プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)バンコク首都圏都市鉄道新マスタープラン(M-MAP2)策定能力向上プロジェクト
(英)Project for enhancing capacity of formulation of the Second Mass Rapid Transit Master Plan in Bangkok Metropolitan Region(M-MAP2)

対象国名

タイ王国

署名日(実施合意)

2021年3月1日

プロジェクトサイト

バンコク首都圏

協力期間

2021年6月8日から2024年6月24日

相手国機関名

(和)タイ運輸省鉄道局
(英)Department of Rail Transport(DRT)

背景

タイでは、2010年に策定されたバンコク首都圏鉄道マスタープラン(M-MAP)に基づきバンコク首都圏の主要路線の整備には一定の目途がついたと考えられる一方で、タイ政府は、M-MAPは需要予測の精度、駅・ルートや他交通モードとの連結性、都市鉄道と都市整備計画の統合促進等に課題を抱えていると考えており、これら課題への対応策を検討するとともに、新規路線の整備計画を含む将来を見据えた新たなマスタープラン(The Second Mass Rapid Transit Master Plan in Bangkok Metropolitan Region、M-MAP2)を策定する計画としています。

前タイ運輸大臣からM-MAP2の策定についてJICAへ協力要請がなされ、2017年3月、JICAとタイ運輸省交通政策計画局(The Office of Transport and Traffic, Policy and Planning、OTP)は、M-MAP2に係る「骨太の方針(Blue Print)」の策定及びM-MAP2の詳細計画の策定につき合意しました。JICAは2017年9月から、M-MAP2にかかる「骨太の方針(Blue Print)」策定及び現行の需要予測モデル改訂に向けた課題抽出等を中心に必要な情報収集を行うため、基礎情報収集・確認調査を実施し、同礎調査の結果、2019年1月に「骨太の方針(Blue Print)」がthe Commission for the Management of Land Trafficにより承認され、今後の調査はタイ政府が主体的に責任を持ち実施していくことが確認されています。また、2019年4月には、政策立案から監督まで鉄道行政全般を所掌する新部局として、タイ運輸省に鉄道局(Department of Rail Transport、DRT)が設立され、今後のM-MAP2の策定もDRTが実施機関として取り組むことが確認されました。

基礎調査においては、政策の検討プロセスや検討内容の客観性・中立性を高めるため、タイ政府への政策検討プロセスへの支援として、日本とタイ双方の有識者を交え、マスタープランの検討を行う各種ワーキンググループ(WG)が設立されました。一連のWGを通じて、現行の需要予測モデルにおける課題やM-MAP2策定に向けて本格的に取り組むべき新たな課題も明らかとなっています。タイ側は、これらの課題を踏まえつつ、鉄道需要予測モデルの作成とM-MAP2詳細計画の策定に取り組むが、モデル分析に係る経験が未だ不足している状況を踏まえると、日本側からも各種WGへの参加等を通じて、継続した支援が必要です。

このような背景から、本プロジェクトでは、タイ側が自律的にM-MAP2の策定に取り組みながらも、日本としても、策定される計画がこれまでの基礎調査の内容を反映した質の高いものとなるよう働きかけていくことで、タイ政府の鉄道マスタープラン策定能力の強化を支援するものです。

目標

上位目標

バンコク首都圏における持続可能で総合的な交通ネットワークの整備が図られる。

プロジェクト目標

タイ政府、DRTの将来の鉄道マスタープラン策定の能力が向上する。

成果

1.新たな鉄道需要予測モデルが作成される。
2.M-MAP2詳細計画の策定が行われ、タイ政府による承認プロセスに諮られる。
3.M-MAP2の具体的な実現に向けた取り組みが推進される。

活動

1.新たな鉄道需要予測モデルの作成

1-1.既存のマスタープランのレビューを行う。(タイ側)
1-2.M-MAP2「骨太の方針(Blue Print)」及び基礎調査で示された課題のレビューを行う。(タイ側)
1-3.鉄道需要予測モデル改訂に向けた計画を立てる。(タイ側)
1-4.1-3.に対する助言を行うとともに、コロナウイルスの公共交通に与えた影響の分析及びポストコロナ後の社会を踏まえた公共交通の在り方の検討を行う。(JICA)
1-5.既存の交通調査結果のレビューや、OTPが別途実施するHouse Interview Surveyの結果を確認し、交通需要データを整理する。(タイ側)
1-6.1-6の結果を踏まえ、アクセス調査、Stated Preference調査等必要な調査を追加で実施する。(タイ側)
1-7.タイ側の取り纏めた交通需要データに対するレビューや助言を行う。(JICA)
1-8.需要予測の前提条件の見直しと現況OD表の再現を行う。(タイ側)
1-9.1-8.に対する助言を行う。(JICA)
1-10.最新需要予測手法のレビューを行い、新たな鉄道需要予測モデルを作成する。(タイ側)
1-11.タイ側が作成した鉄道需要予測モデルのレビュー及び助言を行う。(JICA)

2.M-MAP2詳細計画の策定

2-1.都市開発、都市交通等の現状やトレンド分析と、主要課題の特定を行う。(タイ側)
2-2.2-1.に対する助言を行う。(JICA)
2-3.特定された課題の分析と改善案を検討する。(タイ側)
2-4.2-3.に対する助言を行う。(JICA)
2-5.活動1で作成された需要予測に基づき新たな路線計画を策定する。(タイ側)
2-6.2-5.に対するレビュー及び助言を行う。(JICA)
2-7.2-6に加えて、各路線につき運賃収入以外の収入最大化を図る財務手法についての検討も実施する。(JICA)
2-8.各路線についての開発計画や政策を策定する。(タイ側)
2-9.2-8.に対するレビュー及び助言を行う。(JICA)

3.M-MAP2の具体的な実現に向けた取り組み

3-1.M-MAP2の策定に関してセミナー開催などの広報活動を行う。(タイ側、JICA)
3-2.政策立案に向けた政府機関、鉄道事業者、有識者等の対話のためのプラットフォームを構築する。(タイ側、JICA)
3-3.M-MAP2の実現に向けた取り組みについて議論するWGを開催する。(タイ側、JICA)

投入

日本側投入

短期専門家(都市交通計画、都市計画、鉄道事業運営、都市鉄道計画、路面公共交通、交通需要予測評価、経済財務分析、環境社会配慮、広報、研修計画)、日本側有識者の助言・ワーキンググループ等への参加、研修員受入(本邦研修)

相手国側投入

カウンターパートの配置、プロジェクト実施に必要なスペースの提供、タイ側コンサルタント