第一回ランビエン生物圏保護区管理委員会総会が開催されました−生態系保全と持続可能な利活用の調和を目指して−

2016年7月30日

2016年7月29日にラムドン省ダラット市にて第一回ランビエン生物圏保護区管理委員会(LB-BR MB)総会が開催されました。

生物圏保護区(Biosphere Reserve: BR)は1976年にユネスコが開始したユネスコ人間と生物圏(Man and the Biosphere: MAB)計画における一事業として実施されており、日本では「ユネスコエコパーク」の通称で親しまれています。保存機能、学術的研究支援、経済と地域の発展という相互に強化する関係にある3つの機能を達成するために3つの地域(核心地域、緩衝地域、移行地域)が設定されていることがその大きな特徴のひとつです。

ビズップ・ヌイバ国立公園(BNBNP)を主体とするランビエン生物圏保護区(LB-BR)はベトナム国内では9件目、中部高原地方では初めてのBRとして2015年7月にUNESCOに正式登録され、2016年6月3日には同BRの常設の管理組織としてLB-BRMBがラムドン省人民委員会(LDPPC)の承認により設置されました。

当プロジェクトでは、このMABの枠組みを活用した同地域の生態系保全と住民の生計向上の両立を支援しています。LB-BR MBはその核となる組織で、1)同地域の管理計画策定及び実施支援、2)地域住民・民間企業・研究機関等の関係者による協働管理プラットフォームの構築・運用、3)ユネスコBR世界ネットワーク参加等を通じた国内外の関係機関との協力体制構築、等において中心的な役割を果たすことが期待されています。

第一回総会では、まず午前中、LB-BR MB、JICAべトナム事務所、当プロジェクト、MABベトナム、ベトナム国内のBR関係者等の参加による技術会議が開催され2017年の活動計画案などが検討されました。午後の総会には、中央省庁からの幹部職員及び地元村落代表(K’Ho族)を加えた約70名が参加し、LB-BR MB設立の正式発表、同MBの議長(LDPPC副議長)を含む9名の構成メンバーの就任、年間活動計画の検討など行われ、その中では日本における先進的な取組事例(宮崎県綾町)も紹介されました。

活発な意見交換の中で参加者からは、自然資源の保全のみならず少数民族の文化保護の重要性や、地域産物の付加価値を高めるLB-BRのラベル作成及び地域住民の要望を反映したマーケティング戦略策定の必要性が述べられる等、LB-BR MBが担う役割への期待の高さが伺えました。

今後、LB-BR MB総会は少なくとも年2回の定期開催とし、次回の総会は2016年11月下旬を予定しています。

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第一回LB-BRMB総会の様子

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JICAベトナム事務所 谷口光太郎次長より、LB-BR MB設立の祝辞が述べられました。

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宮薗浩樹チーフアドバイザーよりプロジェクトの成果はラムドン省のみに留まらず、ベトナムの他地域への横展開及び中央の政策への反映を期待されていることが説明されました。

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小田謙成専門家よりLB-BR MBへの支援内容につき説明が行われました。

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LB-BR MB国際助言委員会の一人である宮崎大学の大元鈴子氏からは宮崎県の綾BRでの地域産物のマーケティングに係る取り組みが紹介されました。日本の事例にて得られた知見活用もLB-BR MBから大きく期待されています。

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LB-BR MBの議長であるPham S氏(ラムドン省人民委員会副議長)からはJICAの継続的な支援に感謝が述べられるとともに、全てのMBメンバーのLB-BRに係る各種活動への積極的関与を求めました。

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翌30日のフィールドツアーでは参加者はJICAの支援を受けて建設されたビズップ・ヌイバ国立公園ビジターセンターにて、少数民族K’Ho族の文化に関するインタープリテーションを視察しました。

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LB-BRのコアゾーンに位置するBNBNP内のトレッキングでは、ガイドを務める地元住民(写真中央)から植物の名称や地元住民と自然資源の深い関わりにつき説明を受けました。