薬価について学ぶ:第2回診療報酬制度ワークショップ

2021年9月14日

日本の診療報酬制度を学ぶ第2回ワークショップを、日本から2名の講師を迎え、9月14日にオンラインで開催しました。タイの国民医療保障機構(NHSO)、保健省食品医薬品局(タイFDA)、診療報酬審議会などから約40名が参加し、日本の診療報酬制度における薬価の設定について学び、活発な討議を行いました。

第1回診療報酬制度ワークショップで重要な課題として挙がったのが薬価の設定です。関係者の中で、タイと日本の間でその経験を共有すべきだと意見が一致して、今回の開催に至りました。

薬価は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の中で非常に重要な要素の一つです。薬価が決まり、その国の公的保険が適用されるか否かで、多くの人々がその薬にアクセスできるかどうかが決まります。ひいては、特定の疾患が治療可能なものになるかどうかを規定しています。しかし、ここで難しいのは、それぞれの関係者が納得する薬価の決め方です。製薬企業は、医薬品の販売で利益を得て、新たな医薬品の開発に投資しなければなりませんし、医療機関・薬局は、薬を購入した価格以上で、保険者から償還を受けなければ赤字になります。一方、政府は財源が限られています。

本ワークショップでは、タイの薬価制度・政策についての紹介に続いて、日本の専門家より、良い薬が、適正な価格で、安定的に必要量提供されるための、薬価の基本概念と日本の制度について講義が行われました。熱心に聴講するタイの参加者からは、薬価の設定および改定の方法について次々と質問があがりました。特に、薬局の調剤や服薬指導などの技術料が、日本では薬価とは別項目で支払・償還がなされるのに対して、タイでは薬価に含まれている制度上の差異、市場調査に基づく診療報酬改訂時の薬価の設定の仕方、希少疾患に対する治療薬の価格設定方法等について、高い関心が寄せられました。

創薬国である日本と、ジェネリック薬品を中心に採用しているタイでは薬価の設定における環境が異なりますが、共通する課題を抱えていることがわかりました。プロジェクトは、薬価システム向上のため、さらに課題を掘り下げて学び合う機会を準備してまいります。

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