プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)インフラ工事品質確保能力向上プロジェクト
(英)Project for Capacity Enhancement in Construction Quality Assurance

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2010年3月26日

プロジェクトサイト

ハノイを拠点に、ベトナム国全土

協力期間

2010年5月16日から2013年3月31日

相手国機関名

(和)建設省国家品質検査局
(英)State Bureau of Construction Quality Inspection, Ministry of Construction

背景

ベトナム(以下、「ベ」国)では、ドイモイ政策により経済の開放が進められ、2007年1月にはWTO加盟を果たし、近時インフレ等の懸念材料はあるものの、近年の海外直接投資の増加を梃子に概ね順調な経済成長を実現している。また、国家開発目標を実現させる力強い経済成長を持続させるため、数多くの大規模インフラの整備計画を策定し、事業化も順次行われている。

しかし、大規模インフラ建設の実施に関する経験が不足していることに加え、建設事業一般における品質管理・安全管理に対する配慮が十分に行き届いていない事情により、建設現場における事故が続出しており(交通分野のみにおける建設中の労災が過去3年で1540件発生し、92名の死者、1592名の負傷者を出した)、早急な対策が求められている。

「ベ」国の建設事業の品質管理・安全管理の主たる問題点としては、(1)検査業者の能力・経験不足による不十分な検査体制、(2)監督者の技術力不足による不十分な監督、(3)建設業者評価制度の欠如による建設業者側の品質管理向上インセンティブ欠落、などが挙げられている。

「ベ」国における建設事業の品質管理体制は、中央政府・地方政府、国営企業、民間企業などに属しつつ、全国に約600箇所以上展開している大小の「建設事業品質管理技術センター(CQM)」が部分的に関与している。これらセンターは、発注者から依頼される場合に限って、保有している検査機材の量やレベルおよびスタッフの規模や技術レベルによって、対応可能なレベルの建設事業における材料検査、完成後の強度等の検査および施工中の品質監督を行っている。しかし、建設事業の品質管理において特に重要な施工中の監督業務は、民間建設コンサルタントに委託されるケースも多い。

「ベ」国政府は、上記各センターの連携、能力向上などを目的として、同センターの全国ネットワークを構築したが、600箇所以上のうち140箇所のみの参加にとどまるなど、ネットワークとしての活動はまだ十分ではない。また、建設事業の品質管理を目的とした法制度の改定を行ったが、施行力はまだ弱く、上述の問題点を解決するうえで十分な取り組みとはなっていない。加えて、民間建設コンサルタントの現場監督能力の強化も課題として残されている。

かかる状況を踏まえ、「ベ」国政府は、大規模インフラ建設を中心とした建設事業の品質管理・安全管理の強化を図るべく 、我が国に対し技術協力による支援を要請した。

目標

上位目標

ベトナムにおける建設プロジェクトの品質管理が十分機能する。

プロジェクト目標

インフラ工事の品質管理に関わる法令規則、制度及び技術基準を制定・管理する政府機関の品質管理体制基盤が整備される。

成果

  1. 建設工事に関わる品質管理制度が改良される。
  2. 建設工事に関わる品質管理技術基準が改良される。
  3. 本プロジェクトの成果普及促進のための研修体系が改良される。

活動

成果1: 建設工事に関わる品質管理制度が改良される。

  • 品質確保に焦点をあて、プロジェクト管理手法を改良するとともに、関係者間(事業主体、工事発注者、施工管理技術者及び建設業者)の責務権限区分の見直しをおこなう。
  • 行政機関(MOC、CQM、人民委員会のうち、特にMOC)が実施している建設プロジェクト品質検査制度を改良する。
  • 建設業者の登録・評価制度および登録・評価情報管理システムを構築する。
  • 建設業者のクラス分け及び選定のために、開発した建設業者登録・評価情報管理システムを実際のプロジェクト管理に適用する。
  • 技術者育成のための職業技術資格制度を改良する。

成果2: 建設工事に関わる品質管理技術基準が改良される。

  • プロジェクトにおいて品質管理技術構築の対象となるインフラの種別を選定する。
  • 選定したインフラを対象に、建設工事品質管理マニュアル及び建設工事標準仕様書の基本構成を作成する。
  • 作成した基本構成を基に、土木工事を事例として、建設工事品質管理マニュアル及び建設工事標準仕様書を作成する。
  • インフラ工事全般にかかる建設工事安全管理マニュアルを作成する。

成果3:本プロジェクトの成果普及促進のための研修体系が改良される。

  • 現在の研修制度に関し情報収集と分析をおこない、問題点を抽出する。
  • 研修内容、対象者、実施体制などを盛り込んだ研修改善方針を作成し、関係者の合意形成を図る。
  • 研修体系(案)及び研修計画(案)を作成する。
  • 関係者ヒアリングを実施し、研修体系(案)及び計画(案)の修正を行う。
  • 研修体系及び計画をもとに、パイロット研修を実施する 。

投入

日本側投入

  • 専門家派遣
    • 長期:建設工事品質確保アドバイザー(国土交通省)
    • 短期:行政組織/品質管理制度、品質検査制度、請負業者選定・登録制度、請負業者評価制度、施工管理技術者資格制度、品質管理マニュアル、建設工事標準仕様書、建設工事安全管理マニュアル、研修計画、建築技術、登録・評価コンピュータシステム構築、業務調整等
  • 本邦研修
  • 供与機材(コンピューター及びデータベースソフト、車輛等)

相手国側投入

  • カウンターパートの配置
  • 専門家執務室および附帯施設の提供
  • 出張費等

不良な施工状況例

【写真】ダム工事の現場の1シ−ン。安全面では、手前の2人は、適切な足場を組まずに、代わりにコンクリート打設用シュートの上で作業をしており、1人は安全帯を着用していないという状況です。また、品質管理面では、建設用機材、資材等が煩雑に置かれており、型枠に変形が見られ、また打設後のコンクリートに補修跡のようなものが見られます。