「IPAS-Uプロジェクト」の実施/電子出願の環境整備―NOIPの認識醸成

2008年3月31日

1:「IPAS-Uプロジェクト」の実施
2008年1月、NOIP(ベトナム知的財産権庁)は、MOSTの承認と予算措置を経て、長官をヘッドとする「IPAS-Uプロジェクト」を正式に発足させた。
プロジェクトの内容は、1)サーバー室の新設、2)ハード(サーバー及びクライアントPC類)の更新・増設、3)ソフトの改善、で期間は2010年末までの2年間である。
出願件数の増加とそれに伴う審査官およびスタッフの増員、並びに現在使用中の旧機材の更新、実勢に沿った文字コードへの変更などの必要性に対応するためのプロジェクトであるが、現UTIPINFOが3種のシステム(IP Sea, IPDL及びE-Filing On-line)の開発と機材の配備を行い、UTIPINFOの前身であるMOIPA(工業所有権業務近代化プロジェクト)が開発して現在実務に運用されている事務処理システム(IPAS)と併せて「NOIP・IP情報システム」を2009年初めに本格的に実稼動させる計画のなか、IPAS機材の旧式化に対応し、また施設を拡充する自発的な対処でもあり、日本側協力の自立発展性に寄与するものであると評価される。

2:「電子出願の環境整備―NOIPの認識醸成」
2008年1月30日、UTIPINFOのPDである副長官の主催で、長官以下NOIP職員を対象にした電子出願開発についての説明会が行われた。2009年初めには、NOIPの出願事務処理を効率的、迅速的、正確的に行う「NOIP・IP情報システム」の全面的な実体業務への移行が計画されている。この中で電子出願は今後NOIPが取り組むべき最大の開発課題である。ユーザーがこのシステムのメリットを得るためには新たな業務方法の認識や理解が重要であることから、まずは内部ユーザーとしてのNOIP職員の認識を高める環境整備の一環としてこの説明会が実施された。副長官によると、上位官庁のMOSTにおける2007年末の総括会議で、日本側の協力で電子化実施を計画しているNOIPは政府が推進している電子政府の先端として是非成功裏に実現すること、との指示があったという。 副長官は、NOIPがベトナム電子政府の先駆者となり得ることを睨みつつ、UTIPINFOの成果を実体業務に移行する環境整備を行いその成果を得たいと考えている。

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・E-Filing On-line:電子出願オンライン  
・IP:Intellectual Property:知的財産権  
・IPDL:IP Digital Library (IP電子図書館) 
・IP Sea:IP Search System (知的財産権検索システム)   
・IPAS:Intellectual Property Administration System(知的財産権事務処理システム)
・MOST:Ministry of Science and Technology (科学技術省)  
・NOIP:National Office of Intellectual Office in Vietnam (ベトナム特許庁)
・PD:Project Director
・PMU:Project Management Unit
・UTIPINFO:Utilization of Intellectual Property Information (知的財産権情報活用プロジェクト)