ベトナム中部地域は、熱帯低気圧(台風を含む)及び季節風の影響とラオスとの国境に沿って続く脊梁山脈の影響が相まって豪雨が多発する地域である。加えて、ラオスとの国境沿いの山脈と海岸が近接しており、降雨が河川に流出するまでの時間が短いことから、下流域では急激な増水による洪水被害が多発し、また、地形の急峻な中上流域では地すべり、斜面崩壊、土石流、フラッシュ・フラッドなどが発生する。このような気候・地形条件によって、ベトナム中部地域は毎年のように風水害、土砂災害の被害に見舞われ続けてきた。さらに、ベトナムにおいては、気候変動の影響によると考えられる台風等の熱帯低気圧による被害の大幅な増加、豪雨の多発とそ…