キックオフセミナーが開催されました。

2015年10月9日

2015年9月から開始されたウクライナ国空間情報プロジェクトは、インセプションレポートの説明・協議、プロジェクト調査委員会(Project Coordinates Committee;PCC)の開催後、National Geo-Spatial Data Infrastructure(国家空間データ基盤(以下、「NSDI」))の構築を目指した本プロジェクトの内容を広く関係者に知ってもらうことを目的として、キックオフセミナーを開催しました。

セミナーは、2015年10月9日にキーウ市内のヒルトンホテルの会議室で開催し、カウンターパート機関である“The State Service of Ukraine for Geodesy, Cartography and Cadastre”(測地・地図・地籍庁(以下、「SSGCC」))の長官をはじめ、ウクライナ国側からは関係機関の長および関係者が参加し、日本側からは在ウクライナ日本大使館や調査団などが参加した結果、約100名が集う大規模なセミナーとなりました。また、テレビ局、新聞社、専門雑誌記者などのマスコミ・報道陣が多数取材に訪れました。

セミナーは、次のプログラムに沿って実施されました。
1.Opening Speech
2.Welcoming Speech
3.Global Importance of Geospatial Information Ukraine Case
4.Introduction to Project
5.Presentation of the Pilot Project
6.Case Study:Japanese
7.Q&A Session
8.Closing Remarks

測地・地図・地籍庁の長官のオープニングスピーチ、そして日本大使館からの歓迎スピーチの後、ウクライナにおける地理空間情報の汎用的な重要性について、ウクライナ側からプレゼンテーションがありました。

"Global Importance of Geospatial Information Ukraine Case"では、ウクライナ側より、SSGCCの政府機関内での位置づけ、役割、活動の概要説明がなされ、特にNSDIに関する現在に至るまで彼らの活動歴が紹介されました。この中では、ウクライナの地理空間情報が、ヨーロッパの地理空間情報の標準であるINSPIRE(欧州空間情報基盤)に影響を受けていることが説明されました。その後、本プロジェクトが実施に至った経緯と、その概要の1部分が紹介されました。

"Introduction to Project"では、調査団側より、本プロジェクトは、1.NSDI構築・運用計画作成、2.関連機関連携の確立、3.地情報標準案作成、4.NSDIプロトタイプ構築、5.C/P、関係機関能力強化、という5つの成果により成り立っていることが紹介されました。

"Presentation of the Pilot Project"では、ウクライナ側より、パイロットプロジェクトのプレゼンテーションがあり、世界銀行の支援のもとに実施された“国家地籍システム”の実施過程や成果、そして現在の活用状況が報告されました。その後、本プロジェクトでのプロトタイプ作成に関係する諸要素(*パイロット対象面積、*想定する地理空間データ項目の分類数および項目総数、*根拠とする標準、*データ作成技術の開発、*データの閲覧技術の開発、*データの統合化技術の開発、*データサービスの実施、*必要なソフト/ハードの明確化)について、報告がなされました。また、発表の最後には発表者であるSate Land Cadastre CentreのMs. Alla Kovalovaより、「ウクライナにおけるNSDIの構築は、効果的な意思決定へ適用でき、すべてのレベルでの予算節約に貢献でき、透明性と投資の呼び込みへの貢献が期待出来る。また緊急事態のシミュレーションやそれを避ける方法が得られる。そして、ウクライナの経済発展を判断する各種の解析ができるようになる」との言及がなされました。

"Case Study:Japanese"では、調査団側より、ケーススタディとして日本におけるNSDIの発展史と現在のNSDIの活動状況の紹介がされました。この中では、NSDI開発のきっかけとなった2つの大災害での地理空間情報の重要性の認識や、日本でのNSDIの定義、標準化の過程が紹介されました。そして日本のNSDIの基本法、現在のクリアリングハウス、基盤地理情報そしてウェブサービス、NSDIに関係する関連機関の連携の実体が説明されました。

"Q&A Session"では、プロジェクトへの関心の深さから、様々な機関よりパイロットエリアに関する質問や作成する地理空間データの縮尺レベル、作成に用いるソフトウエアの種類、さらには標準としてのINSPIREとの関連性やデータ共有の為のシステム構成手法など、数多くの質問がなされました。

これらの後に、SSGCCのMr.Maksym Martyniukよりクロージングリマークがなされ、盛況の内にセミナーを終えました。

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カウンターパート(State Service of Ukraine for Geodesy,Cartography and Cadastre)の委員長挨拶風景

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山田団員(国際航業株式会社)によるプレゼンテーション