新型コロナウイルス感染症パンデミックを踏まえたARCHプロジェクト活動計画協議

2020年8月5日

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、ASEAN地域に例外なく影響を与え、各地への渡航が制限されました。8月現在でもタイを含めASEAN各国間や日本との旅客便がなく、ARCHでもこれまで通りの国際会議や国際研修・演習等は開催できない状況が続いています。

このような状況の中、ARCHでは、可能な範囲でプロジェクトの活動や日・ASEAN関係者間の議論を継続するため、オンライン会議を積極的に導入しています。

日タイ合同実務者会議(オンライン会議)(2020年6月4日)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの状況を踏まえ、ARCHプロジェクト活動の計画見直しについてタイ側と議論するとともに、ARCHプロジェクトの現行フェーズの延長の必要性等についても議論しました。一方、ARCHが主に対象としているのは自然災害ですが、公衆衛生上の非常事態に対する対応についても念頭に置くべきとの議論はプロジェクト当初よりなされていました。これを受け、非常事態時の医療対応の地域能力向上というARCHプロジェクトの目的範囲とARCH関係者の専門性を考慮の上、新型コロナウイルス感染症等のパンデミックへの対応についてもプロジェクトの活動として追加するか否かについて議論が行われました。議論の結果、ASEAN各国における「新型コロナに対する医療対応における保健管理の好事例」を収集し、ASEAN内でそれら好事例を共有する機会の設定を行うことをASEAN各国に提案することとなりました。

【画像】日タイ合同実務者会議の様子

ARCH Project Working Group(オンライン会議)(2020年6月25日)

ARCHの各活動の進捗や成果をASEAN各国関係者間で検討、協議する場であるProject Working Group 1(PWG1)及びProject Working Group 2(PWG2)についても、実会議に代えて、合同オンライン会議を実施しました。ASEAN10か国、ASEAN事務局、ASEAN防災人道支援調整センターの代表者及びJICA担当者や国内支援委員が参加しました。同会議でARCHの活動計画の見直し、現行フェーズの延長の必要性、またARCHプロジェクトによる新型コロナウイルス感染症のパンデミックに関連した追加の取り組み提案について、ASEAN各国から支持するコメントが多く出されました。

【画像】Joint Project Working Groupの様子

日タイ合同調整委員会Joint Coordination Committee(JCC)(オンライン会議)(2020年7月16日)

日タイの間でプロジェクト活動計画の承認、進捗確認等を行うために設置されているJCC(第5回)が開催されました。同会議には、タイ側のプロジェクト実施機関であるタイ保健省(MOPH)次官局(代表:副次官)、国家救急医療機関(NIEM代表;総裁)、に加え保健省内の関係部局、内務省防災局、タイ赤十字社、タイ外務省国際協力局(TICA)、同省ASEAN局、在タイ日本大使館、JICAから代表者が参加しました。本JCCにおいて、ARCHの今後の活動計画、現行フェーズの延長について承認されました。また、次期案件であるARCHフェーズ2の基本コンセプトに関しても議論がなされ、今後タイ政府からの要請書がTICAを通じ日本大使館に提出されることを確認しました。

【画像】

Joint Coordination Committeeの様子

今後の新型コロナウイルス感染症の流行状況により、関係者の国を跨ぐ移動が必要なARCH関連会議、現地調査や研修・演習等の活動の再開時期は見通せない中ではありますが、ASEAN各国のARCHへの参加意欲は高く、引き続きオンライン会議でプロジェクトを前進させていきます。