(1)ベトナムにおける人身取引の現状と課題
ベトナム国(以下、「ベトナム」)では、ドイモイによる市場経済導入後、経済発展が進む一方で地方と都市部での格差が拡大しており、更に国内外の人の移動が活発化するのに伴い、人身取引被害が深刻化している。
ベトナム公安省の報告によれば、「女性と子どもの人身取引予防・撲滅にかかる国家行動計画(2004年〜2010年)(以下、人身取引対策国家行動計画)」の実施後、2004年から2009年の過去6年間で人身取引事案は2,015件発覚しており、3,571名の加害者が検挙され、4,924名の被害者が把握されている。同計画実施にも関わらず計画以…