TT-フエ省のREDD+行動計画が承認

2017年1月6日

2017年1月6日にフエ市にてトゥア・ティエン−フエ省(以下、TT-フエ省)のREDD+行動計画(PRAP)承認発表ワークショップが開催されました。同ワークショップには中央政府機関、省人民委員会、農業農村開発局、省関連部局、郡各部局、森林管理委員会などを含む約60名の関係者が出席し、積極的な意見交換がおこなわれました。このワークショップは2015年末から策定が進められてきたPRAPの省人民委員会による承認を発表し、その内容について広く周知徹底することを目的としたものでした。

同省のPRAP(2016-2020)は、2012年に発出された国家REDD+行動プログラム(NRAP)の要請に基づいて準備が進められてきたもので、これまでにベトナム国内では10地方省がその承認を終えています(国内第一号はJICAの支援によるものでディエンビエン省で承認されています)。TT-フエ省はもともと当プロジェクトの支援対象には含まれていませんでしたが、ディエンビエン省での経験を買われた当プロジェクトが、政府から支援要請を受けたのが支援のきっかけとなりました。

同省のPRAPでは、省内の過去10年の森林の変化とその要因の分析に基づいて、その対策を中心に10個の目的が定められています。例えば森林保護(目的1)では全ての天然林の保護が掲げられており、住民参加型の森林保護体制を促進することや、森林モニタリングを強化することが掲げられています。また、植林(目的3)では裸地を中心に2020年までに4000haの新規植林をおこなうことや、生産林における伐採跡地への再植林やインフラ開発によって失われた森林の再植林を徹底することが掲げられています。

またパルプ用のアカシア植林が大きな産業となっている同省では、気候変動への適応(例えば益々予測不可能になる台風による被害への対策)を促進し、産品への付加価値を強化して中長期的なビジネスリスクを低減することも重要な課題となっています。このことから、目的4では、現在6年程度で伐採されてしまうアカシア植林の長伐期化(伐期を12年程度に伸ばし、付加価値を付けて木材として販売)や在来樹種への転換(より付加価値の高い木材として販売)を掲げ、より安定した木材の供給体制の確立を目指しています。この他にも、同省のPRAPには森林の天然更新や薪炭材の使用削減、森林に依存する人々の生計向上などの活動が含まれています。

同ワークショップの中で、当プロジェクトからは、(1)同省で天然林減少の要因となっている農業活動やインフラ開発分野との相互調整が重要であること、(2)現存の天然林を保護しつつ森林を増やす活動を同時におこなっていくことが重要であること、(3)林産物生産分野では短伐期の植林に過剰に頼っている現在の構造を改革し、長伐期化や在来樹種化を図って、植林地の災害リスクを低減すると同時に付加価値を高めていくことが重要であること、(4)PRAPの実施が地元民の生活に悪影響を与えることがないよう、生計向上策を併せて実施していくことが重要であることなどを言及しました。また、当プロジェクトとして、森林のモニタリング分野で継続的に同省を支援していくことも表明しました。

TT-フエ省でのREDD+実施はPRAPの承認を持ってスタートラインに立ったばかりです。今後、省内外の様々な協力を得ながら、同省がPRAPの実施を着実に進めていくことが期待されています。

【画像】TT-フエ省PRAP承認発表ワークショップの参加者。同計画の実施は彼らの肩にかかっている。