第6回ランビエン生物圏保護区管理委員会総会が開催されました。

2018年12月7日

2018年12月7日にラムドン省ダラット市にて第6回ランビエン生物圏保護区管理委員会(LB-BR MB)総会が開催されました。本総会では70名を超える参加者により、以下の通り多岐にわたるトピックに係る報告及び協議が行われました。

(1)LB-BR 5カ年管理計画の実施

ラムドン省人民委員会により2018年4月27日付けで承認された5カ年管理計画に基づき作成される、LB-BR MB所属関係機関による2018年の年間計画の実施状況及び策定中の2019年年間計画に関する報告がLB-BR MB副議長のLe Van Huong氏より行われました。当プロジェクト終了後の関係機関による年間計画の策定手順やモニタリング方法等に係り、更なる改善の必要性も明らかとなっていることをふまえ、当プロジェクトとしても年間計画策定ガイドラインの作成等、引き続き関係機関への支援を行う予定です。

(2)協働管理プラットフォームを通じた官民及び住民協働による牛舎改善及び有機堆肥生産

協働管理プラットフォーム(CMP)(注)での合意に基づき実施中の、牛舎改善及び有機物(牛糞・コーヒーパルプ等)を活用した堆肥生産活動について、積極的に活動に取り組んでいるLac Duong郡人民委員会(以下、DPC)のHoang Xuan Hai氏より説明がなされました。本活動は、地域住民の生計向上及び環境汚染緩和を目的として、2018年3月より官民及び住民協働で行われており、現在過度に依存している化学肥料の支出削減や、住民が利用する水源の水質汚染改善への貢献等、経済・環境面で大きな成果を挙げています。これらの成果を受け、DPCとして、2019年の独自予算を一部割当て、本活動の規模をさらに拡大していく方針も明らかにされました。当プロジェクトとしても、引き続きDPC及び関係機関への支援を進める考えです。

(注)協働管理プラットフォーム:LB-BR域内の課題を省政府機関、民間企業及び住民等関係者の協働によって効果的に解決するための場として、当プロジェクト支援の下、2018年1月にLB-BRMBによって設立されました。

(3)協働管理の試行的活動の評価及び今後の方向性

これまで試行されてきた協働管理に係る現場活動の評価及び今後の方向性について説明が行われました。これらの現場活動は、大きく3つのアプローチ(1.対象地域の主な生計手段であるコーヒー栽培の収益改善、2.生計手段の多様化、3.森林保全契約に基づいて実施されている森林パトロールの改善)に基づき進められています。本総会では、これまでの活動のインパクトが示される一方、活動の持続性の確保・スケールアップの観点からみた改善すべき点も明らかにされており、今後、2019年の現場活動にそれらを反映させつつ、継続的にモニタリング及びフォローアップを進める予定です。

(4)ビズップヌイバ国立公園における生物多様性モニタリング

ビズップヌイバ国立公園において植物種多様性及び森林生態系の調査を独自に行っている九州大学の矢原徹一教授より、同調査及び2011年以降東南アジア各地で実施された植物多様性アセスメント結果について説明が行われました。同国立公園は、これらの調査結果によると東南アジア大陸部の中で最も植物種多様性の高い国立公園の一つであることや、今後の更なる研究活動推進のため、ダラット大学・同国立公園・九州大学の3者間で学術交流協定を締結することが明らかにされました。今後、当プロジェクトとの連携可能性も積極的に検討する予定です。

(5)LB-BR域内の地元産品のブランディング

LB-BRを代表する産物としてブランディングが期待される事例として、『椎茸』が取り上げられました。ベトナムで流通する椎茸の多くは中国からの輸入に頼っており、また国内で生産できる地域も限られています。LB-BRはその気候と豊かな森林がもたらす環境から椎茸栽培に適し、また、水源地の多い対象村落周辺において、無農薬で栽培できる椎茸は水質汚染の心配もないことから、当プロジェクトでも椎茸栽培方法に係る研修実施・民間業者との契約に基づく品質管理・流通体制の整備等、サプライチェーン全体に係る支援を試験的に進めてきました。椎茸は、LB-BRの森林で採取されたしいたけ菌を用いて栽培される等、豊かな森林環境があってこそ成り立つ産物であることから、地域の新たな収入源としてだけでなく、LB-BRの豊かな森林の価値を広く消費者に伝える媒体としてブランディングしていくことが期待されます。

また、ベトナムで最も人気あるピザチェーンの一つ「Pizza 4P’s(ピザフォーピース)」の創業者兼CEOの益子陽介氏からは、同社とLB-BRのつながり(ラムドン産の椎茸、野菜の利用や自社チーズ工場)及びSDGsへの取組紹介、及び今後、LB-BRの価値を消費者に届け、つなげる役割も担っていきたいとの前向きな意向が発表されました。

2019年4月下旬~5月頃に開催予定の次回総会では、他国際機関も招待し、LB-BRにおける取組みについて積極的に発信・意見交換を行う予定です。

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Pizza 4P’sの創業者兼CEOの益子陽介氏による発表

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九州大学 矢原徹一教授による発表

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Tea Breakではホテルのシェフより調理された椎茸料理が参加者に振る舞われた

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試験的に振る舞われた椎茸料理