プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)電子基準点に係る国家データセンター能力強化及び利活用促進プロジェクト
(英)The Project for Capacity Development and Promotion of Utilization of National CORS Data Center

対象国名

タイ

署名日(実施合意)

2020年2月27日

協力期間

2020年10月1日から2024年3月31日

相手国機関名

王立タイ測量局、地理情報・宇宙技術開発機関

背景

電子基準点とは、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)からの位置情報に関する電波を連続的に受信する基準点のことです。電子基準点網が統合的に管理・運用され、データセンターにおいて電子基準点網からの正確な位置情報や補正情報が適切に解析・配信されることにより、地球上の位置や標高等を正確に測定すること(高精度測位)が可能となります。これにより、正確な位置情報を活用したインフラ整備(i-construction)や農業機械の自動運転、さらに自動運転技術を活用した産業振興等の実現に向けた活用が期待されています。
タイでは複数の政府機関が電子基準点を全国に整備しています。しかしながら、各機関がそれぞれの使用目的に応じて独自に電子基準点を設置しているため仕様が統一されておらず、取得した情報を共有・活用できない状況となっています。
この状況において、タイ政府は、一元的に高精度測位情報の民間への一般公開を通して、民間企業での活用を目指すべく、各政府機関が全国に整備している240点の電子基準点のネットワーク化(電子基準点網の構築)を行い、タイ王立測量局(RTSD)に電子基準点網からの情報を統合・解析し配信する国家データセンター(以下「NCDC」)を設立することを2017年3月に決定し、NCDCから高精度測位データが安定的に配信されるためのNCDCの運営維持管理能力強化および配信される高精度測位データの利活用促進の技術支援に係る本事業がタイ政府から我が国へ要請されました。

目標

上位目標

NCDCを通じた高精度測位データが政府機関や民間セクターで広く活用され、タイにおいて高精度測位データを活用した新たなビジネスやイノベーションの創出に寄与する。

プロジェクト目標

高精度測位データの安定的・効果的な配信のためのNCDCの運営維持管理能力が強化され、高精度測位データの利活用が促進される。

成果

成果1:高精度測位データがNCDCにより安定的・効果的に配信される。
成果2:高精度測位データの様々な分野での利活用が促進される。"

活動

成果1:高精度測位データがNCDCにより安定的・効果的に配信される。

1-1.各機関が保有する電子基準点・データセンターの運営維持管理及びCORSデータの統合的運用に係る方針の評価、改善を行う。また、関係する機関及び協議会等の役割・責任を整理する。
1-2.NCDC/CORSの運営方針・品質要件に基づく、運営維持管理計画の評価・改善、運営指導、マニュアル整備を行う。
1-3.CORSの基準座標系に係る維持管理を行う。
1-4.リアルタイムデータのサービス品質保証の策定、品質管理手法の構築及び改善を行う。
1-5.高精度測位データ配信状況のモニタリング体制を構築及び強化する。
1-6.高精度測位データ配信サービス向上のためのユーザーサポート体制を構築及び強化する。

成果2:高精度測位データの様々な分野での利活用が促進される。

2-1.NCDCを通じた高精度測位データの利活用促進のための枠組みを構築し、利活用促進に向けた計画及びパイロット事業計画を策定する。
2-2.NCDCを通して配信される高精度測位データを活用したパイロットをタイにて実施する。
2-3.高精度測位データを活用したタイにおける民間企業のビジネス展開に資する市場調査・セミナーを行う。
2-4.タイ周辺国を対象に高精度測位データの利活用に関するワークショップを実施する。
2-5.タイにおける電子基準点及びGNSSに係る・教訓の整理と市場調査及び経済効果に係る考察を行い、セミナー等で共有する。

投入

日本側投入

専門家派遣
・業務主任者/NCDC・CORS運営計画/利活用促進支援
・NCDC運営維持管理
・基準座標系管理
・品質管理/データ配信支援
・高精度測位実証事業計画/ビジネス展開支援
・研修・セミナー計画
・市場調査/経済分析
研修員受け入れ:データセンターの運営、データ配信管理、利活用事例等(国土地理院、民間企業)

相手国側投入

カウンターパート(C/P)の配置
案件実施のためのサービスや施設、現地経費の提供