プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)ディエンビエン省REDD+パイロットプロジェクト
(英)Dien Bien REDD+ Pilot Project

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2011年12月16日

プロジェクトサイト

ディエンビエン省

協力期間

2012年3月1日から2013年9月30日

相手国機関名

(和)農業農村開発省森林総局、ディエンビエン省
(英)Vietnam Administration of Forestry(VNFOREST)-MARD, Dien Bien

背景

ベトナムの森林面積は、過去の戦争、人口増加と貧困による農地への転換や違法伐採等で1990年には国土の約27.7%まで低下した。これに対して政府は森林の回復を同セクターの重要目標として掲げ、327政策、661政策などの国家的取り組みの結果、2009年末には13,259千ha(約39.1%)まで回復している。しかしながら、2020年までに国土の47%へと森林面積を回復させるという政策目標は達成が危惧されており、森林面積のみでなく、森林の質の向上や持続的管理といった側面にも重要性が指摘されている。

これら課題への対策として、ベトナム政府の「開発途上国における森林の減少及び劣化による排出の削減並びに森林保全、持続可能な森林経営及び森林炭素蓄積量の増大(以下「REDD+」)への関心は非常に高まっている。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)にて主導されている国際的な議論を睨みながらREDD+を主導する農業農村開発省(MARD)森林総局(VNFOREST)に多国間・二国間ドナー、国際・国内NGO、そして国内の研究機関や大学等が協力する形で、各種取り組みが進められている。

特に2010年半ばを機に、「国家レベルでのREDD+準備」と並行して「準国家(地方省)レベルでのパイロット」を行い、そこで得られた知見をREDD+政策・制度構築へと活かすことで、将来的な「REDD+全国展開」(省単位での取り組みと目される)へと活かす方針へと移り始めた。これはCOP16で確認された「段階的(フェーズド)アプローチ」にも符号するものである。従って、現在策定中のREDD+の実施方針となる国家REDD+プログラム(National REDD+ Program:NRP)も当面は全体方向の提示に留まり、具体的な政策、制度、技術的手法に(国家レベルと準国家レベルの整合、参照排出レベル/参照レベル、有効なREDD+活動、計測・報告・検証方法、収益分配方法等)はむしろ「準国家(地方省)レベルでのパイロット」を通じた構築が待たれている。

また、前述の通り、森林面積が純増加にあるベトナムでは、天然林の面積は緩やかな減少が続いているものの、2次林と人工林の増加が合計面積の右肩上がりな推移に繋がっていると見られる。従って、森林減少・劣化のみに焦点をあてた狭義の「REDD」では、国全体では便益が少ない可能性がある。従ってベトナムのREDD+では、森林減少・劣化と炭素蓄積の増加を意味する「+」の両方が混在している状況を把握し、適切な層化区分により、「REDD」と「+」をそれぞれに捉える必要性が議論されている。

以上の背景からベトナム政府は2010年度に「東南アジア地域における森林情報整備プロジェクト」及び「気候変動対策の森林分野モデル事業実施能力向上プロジェクト」を要請し、我が国は森林・自然環境保全分野の有償勘定技術支援の対象案件として、採択した。なお、前者は森林行政、とりわけREDDの実施において重要となる森林情報整備に関する東南アジア地域での技術交流を、後者は中部高原地域におけるコミュニティフォレストリーの促進にREDD+の要素を部分的に考慮したものである。一方、ベトナムにおけるREDD+の推進には、ノルウェーの支援を受けたUN-REDDの取り組みが、国際機関、バイドナー、国際NGO、等多くのプレーヤーを巻き込み、ここ1年程度の間に急激に活発化しており、上記案件の要請、採択段階と状況が大きく変わっている。よって採択された2案件の内容の整理、統合を含め、ベトナムのREDD+推進のための協力方針を全体的に見直したうえで、協力方法を練り直す必要が生じた。

これに対して、JICAは、本プロジェクトの実施方針と具体的内容を検討するために2011年9月〜10月にかけて詳細計画策定調査を実施し、ディエンビエン省、及び、農業農村開発省森林総局と数次に亘る協議の結果、プロジェクトの基本計画をこれら機関と合意した。これに基づき、2012年2月にハノイにてRecord of Discussions(R/D)の署名・交換を行った。

目標

上位目標

本プロジェクト実施の教訓と経験が国家REDD+プログラム(National REDD+ Program:NRP)、及び関連政策に反映され、他省のREDD+実施に活用される。

プロジェクト目標

省REDD+プログラム(Provincial REDD+ Program:PRP)の策定を通じて、ディエンビエン省がNRPに沿ってREDD+を実施するための技術・制度能力が強化される。

成果

アウトプット1:パイロットエリアにおける実施計画が作成される。
アウトプット2:ディエンビエン省の測定・報告・検証(MRV)システムが開発される。
アウトプット3:ディエンビエン省の収益分配システム(BDS)のオプションが開発される。
アウトプット4:教訓がNRPの策定と実施、及び、他省のREDD+実施のために共有される。

活動

1-1. 開発調査(JICA REDD Study)の成果である省REDD+プログラムを、国家REDD+プログラム、省の現況、国際的なREDD+交渉の状況に応じて改良し、更新する。
1-2. パイロットエリアでのREDD+アクションプランを策定する。
1-3. 主要関係者に対する研修を実施する(OJT或いはOff-JT)
2-1. 利用可能なデータと追加バイオマス調査などの結果を用いて REL/RLを見直し、改良する。
2-2. PaMs(政策と対応策)のモニタリングを含むMRVシステムを修正する。
2-3. REDD+の5つの活動の成果モニタリングシステムを開発する
2-4. セーフガードに関する情報システムを構築する。
3-1. REDD+活動実施の潜在的な便益を算定する。
3-2. 資金源(支払/支援)を開拓する。
3-3. BDSオプションを修正する。
4-1. テクニカルワーキンググループとサブテクニカルワーキンググループへの参加を通じて国家REDD+プログラムにフィードバックを行う。
4-2. 地域ワークショップを開催する。

投入

日本側投入

1. 総括/ナレッジ・マネジメント
2. REDD+活動計画策定
3. 参照排出レベル(REL)/測定・報告・検証(MRV)制度
4. 収益分配システム(BDS)
5. 衛星画像解析
合計 40M/M
ローカルコンサルタント等

相手国側投入

1. プロジェクト期間中のカウンターパート配置
2. 施設、機材の維持管理(事務所管理費、事務所必要資機材)
3. その他、プロジェクトの運営に必要な経費