生産性向上をめざしてモデル農家を支援しています

2017年6月20日

ベトナム山岳地域の在来ブタ養豚農家の多くが小規模農家で、旧正月や冠婚葬祭など自家消費の目的で消費するケースが多いため、時間とコストをかけて飼育増産をめざすことはしないのが一般的です。販売ルートも市場と連結したものではないため、村を回ってくる仲買人に安価な金額で売却するケースも少なくありません。

こうした状況の中でプロジェクトでは、昨年4月から、ホアビン省ダバック地区の15モデル農家を対象として、早期離乳と疾病対策を通した生産性向上をめざして指導を行っています。これまでに、3回の研修が実施された他、豚舎の整備、ブタの水飲み場設置、出産直後から離乳までの飼育箱設置、雄ブタの提供、母ブタの出産記録、飼養管理や衛生指導など、様々な知識と技術を提供してきました。支援が開始されてから1年が経過し、少しずつモデル農家の意識にも変化がみられるようになってきています。
モデル農家によって状況は異なりますが、多くの農家が母ブタの数を増加する傾向にあり、生産性向上への意欲の高まりともとらえられる兆しが見え始めています。母ブタの出産記録をしっかりつけることで、適切な出産準備を行い、授乳中の母ブタと子ブタの栄養管理を強化し、確実に離乳を行うことを通して、次の出産計画をたてることができます。産まれてきた子ブタが確実に生き残り、早く大きくなることで、母ブタの次の出産が早期に可能になり、生産性が上がって行きます。こうしたプラスの連鎖の成果をモデル農家の人たちが実体験をとおして理解し、新たな養豚技術を取り込んでいけるよう、支援を継続していきます。
これまでほぼ自然放牧の状態で飼育してきた生活習慣(文化)を変えることは容易ではありませんが、逆にこのことから学ぶことも少なくありません。新しい技術をどのように取り込めばより生産性が上がるか、ベトナムの山岳地域に最も適した方法を、共に模索して行きます。

文責:山岸信子(業務調整員)

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母ブタの出産記録を確認する

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研修会には多くの農家の方々が参加しています。

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