プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)持続的自然資源管理プロジェクト
(英)Sustainable Natural Resource Management Project

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2015年7月9日

プロジェクトサイト

国全体・ハノイ(コンポーネント1・4)、北西部ディエンビエン省、ソンラ省、ライチャウ省、ホアビン省(コンポーネント2)、中部高原ラムドン省(コンポーネント3)

協力期間

2015年8月17日から2021年1月31日

相手国機関名

農業農村開発省(MARD:Ministry of Agriculture and Rural Development)
天然資源環境省環境総局生物多様性保全局(MONRE, VEA, BCA:Ministry of Natural Resources and Environment, Vietnam Environment Administration, Biodiversity Conservation Agency)
ディエンビエン省、ソンラ省、ライチャウ省、ホアビン省、ラムドン省 ほか

背景

(1)当該国における自然環境保全セクターの開発実績(現状)と課題

ベトナムは南北に細長い国土であり地形や気候が多様であるため、常緑針葉樹林、常緑(または落葉)広葉樹林、マングローブ林、竹林など、多様な生態系を有する。また、全森林の20%強はアカシアを主力とする人工林が占めている。1943年に43%であった森林率は、農地転換・違法伐採等により1995年に28%まで減少し、その後の植林・森林再生・森林保全政策によって現在は40%近くまで回復しているが、森林面積だけではなく森林の質の向上や持続的管理が求められている。また、人口の約30%(約2500万人)が森林等の自然資源に依存した生活を送っており、自然資源の持続的な管理は、環境保全の面(生物多様性の保全、水源涵養、防災、気候変動対策等)のみならず、グリーン成長や貧困削減、地方開発においても重要な課題である。

(2)当該国における自然環境保全セクターの開発政策と本事業の位置づけ

ベトナムは、2012年に森林保護開発計画(2011〜2020年)を改訂し、(1)森林率45%(2020年)、(2)森林の生産性・質の向上、(3)地域住民の貧困削減への寄与、(4)国営森林企業の改革を目標として、具体的には森林分配の推進、森林環境サービス支払い制度の導入、植林推進のためのODA資金も含む融資制度の活用等の手法を用いて、同計画を実施している。さらに、昨今の国内外の状況(国内における市場経済の活発化、国際的な経済統合、REDD+等国際的イニシアティブ、森林環境サービス支払い制度等国内政策)を踏まえ、2013年には森林保護開発法(2004年改訂)の改訂要否を検討するためのレビューと森林セクター改革の実施が決定された。
ベトナム政府は、自然資源管理にかかる主要政策の改訂プロセス(上記、森林保護開発法改正・森林セクター改革)への貢献と、JICAのこれまでの協力成果((3)参照)の政策への反映及び他地域への展開を包括的に実施する技術協力プロジェクトを要請し、「持続的自然資源管理プロジェクト」として採択された。

事業目的

持続的な自然資源管理に必要な国全体の能力を強化する。国の重要な自然資源である保全林、生産林、特別利用林(国立公園等)の管理を所掌する農業・農村開発省を中心に、地方6省での現場活動による知見を国全体の森林関連・生物多様性保全関連の政策へ反映する。また、国全体の生物多様性保全を統括する天然資源環境省とも連携する。

目標

上位目標

人々に多面的便益を与える持続的な自然資源の管理が促進される。

プロジェクト目標

持続的自然資源管理に必要な国家の能力が強化される。

成果

【コンポーネント1:政策】

自然資源管理に関する主要政策の形成と実施が促進される。
1-1 森林セクター改革や国家REDD+行動プログラムのように持続的森林管理に資する政策が促進される。
1-2 森林管理情報システム(FORMIS)や国家生物多様性データベース(NBDS)のように生物多様性に関するデータベースシステムの利用が関係者間で推進される。
1-3 持続的森林管理/REDD+(コンポーネント2)の成果、天然資源環境省と連携した生物多様性(コンポーネント3)の成果が政策形成・実施に活用される。

【コンポーネント2:持続的森林管理・REDD+】

省REDD+行動計画の実施を通じて持続可能な森林管理が促進される。(ディエンビエン省、ライチャウ省、ソンラ省、ホアビン省)
2-1 ディエンビエン省の省REDD+アクションプランの実施能力が高まる。
2-2 パイロット活動の実施とディエンビエン省の知見の共有によって、ライチャウ省、ソンラ省、ホアビン省の省REDD+アクションプランが策定・実施される。

【コンポーネント3:生物多様性】

重要生態系地域の包括的管理システムが設立される。
3-1 ランビエン生物圏の管理と運営に必要な組織フレームワーク(総合的な協働生態系管理フレームワーク)が整備される。
3-2 ランビエン生物圏のコア及びバッファーゾーンの森林生態系の保全ツールとして、便益配分メカニズム(BSM)を含んだ協働管理合意書(CMA)が改訂される。
3-3 森林生態系及び生物多様性のモニタリング結果が、ランビエン生物圏のコア並びにバッファーゾーンの管理に活用される。

【コンポーネント4:知見共有コンポーネント】

関係者の間で、成果1〜3を通じて得られた知見の融合と共有が進む。

活動

【コンポーネント1:政策】

1-1-1 森林保護開発法のレビューとドラフト作成を支援する。
1-1-2 森林セクター改革実行計画の実施を支援する。
 1-1-2-1 種子・苗木の生産と供給システムの改善
 1-1-2-2 大径木を含めた高品質材生産システムの改善
 1-1-2-3 林業セクターへの投資促進のための官民パートナーシップ促進への支援
1-1-3 森林セクター支援パートナーシップの成果の編さんを支援する。
1-1-4 国家REDD+アクションプログラムの促進を支援する。
1-1-5 FCPC(森林炭素パートナーシップ基金)と共同で、省REDD+アクションプラン策定およびFCPFパイロット省の活動に対して技術的な支援を提供する。
1-1-6 必要に応じて、その他森林政策を支援する。
1-2 森林管理情報システム(FORMIS)や国家生物多様性データベース(NBDS)のように生物多様性に関連するデータベースシステムの利活用を支援する。
 1-2-1 天然資源環境省の国家生物多様性データベース(NBDS)の利活用を支援する。
 1-2-2 関係省の生物多様性情報の蓄積を支援する。
1-3 持続的森林管理・REDD+に関するコンポーネント2の成果と、天然資源環境省との連携による生物多様性に関するコンポーネント3の成果の政策の形成・実施への活用を支援する。

【コンポーネント2:持続的森林管理・REDD+】

(ディエンビエン省)
2-0 省プロジェクト管理ユニットを再設立する。
2-1-1 北西部水源地域における持続可能な森林管理プロジェクト(SUSFORM-NOW)のパイロットコミューン(ムオンファン、ムオンムオン)の活動をモニタリングし、必要に応じて技術的な支援を行う。
2-1-2 新しく選出されたパイロットコミューンにおいて省REDD+アクションプランに基づくREDD+活動を計画・実施する。
2-1-3 省森林モニタリングシステムの実施能力を高める。
2-1-4 知見と経験の3省(ライチャウ、ソンラ、ホアビン)との共有を促進する。
2-1-5 省REDD+アクションプランを改定する。
2-1-6 必要なフォローアップ活動を実施する。
2-1-7 省内他地域での将来のREDD+活動に活用できるように2-1-1から2-1-5の活動による成果と教訓を取り纏める。

(ライチャウ省、ソンラ省、ホアビン省)
2-2-1 省プロジェクト管理ユニットを設立する。
2-2-2 各省で必要な情報を集めて分析する。
2-2-3 各省のパイロットサイトでREDD+活動を計画・実施する。
2-2-4 各省で省森林モニタリングシステムの実施能力を高める。
2-2-5 各省で省REDD+アクションプランを策定する。
2-2-6 必要なフォローアップ活動を実施する。
2-2-7 各省内他地域での将来のREDD+活動に活用できるように2-2-1から2-2-6の活動による成果と教訓を取り纏める。

【コンポーネント3:生物多様性】

3-1 ランビエン生物圏の管理と運営に必要な組織フレームワーク(総合的な協働生態系管理フレームワーク)を整備する。
 3-1-1 関係者との協議を踏まえ、生物圏管理のための管理体制または協働管理プラットフォームを法的文書と共に形成する。
 3-1-2 生物圏管理のための管理体制または協働管理プラットフォームの5ヵ年計画の策定を支援し、同計画の実施を定期的にモニタリングする。
 3-1-3 近隣省の森林所有者や省農業・農村開発局と共に情報共有ワークショップや研修コースを実施する。
 3-1-4 次期5ヵ年管理計画を含んだ周辺省へのランビエン生物圏拡大のためのロードマップを作成する。
3-2 ランビエン生物圏のコア及びバッファーゾーンの森林生態系の保全ツールとして、便益配分メカニズム(BSM)を含んだ協働管理合意書(CMA)を改訂する。
 3-2-1 地域の生計向上のために、環境に優しい生計向上オプション、住民主導型エコツーリズム及び地場産物の販売にかかる計画・戦略を策定する。
 3-2-2 BSMを含んだCMAを改訂し、パイロット村で試行、モニタリング、評価を実施する。
 3-2-3 関連機関の職員に対してCMAに関する研修コースを開催し、既存ガイドライン・マニュアルを改訂する。
 3-2-4 コア及びバッファーゾーンにBSMを含んだCMAを導入するための政策法規文書を草案する。
3-3 森林生態系及び生物多様性のモニタリング結果の、ランビエン生物圏のコア及びバッファーゾーンの管理への活用を促進する。
 3-3-1 コア及びバッファーゾーンにおける森林のベースラインデータ、コアゾーンにおける生物多様性のベースラインデータを整備する。
 3-3-2 コア及びバッファーゾーンの森林とコアゾーンにおける生物多様性の状況を定期的にモニタリングする。
 3-3-3 ランビエン生物圏の管理とデータベースシステム(FORMIS及び国家生物多様性データベース)の開発のために森林及び生物多様性データを活用する。
 3-3-4 関連機関の職員に対して研修を実施し、既存ガイドライン・マニュアルを改訂する。

【コンポーネント4:知見共有】

4-1 プロジェクトによって得られたデータや情報をFORMISにリンク・統合する。
4-2 プロジェクトによって得られた成果や教訓を関係者に共有する。
4-3 プロジェクトの結果を広報する。

投入

日本側投入

  1. 専門家(長期)
    チーフアドバイザー、REDD+、業務調整/森林政策、等
  2. 長期専門家3名(コンポーネント1〜4)
  3. 短期専門家 持続的森林管理・REDD+チーム(コンポーネント2)
    生物多様性チーム(コンポーネント1一部及び3)
  4. 機材(車両、バイク等)
  5. 研修員受入
  6. 現地活動費

ベトナム国側投入

  1. カウンターパート人材の配置
  2. 執務スペース、必要な機器等
  3. カウンターパート予算