが空港に到着したところより開始となりました。

1日目は会場内の一室に空港の入国審査や税関が作られ、実際の職員が対応して手順が忠実に再現された非常にリアルなものとなりました。その他、基本的な無線の使用方法の訓練や翌日の実地演習で使用するiSPEEDの説明、演習を行い、最後に翌日の実地演習で担当する被災地域を伝えられ、終了しました。

2日目の実地演習は、派遣された地域において模擬患者の診療を行いました。その中で重症度に応じて、Sub-EMTCC(被災地区災害医療チーム調整セル)を通して、被災地周辺の病院や病院機能を備えたチームなどへ傷病者の転送する手続きを体験しました。また、地区ごとに行われる調整会議では、試用したiSPEEDのDataを元に運営進行が行われました。最後に担当している村の避難キャンプを訪問し、村人にインタビューを行うなどをして、ヘルスニーズアセスメントに必要な情報収集を行う体験をしました。

3日目のワークショップでは、次のフェーズに向けての課題を各国別に話し合い、結果を発表しました。

今回の地域連携ドリルで初めて試用したiSPEEDは、スマートフォンアプリのため操作が非常に容易であり、Dataも視覚的にも見やすいと、参加者の好評を得ました。今後、フィリピンを始めとしてASEAN加盟国が積極的に情報管理ツールとして導入して頂けたらと思います。

そして、今まで作成・試用してきた書式やツールは最終改訂を経て、ASEANの正式な文書として承認され、今後も地域連携ドリルや実際の災害時に使用される予定です。

【画像】

保健省事務次官による開会挨拶

【画像】

机上演習の様子

【画像】

会場内に設置された模擬入国審査を受ける参加者

【画像】

模擬患者を診療する様子

【画像】

避難所で聞き取りインタビューをする様子

【画像】全体写真