プロジェクト概要
プロジェクト名
(日)ベトナム国知的財産権情報活用プロジェクト
(英)Utilization of Intellectual Property Information
対象国名
ベトナム
署名日(実施合意)
2005年1月1日
協力期間
2005年1月1日から2009年3月31日
日本側協力機関名
特許庁
背景
JICAはベトナム知的財産権庁の事務処理・審査の効率化を目的として2000年4月から2004年6月にかけて、技術協力プロジェクトを実施した。同協力を通し、知的財 産権事務処理システムに必要なコンピュータシステムをカウンターパートとともに開発し、維持管理のために必要な技術を移転した結果、ベトナム知的財産権庁において日常的な 業務に同システムが活用されるに至っている。そして、ベトナムにおいて知的財産権がより適切に保護されるためには、知的財産権に係る出願がより迅速・正確さを増して処理さ れ、出願公開された最新の知的財産権情報に誰もが自由にアクセスできることが必要である。
上記事務処理システムが導入された現在においても、ベトナム知的財産権庁の審査官・審判官は自国を含め世界中に散在する膨大な先行文献・公開公報を図書・出版物を通して 手作業で調査しており、コンピューターを使用しないこのような条件下では情報量が限られることから、迅速・的確な審査・審判がなされているとは言い難い。
加えて、限られた部数の印刷物によってのみ知的財産権情報が公開される現状においては、自国はもとより世界中の知的財産権関係者、すなわち、出願人、発明者、異議申立 人、その代理人である弁理士、弁護士、あるいは技術者、研究者、さらには裁判所といった司法機関、税関、警察、外国特許庁等、公的機関の照会に実質的に十分な対応できない 状況にある。このような観点から、ベトナム政府は知的財産権情報の電子化、インターネットによる同情報の提供機能(IPDL)の充実を目的として知的財産権情報活用の技術 協力プロジェクトをわが国に要請してきた。
目標
上位目標:
ベトナム国において知的財産権が適切に管理・保護される。
プロジェクト目標:
NOIPにおいて、IP情報システムの活用を通じて、知的財産権の効率的な処理・管理・情報提供が行われる。
成果
- IP情報システムに必要な機器・設備が整備され、利用される。
- 検索システムがIP実体審査業務で利用可能となる。
- IP情報がインターネットを通じて公衆に提供される。
- 電子化されたIP出願の受付が可能となる。
- IP情報システムが適切に運用・管理される。
活動
- 1-1.
- IP情報システムに必要な機器・設備の導入計画・仕様を作成する。
- 1-2.
- 機器・設備を導入・設置する。
- 1-3.
- 機器・設備を維持管理する。
- 2-1.
- 実体審査業務を分析する。
- 2-2.
- 検索システムの要求仕様および開発計画を作成する。
- 2-3.
- 検索システムの設計および開発を行う。
- 2-4.
- 検索システムの機能テストと修正を行う。
- 2-5.
- 検索システムに必要なデータの整備を行う。
- 2-6.
- 検索システムの操作及びユーザマニュアルを作成する。
- 2-7.
- 審査官に検索システムの利用研修を行う。
- 2-8.
- 検索システムを実体審査業務に導入する。
- 3-1.
- IPDLで提供するIP情報の検討・整理を行う。
- 3-2.
- IPDLシステムの要求仕様および開発計画を作成する。
- 3-3.
- IPDLシステムの設計および開発を行う。
- 3-4.
- IPDLシステムの機能テストと修正を行う。
- 3-5.
- IPDLで提供するIP情報データの整備を行う。
- 3-6.
- IPDLシステムの操作及びユーザマニュアルを作成する。
- 3-7.
- インタネット上でIPDLを提供する。
- 3-8.
- IPDL利用の促進セミナー・講習会を行う。
- 4-1.
- 出願受付業務及び出願書類を分析し、IPASに適合する出願書類の電子様式を検討する。
- 4-2.
- 電子出願システムの要求仕様および開発計画を作成する。
- 4-3.
- 電子出願システムの設計および開発を行う。
- 4-4.
- 電子出願システムの機能テストと修正を行う。
- 4-5.
- 電子出願システムの操作及びユーザマニュアルを作成する。
- 4-6.
- NOIP登録課職員に電子出願システムの利用研修を行う。
- 4-7.
- 電子出願システム利用の促進セミナー・講習会を行う。
- 4-8.
- 電子出願システムを出願受付業務に導入する。
- 5-1.
- IP情報システムの維持・管理体制・規則を検討する。
- 5-2.
- IP情報システムの運用・管理規則を作成する。
- 5-3.
- IP情報システムの運用・管理・保守を行う。
- 5-4.
- IP情報システムの更新計画案(ハードウェア及びソフトウェア)を作成する。
投入
日本側投入:
- 長期専門家派遣(チーフアドバイザー、業務調整、知的財産権情報、知的財産権情報システム)
注)知的財産権情報システムの専門家は短期で対応することもある。 - 短期専門家派遣(商標検索、意匠審査業務、IPDL業務、知的財産権情報政策、知的財産権情報管理等)
- 機材供与(システム開発(検索システム、IPDLシステム、電子出願システム)、サーバ・端末等ハードウェア)
- 本邦研修(知的財産権情報政策、PCシステム等)
相手国側投入:
- PMUへのカウンターパート、秘書の配置
- ローカルコストの負担(通信費、光熱費、消耗品等)
- プロジェクトサイト施設・設備(日本人専門家執務室、会議室、資料室等)
- パートタイムカウンターパート、補助要員等の配置
- 機材措置(日本側による供与機材以外の必要機材)
- 日本人専門家に対する特権措置、供与機材及び専門家が使用する携行機材に対する輸入関税の減免措置