トゥアティエン・フエ省REDD+行動計画の第一次案固まる−森林と人材の持続的管理・発展に向けて−

2016年2月1日

当プロジェクトではベトナム国のREDD+への支援が活動の大きな柱の一つです。当国でのREDD+推進には世界銀行、UN-REDDプログラム(国連)(注)など多数のドナーが参画していますが、JICA及び当プロジェクトもこうした機関と連携の上、協力を進めています。

ベトナムは世界銀行の森林炭素パートナーシップファシリティ(FCPF)炭素基金の対象国でもあり、現在FCPFの主導の元、排出削減プログラム文書(ERPD)の準備が進められています。

ただ、炭素基金は成果支払いと対象とした基金で、実施資金が提供されないという課題があります。そこを補完するため、各ドナー間で協調して炭素基金からの支払いにつなげていくための動きがみられています。
現在炭素基金の対象となっている、ベトナム中北部6省のうち、JICAはトゥアティエン・フエ省に対しての支援をおこなっており、省の農業農村開発局(DARD)と協力の下、省REDD+行動計画の準備が進められてきました。この省REDD+行動計画は6省合同のERPDを準備する基礎となるものです。

省REDD+行動計画の原案作成後、2016年1月には省内の関係者を招いた協議会が同省にて開催され、様々な意見が交わされました。その後、細部を詰めた上で、省REDD+行動計画第一次案の提出がFCPFへなされました。

省REDD+行動計画の準備は、昨年10月よりわずか3か月という短期間でなされました。この成果のポイントの一つとして、省政府の関係者が実際の内容検討に深くかかわったことにあります。こうしたプロセスを経て、省関係者の中により効果的な森林政策、REDD+行動計画についての理解が生まれたことは大きな成果といえます。

同計画の策定に当たっては、まず直近5年間の森林の変化を把握するため、衛星画像を使用した分析をおこないました。この分析結果から判明した森林減少、劣化などの激しい地域に対し、次にその原因の特定を対象地関係者の聞き取り調査を通じておこないました。JICA専門家はその過程の調整と技術アドバイスをおこないましたが、主たる調査・報告書策定などの作業は同省関係者がおこなったことは特筆に値します。こうして完成した省REDD+行動計画第一次案は、カウンターパートのみならず、FCPF側からも好評を得ています。

こうした地元政府の主体的な取り組み及びその経験は、今後実際のREDD+/森林管理活動をおこなっていく上でも重要であると考えています。当プロジェクトは森林資源の持続的な管理・発展に向けて、人材という資源の持続的な成長も併せて見据えた上で今後も活動に取り組んでいく予定です。

(注)国連開発計画(UNDP)、国連環境計画(UNEP)、国連食糧農業機関(FAO)が共同で実施しているREDD+プログラム

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省の協議会にて発表する当プロジェクトの高橋専門家(写真左)。

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計画内容検討の様子。省政府関係者自らが計画策定に深く関わった。