世界保健機関(WHO)と協力し、第4回能力強化研修を実施

2019年2月22日

2019年2月17日~22日

2019年2月17日から22日にかけて、タイのバンコクにおいて第4回ASEAN加盟国向け研修を実施しました。
過去3回の研修では、災害医療チームの能力強化を目指しましたが、第4回研修では、国内外の災害医療チームを調整する側の視点を学び、受援体制を強化することが主な目的でした。研修では、WHOと協力し、WHOの災害医療チーム調整セル(Emergency Medical Team Coordination Cell:EMTCC)(注)研修パッケージを基本に、ASEANの地域待機制度及び共同災害救援・緊急対応活動のための標準運用手続き(SASOP)やARCHプロジェクトで作成中の災害医療チームの標準運用手続き(SOP)などを反映し、講義、技術習得のための実践演習(机上演習、ワークショップ形式)、シナリオに基づくロールプレイ形式のシミュレーション(模擬訓練)を行いました。
ASEAN加盟10ヶ国、日本などから計32名の研修生に加え、ASEAN事務局、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)、WHO 、JICAからファシリテーターが参加しました。
講義では、コース概要やEMTCCサイクルに関する基本的事項の説明等を行いました。またEMTCCのオペレーション、情報管理、他機関との連携、ファシリテーションスキル等についての実践演習をグループに分かれて行いました。シナリオに基づくシミュレーションでは、保健省の公衆衛生緊急事態対応管理課(Division of PUBLIC Health Emergency Management:DEPHEM)の危機管理センター(Emergency Operation Center:EOC)やタイ保健省のグラウンドに被災地に展開された医療施設を再現して、EMTCCオペレーションの訓練を行いました。模擬訓練では、グループごとにリーダーやサブリーダーなどの役割を決めてロールプレイを行い、マスメディア対応など実災害時にどのように情報を管理するかなどのロールプレイも体験しました。
WHOと協力した今回の研修を通じて、EMTCCコンセプトに沿った受援側の調整にかかる理解の促進のみならず、災害医療のグローバルなイニシアティブとASEANでのイニシアティブ双方の理解の促進やWHOとASEANの両者のネットワークを構築することができました。
研修前後の理解度テストの結果から、参加者のEMTCCに関する理解度が高まったことが確認できました。また参加者の研修に対する満足度も非常に高い結果となりました。
WHOのファシリテーターからは、これまでのARCHでの活動を通じて、各国間で基本的な関係ができあがっていたことが、チーム内の円滑な役割分担や協力にも表れていたというコメントをもらいました。
研修最終日は、タイ保健省事務次官が閉会の挨拶をし、研修生一人一人に修了証書が授与されました。期間中はタイ保健省の全面的なバックアップにより、研修生に最善の機会を提供することができました。
国内外の災害医療チームの調整、受援体制の強化を目的とした今回の研修によって、研修参加者がそれぞれの国で、災害医療の受援体制整備のキーパーソンとして活躍することが期待されます。

(注)フィリピン(Haiyan台風)、西アフリカ(エボラ出血熱流行)、ネパール(地震)などの災害をきっかけにWHO主導のもと、立ち上げられた調整メカニズムで、災害時に被災国(受援国)政府が中心となり(被災国の状況により、場合によっては外部の支援を受けつつ)、国内外の医療チームの情報把握、スクリーニング、登録、活動調整、情報分析、情報提供、活動支援等を行い、被災地での効果的な医療活動の調整を行う。

【画像】全体写真

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アイスブレーキングの様子

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グループディスカッションの様子

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グループによる発表の様子

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野外演習の様子

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模擬のメディア対応の様子

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保健省事務次官のよる閉会挨拶

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保健省事務次官より修了証書を受け取る研修生