プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)北西部水源地域における持続可能な森林管理プロジェクト
(英)Project for Sustainable Forest Management in the Northwest Watershed Area

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2010年5月28日

プロジェクトサイト

ディエンビエン省

協力期間

2010年8月15日から2015年8月14日

相手国機関名

(和)農業農村開発省、ディエンビエン省農業農村開発局、ディエンビエン省人民委員会ほか

背景

ベトナムの森林地域に居住する住民の多くは少数民族を中心として貧困状態にあり、また適切な森林管理がなされていないことから、天然林の質や生物多様性は劣化を続けている。ベトナム政府は1998年に「500万ヘクタール国家造林計画」(661プログラム)を、農業農村開発省は2001年に「森林開発戦略(2001〜2010)」を策定し、森林面積の増大、住民生活の向上などに取り組んでいる。その後、援助機関の考えも積極的に取り入れつつ、上記戦略を改訂し、より包括的かつ高度な内容の「森林開発国家戦略(2006〜2020)」をベトナム政府として策定し、森林の質・量の回復に取り組んでいる。さらに、「661プログラムの一部見直し」(2007年7月)を行い、保全林においても住民が便益を得られるよう特用林産物(NTFP)の開発に特別な配慮をすることなどを定めている。

これら取り組みにより、1995年には28%まで低下したベトナムの森林被覆率は2008年時点で39.6%まで回復しているものの、2020年目標(森林被覆率47%、GDPに占める林業の割合2〜3%、林業による新規雇用創出200万人)の達成は道半ばである。特に、ホアビン、ソンラ、ディエンビエン、ライチャウの北西部4省は、ホアビンダムやソンラダムの重要な水源であるが、貧困率が極めて高く、薪材の採取、焼畑や森林の農地転用などから、森林の荒廃が依然として激しい地域である。

このうちディエンビエン省では、森林計画上は保全林が林地の約55%、生産林が約40%を占め、保全と利用の両立を目指している。しかし実際には生産林、保全林、特別利用林の3区分それぞれの境界、ならびにこれら林地と農地などの境界が不明瞭であり、さらに林地の半分近くが荒廃(森林被覆が減退)した状況にある。北西部地域は全体的に他の地域に比べて各世帯への森林の分与が進んでいるものの、机上で進められた分与と現地の状況とが必ずしも対応していないことが、森林所有・利用権の曖昧さを生んでおり、森林全体として公益的機能が重要であるにも関わらず、効果的な森林管理に多くの課題を抱えている。

かかる状況に対して、技術協力プロジェクト「ベトナム北部荒廃流域天然林回復計画(RENFODA)」(2003年10月〜2008年9月)は、天然林回復の適正な技術体系を整備することを目的として、北西部のホアビン省において活動を実施し、現場で活用可能な農林畜産業技術の開発(研究およびオンファームトライアル)などについて成果を上げてきた。

北西部の森林回復を現実のものとし、森林による水源涵養機能の発揮を図るためには、(i)RENFODAの成果としてのオンファームトライアルの発展的活用・非木材林産物の導入を通じた農民の生計向上により、森林破壊の抑制を図ること、(ii)分与された森林をコミュニティとして管理することで、公益的機能を担保する仕組みを導入することが必要である。また、上記の活動の主体となる北西部各省の農業農村開発局や保全林管理事務所の実施能力強化、将来の普及展開戦略も必要である。

以上の背景から、ベトナム農業農村開発省は我が国に対し、上記の諸要素に配慮した北西部の持続可能な森林保全に係る技術協力を要請した。

目標

上位目標

ディエンビエン省内の追加パイロットサイトに類似した条件地において、省REDD+アクションプランの実施を通じて、参加型による森林管理と生計向上が進む。

プロジェクト目標

省REDD+アクションプランの実施を通じて、(プロジェクトパイロットサイトにおいて)参加型による森林管理と住民の生計向上が進む。

成果

1. 追加パイロットサイトにおけるREDD+アクションプランの有効性・実現可能性が検証される。
2. 実施機関(中核機関、支援機関)の省REDD+アクションプラン実施のために必要な技術・制度的能力が強化される。
3. ディエンビエン省において、省REDD+実施のために必要な計画と技術資料が作成される。

活動

1-1 パイロットサイトを選定する(注1)
1-2 社会経済調査を実施する(注2)
1-3 土地利用と森林の使用権の現状を明確化し、利害関係者の合意を得る(注3)
1-4 コンサルテーション会合を通じて、パイロット活動の導入と形成に向けて住民の参加を促す(注4)
1-5 各追加パイロットサイトにおいてREDD+アクションプランを策定する(注5)
1-6 各追加パイロットサイトにおいてREDD+アクションプランを実施する(注5)
1-7 パイロット活動の進捗をモニタリングする(注6)
1-8 パイロット活動の結果を評価・分析する
1-9 パイロット活動の教訓を利害関係者と共有する
注1:「パイロットサイト」は、次のとおり区分する。(1) 当初パイロットサイト(プロジェクト開始当初に選定した7 サイト)、(2) 追加パイロットサイト(REDD+パイロットプロジェクトにて選定したサイト)。追加パイロットサイトは、2 コミューン(Muong Muon, Muong Phang)を選定。
注2:社会経済調査に関しては当初パイロットサイトでは実施済である。追加パイロットサイトに関しては、今後、実施予定。
注3:当初パイロットサイトに関しては実施済である。追加パイロットサイトに関しては、今後、実施予定。
注4:コンサルテーションに関しては当初パイロットサイトに関しては実施済である。追加パイロットサイトに関しては、今後、実施予定。
注5:当初パイロットサイトにおいては、参加型森林管理・生計向上計画のみ実施。追加パイロットサイトにおいては、REDD+アクションプランで定められた活動を実施予定。
注6:パイロット活動とは、当初パイロットサイトと追加パイロットサイトの各々の計画の中で実施される活動を指す。

2-1 実施機関の役割を特定し、省REDD+アクションプランの実施体制と年間活動計画を策定する
2-2 実施機関による省REDD+アクションプランの実施を支援する
2-3 実施機関スタッフを対象に省REDD+アクションプラン実施のための技術研修を実施する
2-4 実施体制の有効性及び実施機関の能力を評価し、改善に向けた提言を行う

3-1 参加型による森林管理と住民生計向上についての既存の技術資料をレビューする
3-2 省REDD+アクションプランの実施に利用可能な既存の政府資金ならびにその他の外部資金をレビューする
3-3 既存の技術資料(活動3.1)、利用可能な資金情報(活動3.2)、パイロット活動を通じて得られたノウハウを整理統合して、技術ガイドラインを編纂する
3-4 省REDD+アクションプランを実施し、ディエンビエン省におけるREDD+パイロット活動の成果をレビューする
3-5 必要に応じ省REDD+アクションプランを改訂する
3-6 提言を取り纏め、中央政府並びに他の関連機関に提出する

投入

日本側投入

1.専門家(長期)
チーフアドバイザー/省REDD+計画・体制、業務調整、等
2.専門家(短期)
計測・報告・検証(MRV)、GISベータベース構築・運用、等
3.機材供与:必要に応じ
4.研修員受入、第三国研修
5.現地活動費

相手国側投入

1.カウンターパート人材の配置
プロジェクトディレクター、副プロジェクトディレクター、プロジェクトマネージャー、他の技術・事務職員
2.プロジェクトオフィス、会議室、必要な機器等
3.カウンターパート予算