第8回ランビエン生物圏保護区管理委員会総会が開催されました

2019年11月7日

2019年11月7日に「生物多様性保全」をテーマとした第8回ランビエン生物圏保護区管理委員会総会がラムドン省ダラット市にて開催され、50名を超える参加者がありました。

当プロジェクトでは、2016年から2017年にかけてJICAが実施した生物多様性基礎調査の結果等を踏まえ、生物多様性モニタリングシステム(BMS)を開発するとともに、ランビエン生物圏保護区(以下、「LB-BR」とする)の主要部分を管理するビズップヌイバ国立公園管理事務所により、BMSに基づくモニタリング活動が継続的に実施されるよう、屋内研修及び野外での実地研修を含め、様々な支援を行ってきました。

同総会では、これらの支援に加え、上記調査・モニタリング活動を通じ発見・確認された、新種として認められる見通しであるヘビ(学名:Oligodon rostralis)、IUCN(注1)レッドリストの近絶滅種に指定されているオオホエジカ(学名:Muntiacus vuquangensis)及び同レッドリストに指定されている多くの希少な哺乳類・鳥類等について説明が行われました。続いて、MAB(Man And Biosphere)(注2)ベトナムによる同国内の生物圏保護区(BR)の役割と取組み、九州大学/ダラット大学による植物多様性調査及びドイツのライプニッツ野生動物研究所による哺乳類・鳥類調査の取組み、さらにはSNV(Netherlands Development Organisation)及びGIZ(Deutsche Gesellschaft für Internationale Zusammenarbeit)によって実施・計画されている森林保全プロジェクトの概要等、LB-BRの生物多様性保全というテーマの下、多角的な視点で情報を提供頂きました。これらの発表は、参加者にとり、LB-BRの有する同国屈指の豊かな生物多様性について改めて認識を深める機会ともなりました。

その後行われたディスカッションでは、BMSが植物/哺乳類/鳥類/両生類/昆虫類を包括的にカバーする同国での先進的取組みであること、BMS実施にあたっては、LB-BR内で調査・研究を実施している九州大学/ダラット大学及びライプニッツ野生動物研究所等の外部研究機関等との連携が必須であること、さらには、収集データをエコツーリズム・環境教育プログラムに活用することでLB-BRの価値を広く伝えることの重要性が強調されるなど、多岐にわたる活発な意見交換が行われました。

同モニタリングはデータ収集自体が目的ではなく、収集データを有効に活用して生態系への脅威を早期に特定して必要な対策を行い、LB-BRの貴重な動植物等から成る生物多様性を保全していくことが最も重要です。今後はBMSの継続的な実施及びこれを通じたLB-BR管理委員会関係機関の連携による生物多様性保全の取組みの強化が期待されます。

次回総会は2020年6月頃に開催の予定です。

(注1)国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature)。IUCNレッドリストとは、IUCNが作成する絶滅の危機に瀕している世界の野生生物種のデータベース。

(注2)人間と生物圏(Man And Biosphere)計画。ユネスコによって1971年に開始された、自然及び天然資源の持続可能な利用と保護に関する科学的研究を行う政府間共同事業。

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会議の様子

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IUCNレッドリストの近絶滅種に指定されているオオホエジカ(学名Muntiacus vuquangensis)