ARCHから生まれた地域調整委員会のASEAN公式化

2020年1月23日

2020年1月20日~23日

ARCHプロジェクトでは、2016年の開始当時からプロジェクトの進捗をASEAN各国代表により確認し、議論する場として地域調整委員会(Regional Coordination Committee:RCC)を設置し、定期的に会議を開催してきました。2017年11月に採択された災害医療に係るASEAN首脳宣言(ASEAN Leaders Declaration:ALD)には、災害医療にかかるより広い議題を地域内で協議し、調整するためのより恒常的なASEAN公式の枠組みとしての地域調整委員会(RCC)の設置が提唱されました。2019年4月の高級官僚会合(Senior Officials Meeting on Health Development:SOMHD)において、ALDの行動計画(Plan of Action:POA)が採択され、公式な枠組みとしてのRCCの設置が決定し、第1回会議がARCHプロジェクトの支援の下、1月22日~23日にバンコクで開催されました。「ARCHプロジェクトのRCC」から「ASEAN公式の災害医療に関するRCC」(正式名称;Regional Coordination Committee on Disaster Health Management:RCCDHM)へとアップグレードし、ARCHのみならず、ASEAN域内の災害医療に関係する取り組みや災害対応について議論・報告する場へと変わりました。

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また、RCCDHMの第1回会議開催に合わせ、ARCHプロジェクトに関連する一連の会議も開催しました。
20日には2つの会議が同時開催されました。
1つ目は本年ミャンマーで実施予定の第5回地域連携ドリル(RCD)の準備会合です。準備協議の結果、マンダレーで2020年10月に開催することが決定しました。またこのミャンマーでのRCD準備過程を通じ、RCDを今後ホストする国の参考書として、RCD準備計画ガイドブックを作成することも確認しました。
もう一つの会議は「ASEAN各国の国際災害医療チームの域内迅速展開のための取り組み」として、情報収集・整理を行うグループとして設立したサブワーキンググループ(SWG)の第1回会合です。同SWGでは、災害が多く、RCDをこれまで実施又は今後実施予定のインドネシア・タイ・フィリピン・ベトナム・ミャンマーの5か国を対象に、国際災害医療チームを迅速に派遣し、被災地で円滑に活動させる上での障壁とその解決方法を検討することを目的としています。

21日にはプロジェクトワーキンググループ1(PWG1(注))が開かれました。ARCH開始当時から今回で9回目を数えます。
「災害医療支援に関する標準手順書(SOP)」の「ASEAN災害対応標準手順書(SASOP)」への統合に向けた取り組みや、実災害の教訓を蓄積するシステムの他、2021年-2025年の期間のASEAN保健クラスター優先課題に対し、2021年以降のARCHプロジェクトの支援についてタイ側から提案されました。

(注)実際に災害が起きたときに医療支援チームが効果的な調整・連携を行うために必要な地域連携ツールの開発と、地域連携を実践的に試行・検証する場である地域連携ドリルの企画・運営を担当する作業部会

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RCCDHMではPWG1・SWGの報告に加え、RCDの取り組みやASEAN各国の過去の大規模災害の対応情報についても共有されました。また、現在のARCHプロジェクトの延長協力期間は2021年3月で終了しますが、タイ側から引き続きJICAの協力が必要であり、次期案件の形成を要請したいとの意見表明があり、ASEAN各国一同からも賛同がありました。
RCCDHMは今後、ASEAN主導で開催されることとなりますが、ARCHはこのRCCDHMを側面支援するとともに、今後も各プロジェクトワーキンググループや継続的なRCDの支援を通してASEANの災害医療連携強化に貢献します。

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