中間ケアに関するオンライン研修(Online Training for Intermediate Care)開催

2021年2月21日

S-TOPプロジェクトでは、タイ国との合意に基づき年2回、日本で研修を行うこととなっています。しかし、世界的な新型コロナ感染症の拡大のため、実施できていませんでした。このため、その代替として、タイ政府の支援も得ながら、約1年ぶりに2月17日および18日にオンラインによる研修を開催しました。

本研修は、プロジェクト目標「タイにおける高齢者へ医療、リハビリテーション、社会的及び生活支援サービスを切れ目なく提供するシームレスなサービスモデルを形成する」を達成するため、S-TOP開始以来各サイトで精力的に取り組まれている中間ケアに焦点を当てています。

研修は、MOPH、MSDHS、NHSO(注1)からの参加者と、地域包括ケアサービスのモデルを開発するパイロットサイトと、将来パイロットサイトと同程度の活動が期待できるポテンシャルサイトからの参加者の合計32名に対して行われました。なお、その他、日本及びタイ国内から合計48名のオブザーバーが参加しました。

1日目は、小倉リハビリテーション病院の浜村明徳先生から講義をいただきました。中間ケアの取組みを始めて間もないタイにおいては、中間ケアのシからの参加者とステムをどのように発展させ、根付かせるかが課題です。講義では、1970年代の自らの取組みが、やがて国の制度にまで発展した日本の中間ケアの歩みについて紹介いただきました。参加者からは、タイ国内の大きな課題である、リハビリテーション人材の不足にどう対応したら良いか、といった質問がありました。講師からは、日本での対応の歴史と経緯、要した期間などの説明がされました。

2日目は、偕行会リハビリテーション病院の赤坂作業療法士、今井看護師、沖医療ソーシャルワーカーより、日本の回復期リハビリテーションの実践について、チームアプローチを中心に講義いただきました。その後、日本の中間ケアの仕組みが、文化・社会構造が異なるタイにおいてどのように応用可能か講義いただきました。具体的には、過去日本研修に参加したチョンブリ病院のピヤヌック・サムーウォン医師から、日本研修での知見に基づくタイでの実践について講義いただきました。また、チョンブリ県サンスク町でJICA草の根技術協力事業に参画する鹿教湯病院の丸山陽一理学療法士からは、日本の高齢者ケア手法のタイでの応用について現場での実践の紹介とともに講義いただきました。参加者からは、日本におけるリハビリテーション費用の病院・患者負担の方法、患者家族のリハビリテーションの必要性の理解・積極的な協力を得る方法などについて質問がありました。講師からは、日本では、費用は自己負担とともに医療保険や介護保険でまかなわれること、患者家族には、他職種連携による教育とともに、継続的な介入が必要であることなどが説明されました。

研修に関するフィードバックでは、全ての参加者が、研修内容はそれぞれの業務遂行に非常に役立つものであり、その内容に「満足」または「非常に満足」している(注2)との非常に高い評価を得ました。自由記載欄に「長時間のオンラインでの集中力維持が困難」とのコメントもありましたが、「日本の中間ケアを知ることが出来てとても参考になる」、「中間ケアの実施におけるチームアプローチの実際を知ることが出来、自らの実務に生かしていきたい」といった前向きなコメントも多く寄せられました。今後は、これらのフィードバックも踏まえて、次の研修がさらに実のある研修となるよう準備していきたいと思います。

(注1)MOPH:保健省、MSDHS:社会開発・人間の安全の保障省、NHSO:国民医療保障事務局
(注2)5段階評価のうち4及び5

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