プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)母子健康手帳全国展開プロジェクト
(英)Project for Implementing Maternal and Child Health Handbook for Scaling UpNationwide

対象国名

ベトナム

プロジェクトサイト

ハノイ市、ディエンビエン省、ホアビン省、タインホア省、アンザン省

署名日(実施合意)

2010年12月27日

協力期間

2011年2月14日から2014年12月13日

相手国機関名

(和)保健省母子保健局
(英)Maternal and Child Health Department, Ministry of Health

背景

近年、ベトナム社会主義共和国(以下「ベ」国という。)では、政府による保健医療改革、急速な経済成長による副次的効果や各国の開発パートナーの援助によって、乳児死亡率、妊産婦死亡率、出生時平均余命等の全国平均の基礎保健指標は年々改善されてきている。しかし、貧困層や地方住民、少数民族の保健指標は全国平均と比較すると極めて低く、その格差が課題となっている。「ベ」国政府は乳児死亡率(2000年36.7/1000出生→2010年25/1000出生)、5歳未満児死亡率(2000年42/1000出生→2010年32/1000出生)、5歳未満児低体重率(2000年33.8%→2010年20%未満)等、ミレニアム開発目標(MDGs)を実現するために、さらなる母子保健の状況改善に向けた取り組みを進めている。

一方、こうした状況の改善のために、政府機関や各国の開発パートナー等により、独自の冊子やカード、パンフレット等が開発・導入された。受益者である母と子と、各プロジェクトとの関わりやモニタリングシステムを強化するツールとして配布されている。しかし、保健省が求める標準を満たしていない異なる複数の様式が併存し、多くの冊子の対象は妊産婦用または子ども用あるいは予防接種のみであるため、妊娠期から乳幼児期の健康状態を継続的にモニタリングできないという問題があった。そのためヘルスワーカーの業務負担が増えたり、受益者である母と子にとっても紛失しやすい、といった混乱が生じている。母子保健サービスの早期改善を目指す保健省にとっては、この状況は障害になりかねないとの認識があった。

このような状況の下、保健省は、1998年から我が国のNGOが南部のベンチェ省において、また2009年から北部の山岳地域のハザン省において導入・普及した母子健康手帳の有用性と展開に着目した。上記課題の解決を図るために、保健省は母子健康手帳を全国レベルで導入したいと考えている。包括的なホームベースの記録物としての母子健康手帳の導入を通じ、ヘルスワーカーや妊婦とその家族は、妊娠期、出産、産褥期、新生児期、小児期までの健康状態を継続してモニタリングすることができる。そして特に医療サービスへのアクセスが課題となっている地域においては、母子健康手帳の導入が妊産婦死亡率、乳児死亡率や5歳未満児低体重率を改善することに貢献するだろう。

保健省は全国標準となる母子健康手帳を導入するために、まずはハザン省で使われた母子健康手帳を見直し、地域特性の異なる複数の省でパイロットとして試用することが必要であると考えている。そしてその有効性及び効率性を実証した結果を踏まえて、全国普及に適した内容への改訂、普及方法の改善等を行うことが必要と判断し、「ベ」国政府は、我が国に対し、本技術協力プロジェクト「母子健康手帳全国展開プロジェクト」を要請した。

本プロジェクトは、まず条件の異なる地域・社会グループを抱えるベトナムの代表的な4省(ディエンビエン省、ホアビン省、タインホア省、アンザン省)を対象に母子健康手帳を導入する。それは各対象省の保健局(Department of Health; DOH)を中心とした保健行政組織のマネジメント及びモニタリング機能強化、各レベルでの研修活動、モニタリング活動、実施プロセス・効果の評価活動等を通じて実施される。そして、当該パイロット4省での経験及び評価結果を基に、全国標準となる母子健康手帳及びガイドラインを完成させ、全国展開に向けたプロモーション活動及びアドボカシー活動が開始されるという、2段階構造のプロジェクトである。

上位目標

全国的に母子健康手帳が活用されることにより、母子保健が改善される。

プロジェクト目標

全国標準版の母子健康手帳が開発される。

成果

  1. プロジェクトの実施に関するマネジメント及びモニタリング能力が、全てのレベルにおいて強化される。
  2. 異なる特性の地域に適した母子健康手帳の導入方法が開発される。
  3. 母子健康手帳試行の知見や教訓がまとめられる。

活動

1. プロジェクトの実施に関するマネジメント及びモニタリング能力が、全てのレベルにおいて強化される。

  • 1-1. PMU(Project Management Unit)を設置するとともに、マネジメント及び実施メカニズムを構築する。
  • 1-2. PMUのマネジメント、モニタリング及び評価能力が改善する。

2. 異なる特性の地域に適した母子健康手帳の導入方法が開発される。

  • 2-1. 母子健康手帳および母子手帳を使用する保健医療従事者へのガイドラインを作成する。
    • 2-1-1. 母子健康手帳および保健医療従事者向けのガイドラインを編集、印刷し、各4省のPMUへ配布する。
    • 2-1-2. 妊婦、子どもの保護者、ヘルスワーカー、村落のヘルスワーカーやヘルスボランティア、4省の全てのレベルの私立機関を含む保健医療従事者に母子健康手帳を提供する。
    • 2-1-3. コミューンヘルスセンターやその他、妊婦健診、分娩、産褥、新生児や子どもの健康に関わる保健医療施設において、母子健康手帳を活用する。
  • 2-2. 4省のヘルスワーカー、村落のヘルスワーカーやヘルスボランティアのKAP(Knowledge, Attitude, Practice:知識・態度/意欲・行動)を改善する。
    • 2-2-1. 保健省及び4省のPMUスタッフに対し、母子保健手帳の内容及び使用方法に関する研修コースを実施する。
    • 2-2-2. 4省の省保健局、省リプロダクティブヘルスケアセンター、省人口家族計画支局、中級医療学校、女性連合、青年同盟、村落及びその他の関連組織のスタッフのための、母子健康手帳の内容及び使用方法に関する活動計画及び研修コースのオリエンテーションを実施する。
    • 2-2-3. 4省の全てのレベルにおけるトレーナーのためのトレーニング教材や方法を開発し、TOTで配布する。
    • 2-2-4. 母子健康手帳の内容、使用方法及び研修手法に関するTOTを実施する。
    • 2-2-5. 母子健康手帳やガイドラインの使用に関わる、ヘルスワーカーや村落のヘルスワーカー、ヘルスボランティア、私立機関のヘルスワーカーにトレーニングを実施する。
  • 2-3. 母子健康手帳を活用したIEC活動を実施する。
    • 2-3-1. 4省の妊産婦及び保護者に対し、母子健康手帳の内容及び使用方法を紹介する。
    • 2-3-2. 4省において、テレビ、ラジオ、新聞といったマスメディアを通じて、母子健康手帳を宣伝する。
  • 3. 母子健康手帳試行の知見や教訓がまとめられる。

  • 3-1. ベースライン、中間地点及びエンドラインの評価・調査結果に基づき最終報告書を準備する。
  • 3-2. エンドライン調査結果に基づき、母子健康手帳及びガイドラインを完成する。
  • 3-3. 母子健康手帳の印刷や配送に必要な見積もりを算出する。
  • 3-4. 母子健康手帳の使用に関するトレーニングについて、いくつかの最適なシナリオを提示する。
  • 3-5. JCCで承認を受けた、母子健康手帳の最終版とガイドライン、最終報告書を保健省に提出する。
  • 3-6. 国および各省の関係機関に、JCCで承認された母子健康手帳とそのガイドラインを提示する。

投入

日本側投入

  1. 専門家派遣
    • 長期:チーフアドバイザーと調整員
    • 短期:必要に応じて
  2. 本邦研修
  3. プロジェクトに必要な機材の提供
  4. 現地業務費

相手国側投入

  1. カウンターパート及びプロジェクトスタッフ
  2. プロジェクトの実施に必要な経常的経費
  3. 現地業務費