第5回胚移植実験が行われました

2019年3月13日

胚(受精卵=zygotes)移植実験が行われました。今回の実験では、1月16日に実施された第4回胚移植実験に続いて、在来豚の卵母細胞と在来豚の凍結精子から受精卵を作製し、外科的に卵管へ注入(移植)を行いました。

ホアビン省から3頭の在来豚(バン種)の雌豚をベトナム国立農業大学(VNUA)に輸送し、卵巣を細切した後に卵母細胞を採取し、44~46時間の体外成熟過程を経て、在来豚の凍結融解精子と体外受精させました。5時間後に、卵丘細胞を除去した受精卵を国立畜産研究所(NIAS)の遺伝子保存センターに輸送しました。今回は、2頭のレシピエント(ランドレース種)にそれぞれ100前後の受精卵を外科手術によって卵管移植しました。受精卵が順調に成熟、着床すれば、約114日の妊娠期間を経て、子豚が産まれます。

今回の移植手術では初めて吸入麻酔を行いました。吸入麻酔は注射麻酔と異なり睡眠のレベルを一定に保つことができるため、レシピエントの負担が少なく、より安全に手術を行うことができます。

プロジェクト開始からこれまで5回の移植手術を実施し、ベトナムチームの胚移植の技術レベルは大きく向上しました。プロジェクトでは今後4回の移植手術を計画しており、成功すればたくさんの子豚の出産が期待されます。

文責:山岸信子(プロジェクト調整員)

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手術開始前に吸入麻酔器を確認する

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移植用の胚を作製するために在来豚の卵巣から卵を集める

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胚移植を実施するベトナムチーム