プロジェクト活動

1.事業概要

(1)事業目的(協力プログラムにおける位置づけを含む)

本事業は、タイ中央省庁及びパイロットサイトにおいて、地域での高齢者に対する切れ目のない医療・リハビリ・社会的及び生活支援サービス提供に関する現状分析、パイロットプロジェクトを通じたモデル試行、及び、これらをふまえた提言作成を行うことにより、同サービスの全国展開に向けたモデル形成を図り、もってタイにおいて同モデルが全国的に展開されることに寄与するものである。

(2)プロジェクトサイト/対象地域名

対象はタイ全土。パイロットサイトは、1)メインサイト(7か所)としてチェンマイ、コンケン、ナコンラチャシマー、ノンタブリ、バンコク、チョンブリ及びスラタニ、2)ポテンシャルセッティング(3か所)としてチェンライ、ナコンパトム及びプーケットから各1病院、3)プラクティカルサポーター(2か所)としてサラブリ及びソンクラー、4)アカデミックサポーターとしてシリントン国立リハビリテーションセンター、中間ケアに関する取組を進めている大学(チェンマイ大学、コンケン大学、マヒドン大学等を想定)を選定(注)。

(注)1)「メインサイト」は、中間ケアに関してフルスケールで協力するサイト、2)「ポテンシャルセッティング」は、中間ケアの取組について部分的に協力するサイト(中間ケアの取組経験は多くないが、今後メインサイトからも学びながら中間ケアを促進していくもの)、3)「プラクティカルサポーター」は、既に中間ケアの先進的な取組を実施しており、メインサイト等からの視察受入等も担うサイト、4)「アカデミックサポーター」はメインサイトに対して学術的な観点からの協力や講義等について支援を得るサイト。

(3)本事業の受益者(ターゲットグループ)

1)直接受益者

  • 医療及び社会サービス提供に関連する省庁の職員、及び、関連団体
  • パイロットサイトの高齢者及びその家族

2)最終受益者

  • タイ国内の高齢者及びその家族

(4)事業スケジュール(協力期間)

2017年11月8日~2022年10月31日(約5年間)

(5)総事業費(日本側)

約4億円

(6)相手国側実施機関

1)保健省(MOPH)Office of Permanent Secretaryを窓口に、高齢者医療・介護に関わる各部局と協力。
2)社会開発・人間の安全保障省(MSDHS)Department of Older Persons他、高齢者福祉関連部局
3)国民医療保障事務局(NHSO)

(7)投入(インプット)

1)日本側

1)長期専門家(チーフアドバイザー、業務調整、リハビリテーション/高齢者ケア)計180M/M
2)短期専門家(リハビリテーション、地域包括ケア、保健政策、老年医学、他)計20M/M
3)本邦研修(保健・高齢化政策、地域包括ケア、他)
4)その他必要経費(セミナー開催費、パイロットプロジェクト運営費等)

2)タイ側

1)カウンターパート人材
2)プロジェクト執務室、会議室、専門家秘書
3)その他必要経費(セミナー開催費、パイロットプロジェクト運営費等)

(8)環境社会配慮・貧困削減・社会開発

1)環境に対する影響/用地取得・住民移転

1)カテゴリ分類(A,B,Cを記載) C
2)カテゴリ分類の根拠

本事業は、「国際協力機構環境社会配慮ガイドライン」(2010年4月公布)上、環境への望ましくない影響は最小限であると判断されるため。

2)ジェンダー平等推進・平和構築・貧困削減

必要に応じ、プロジェクトの実施において、ジェンダー視点をふまえた活動を実施する他、低所得の高齢者に配慮した活動を実施する。

(9)関連する援助活動

1)我が国の援助活動

高齢化関連分野の、草の根無償、草の根技術協力、JICAボランティア、中小企業海外展開支援事業等と、適宜連携を行う。

2)他ドナー等の援助活動

本現地調査の聞き取りによると、MOPH、MSDHS、NHSOはいずれも、これまで高齢者関連分野における対外支援は受けていない。よって、連携予定は無し。

2.協力の枠組み

協力概要

1)上位目標と指標

プロジェクトにより開発されたモデルが全国的に展開される
指標:開発されたモデルを促進するための国家事業がXX箇所のサイトで実施される

2)プロジェクト目標と指標

全国展開に向け、高齢者へ医療、リハビリテーション、社会的及び生活支援サービスを切れ目なく提供する、地域包括型のサービスモデルを形成する。
指標1:文書化されたモデルと全国展開のための提言が、国家事業に反映される。
指標2:モデル共有のためのセミナーの参加者のうちXX%以上がモデルを有益と考える。(プロジェクト開始1年後までに数値を設定。)

3)成果

成果1.
中央及びパイロットサイトでの現状分析により、医療、リハビリテーション、社会的及び生活支援サービス提供のための課題が明らかになる
指標:
調査結果が文書化される
調査結果報告会の参加者のうちXX%が、明らかになった課題に同意する
成果2.
パイロットサイトにおいて既存の取組みを元に、医療、リハビリテーション、社会的及び生活支援サービスの切れ目ない提供に関するサービスモデルができる
指標:
各パイロットサイトにおいて、ワーキングプランと実施の結果が、エビデンスと共に文書化される。各パイロットサイトにおいて、1~2のパイロット活動が提案される
成果3.
パイロットサイトでのサービスモデル及び日本、タイ両国の知見に基づいて提言が作成される
指標:
作成された提言がXX以上の関連機関に共有される

4)活動

1-1. 政策、法規・条例・規則、及びプログラムについて中央レベルで評価を実施する
1-2. 適切な基準を元に、パイロットサイトを選定する
1-3. 各パイロットサイトにおいて、関連組織からなる委員会を設置する
1-4. 各パイロットサイトにおける、サービス提供の状況を評価する
1-5. 各パイロットサイトにおける、状況を分析し課題を明らかにする
1-6. 分析結果をまとめる

2-1. 成果1の結果を元に、各パイロットサイトで明らかになった課題の解決策を検討する
2-2. 活動2-1で検討された解決策を実行するための計画を作成する
2-3. 解決策の計画案を各パイロットサイトで実行する
2-4. 各パイロットサイトでの実施をモニタリングし結果を評価する
2-5. 解決策の計画案を最終化し、モデル形成する
2-6. 形成されたモデルをエビデンスと共に文書化する

3-1. 形成されたモデルを全国展開する方法を検討する
3-2. モデルの使用とモデルの全国展開に必要な事項について提言する
3-3. 提言を関連組織に提出する

以上