当プロジェクトとの連携による草の根無償プロジェクトを実施中

2019年6月28日

現在、当プロジェクトとの連携の下、在ベトナム日本国大使館が支援する「草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」)」のプロジェクト4件が進行中です。草の根無償は、当プロジェクトが活動している北西部4省(ホアビン、ソンラ、ディエンビエン、ライチャウ)において、上水道施設、少数民族寄宿学校、村落道路の整備等を行うものです。

草の根無償とは、人間の安全保障の理念を踏まえ、開発途上国で生命の危機や厳しい生活状況にさらされている人びとに裨益する、水や衛生、教育、医療、農業等の分野における比較的小規模な事業のために必要な資金を供与する制度です。在外の日本国大使館から、途上国で活動するNGO(ローカルNGO及び国際NGO)や地方公共団体等へ直接資金を供与することで、現地のニーズに合わせたきめ細かな支援を行うことができます。

当プロジェクトでは、在ベトナム日本国大使館への申請段階から、申請者である現地のコミューン人民委員会(CPC)への側面支援を行ってきました。その結果、当プロジェクトが支援した4件は全て承認され、先の3月7日に在ベトナム日本国大使館と各CPCとの間で、草の根無償の贈与契約署名式が行われました。

6月中旬から下旬にかけて、在ベトナム日本国大使館により、これら4件の草の根無償プロジェクトのモニタリング調査が行われました。そのうちソンラ省においては、少数民族寄宿学校の環境整備が行われており、キッチン及びダイニングルームの建設、トイレ及びバスルームの基礎工事などが順調に進んでいることが確認されました。寄宿舎の施設、特に不衛生・危険な状態だったトイレやキッチンなどの生活環境が改善されることで、学業をあきらめてしまう子供を減らすことが期待されます。当プロジェクトからは、キッチンに改良かまどを提供するとともに、生徒たちに森林の様々な役割について教えるなど、本事業と連携した取組を予定しています。

また、ライチャウ省では、地元の村の簡易上水道の整備が行われており、取水ダムや濾過槽がほぼ完成したところです。今後、導水システム等が完成すれば、水の不足により中断されていた小学校での授業など様々な活動が再開できると期待されています。当プロジェクトで他の村への支援を進めていたスイカの栽培も、この村へ展開する予定です。

在ベトナム日本国大使館による草の根無償とJICAの技術協力は、資金や事業実施の仕組みは異なりますが、連携してそれぞれの特性や人的資源をうまく活かすことで相乗効果が期待できます。今後も、これら草の根無償プロジェクトの進捗を見守り、効果的な連携を図っていきたいと考えています。

【画像】

先の3月7日に行われた草の根無償調印式の様子。梅田大使と握手を交わすディエンビエン省パコアンコミューンのCPC委員長。

【画像】

ソンラ省:寄宿舎学校のキッチンとダイニングルームを建設中。今までは、食事は野外で調理していました。

【画像】

ライチャウ省:取水ダム。上流部に設置することで、一年中安定してきれいな水を得ることができます。

【画像】

ディエンビエン省:村人も参加して建設が進む村落道路。子供達の通学やモノの流通の改善が期待されています。

【画像】

ホアビン省:既存の村落の給水設備。この小さなタンクを約20世帯で共有しています。給水設備が整備されれば安全な水が安定して世帯に供給されます。