プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)チョーライ病院向け病院運営・管理能力向上支援プロジェクト
(英)The Project for Improvement of Hospital Management Competency

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2016年7月14日

プロジェクトサイト

ホーチミン市、チョーライ病院(開院後は、チョーライ日越友好病院主体で両病院にて活動実施)

協力期間

2016年12月~(未定)

相手国機関名

(和)チョーライ病院(開院後はチョーライ日越友好病院主体)
(英)Cho Ray Hospital(After Opening:Cho Ray Vietnam and Japan Friendship Hospital)

背景

(1)当該国における保健医療セクターの開発実績(現状)と課題

ベトナムの公的医療システムは、第一次(コミューン・郡レベル)、第二次(省レベル)、第三次(中央レベル)の三層構造であり、疾患状態に応じて適切な医療機関へと病院間で患者を紹介・搬送するシステム(リファラルシステム)が存在する。しかしながら、各地方省の予算不足のため、省レベル以下の病院の多くは施設・機材が不十分で、医療従事者も質・量ともに不足している。その結果、下位レベルの医療機関の信頼性は低く、都市部の中央レベル病院に過度に患者が集中し、問題となっている。全国の中央レベル病院の中でも、南部をカバーするホーチミン市のチョーライ病院では、病床稼働率が140%前後の状況が続いており、医療サービスの質の低下とリファラルシステムの機能不全が課題となっている。また、経済成長に伴う生活水準の向上やライフスタイルの変化に伴い、生活習慣病が増加するなど、疾病構造は感染症から非感染症へと変化しており、医療の高度化が求められている。

(2)当該国における保健医療セクターの開発政策と本事業の位置づけ

ベトナム政府は「社会経済開発10ヵ年戦略(2011年~2020年)」、及び右10ヵ年戦略を具体化した「保健セクター開発5ヵ年計画(2011年~2015年)」において、大病院の過負荷の是正、保健医療システムや予防医療の強化、情報システムの開発等を掲げている。また、2013年発効の「病院の過負荷軽減のための首相決定92号(2013年~2020年)」においては、病院の量及び質的拡充を目的とし、主要都市における中央レベル病院の優先的整備と近代化、病院管理能力・情報技術活用の強化が謳われている。チョーライ日越友好病院整備事業/チョーライ病院向け病院運営・管理能力向上支援プロジェクト(以下、「本事業」という。)は、喫緊の課題である都市部中央レベル病院の混雑緩和に資すると同時に、下位病院の能力強化、高度先進医療及び予防医療の推進、病院の品質管理改善等、中長期的にベトナムの医療体制の改善に資する事業として位置付けられる。

目標

上位目標

チョーライ病院とチョーライ日越友好病院が、南部ベトナムの人々に対して、国際レベルの質管理と省病院との良好な連携を伴って、高度な医療を提供する。

プロジェクト目標

チョーライ病院とチョーライ日越友好病院が患者中心で質の高い医療サービスが提供できる様強化される。

成果

成果1:医療安全管理対策、多職種連携およびクリニカルパスの効果的な運用により、チョーライ病院及びチョーライ日越友好病院における患者中心で質の高い医療サービスが強化される。
成果2:チョーライ病院及びチョーライ日越友好病院において、抗菌薬耐性(AMR)対策を含む医療関連感染管理及び対策が強化される。
成果3:チョーライ病院とチョーライ日越友好病院によるDOHA管轄の省病院の患者安全、安全な患者の搬送、感染管理を強化する能力が高まる。

活動

成果1

1-1 患者安全管理を強化する

1-1-1 患者安全に関する現状を評価する
1-1-2 患者安全に関する活動を強化する計画を立案する
1-1-3 患者安全を担当するスタッフを訓練するカリキュラムを開発する
1-1-3-2 患者安全を担当するスタッフのための訓練コースを実施する
1-1-4 患者安全に関するポケットマニュアルを改訂する
1-1-5-1 根本原因分析のための手順を確立する
1-1-5-2 手順に則って根本原因分析を実施する
1-1-6 1-1-2の計画に基づき、モニタリング及び評価を実施する

1-2 多職種連携を促進する

1-2-1 多職種連携に関する状況を評価する
1-2-2 肺がんにかかるチューマーボード(腫瘍委員会)の活動を強化するための計画を立案する
1-2-3 肺がんにかかるチューマーボードのメンバーを任命する
1-2-4 肺がんにかかるチューマーボードの手順を定める
1-2-5 肺がんにかかるチューマーボードを実施する
1-2-6 1-2-2の計画に基づき、モニタリング及び評価を実施し、その結果を他の診療科と共有する
1-2-7 呼吸器ケアの状況を評価する
1-2-8 呼吸器サポートチームの活動を強化するための計画を立案する
1-2-9 呼吸器サポートチームのメンバーを任命する
1-2-10 呼吸器サポートチームの手順を定める
1-2-11 人工呼吸器を使用した挿管患者に対する呼吸器ケアを実施する
1-2-12 1-2-8の計画に基づき、モニタリング及び評価を実施し、その結果を他の診療科と共有する

1-3 クリニカルパスを拡充し、実施する

1-3-1 クリニカルパスの使用に関する現状を評価する
1-3-2 クリニカルパスを改良し実施する計画を立案する
1-3-3-1 1-3-2の計画に基づき、必要な訓練を実施する
1-3-3-2 クリニカルパスチームを組織する
1-3-3-3 クリニカルパスの手順を定める
1-3-3-4 クリニカルパスを監査し改訂する
1-3-3-5 将来の電子カルテ導入を見据え、クリニカルパスの効率性・効果を証明するためのトライアルを実施する
1-3-4 1-3-2の計画に基づき、モニタリング及び評価を実施する

成果2

2-1 医療関連感染管理システムを強化する

2-1-1 ICP(感染管理担当者)チームをその役割、責任及び権利を明確にして立ち上げる
2-1-2 ICPスタッフのための必要な訓練計画を立案する
2-1-3 ICPスタッフのために感染管理に関する必要な訓練を実施する
2-1-4 チョーライ病院の感染管理マニュアルを改訂する
2-1-5 チョーライ病院のサンプル収集ハンドブックを作成する
2-1-6 チョーライ日越友好病院の感染管理マニュアルを作成する

2-2 感染防御対策強化

2-2-1 手指衛生及び隔離予防策に向けた感染管理活動を強化する
2-2-1-1 環境状況の評価・サーベイランスを含む医療関連感染に関する現状を評価する
2-2-1-2 アシネトバクター・バウマニによる医療関連感染の発生を減少させるために、サーベイランスを強化する計画を立案する
2-2-1-3 2-2-1-2の計画(手指衛生、隔離予防策)に基づき、全スタッフに必要な訓練を実施する
2-2-1-4 2-2-1-2の計画に基づき、感染管理対策を実施する
2-2-1-5 スタッフによる手指衛生遵守状況の評価及びその他の感染管理対策を定期的にモニターし、フィードバックする
2-2-2 人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する感染管理活動を強化する
2-2-2-1 VAP予防策の現状を評価する
2-2-2-2 VAPサーベイランスを強化し、ICUにおけるVAPケアバンドルの遵守を確実にする計画を立案する
2-2-2-3 2-2-2-2の計画に基づき、ICP及びICUの医師のために必要な訓練を実施する
2-2-2-4 ICUスタッフのためにVAPケアバンドルに関する必要な訓練を実施する
ICUスタッフにおいてVAPケアバンドルを実施する
2-2-2-5 ICUスタッフにおけるVAPケアバンドルの遵守をモニターする
2-2-2-6 VAPサーベイランスの評価及びモニタリングを実施する
2-2-2-7 VAPサーベイランス及びVAPケアバンドルの遵守の結果を評価し、介入を計画する
2-2-3 手術部位感染のための感染管理活動を強化する
2-2-3-1 手術部位感染(SSI)に対する現在の活動を評価する
2-2-3-2 整形外科においてSSIサーベイランスを強化し、SSIケアバンドルの遵守を確実にする計画を立案する
2-2-3-3 術前予防抗菌薬の適正使用のための訓練を実施する
2-2-3-4 2-2-3-2の計画に基づき、ICP及び整形外科の医師に対するSSI予防に関する必要な訓練を実施する
2-2-3-5 2-2-3-2に基づき、整形外科のスタッフに対してSSIケアバンドルに関する必要な訓練を実施する
2-2-3-6 整形外科手術においてSSIケアバンドルを実施する
2-2-3-7 整形外科手術のための術前予防抗菌薬(セファゾリン、バンコマイシン、クリンダマイシン)の使用をモニターする
2-2-3-8 2-2-3-2の計画に基づき、スタッフによるSSIケアバンドルの遵守状況の評価を定期的にモニターし、フィードバックする

2-3 抗菌薬の適正使用を強化する

2-3-1 100患者・1日あたりのコリスチン投与の適正使用量について現状を評価する
2-3-2 チョーライ病院の抗菌薬ガイドラインを改訂する
2-3-3 抗菌薬管理のためのアドバイザーチームを任命する
2-3-4 コンサルタントのための抗菌薬適正使用に関する訓練を実施する
2-3-5 抗菌薬適正使用のための訓練を実施する
2-3-6 コリスチンの適正使用を検証する
2-3-7 コリスチンの100患者・1日あたりの投与量を定期的にモニターする
2-3-8 チョーライ日越友好病院の抗菌薬ガイドラインを作成する

2-4 多剤耐性菌を制御するための遺伝子解析技術を強化する

2-4-1 医療関連感染の感染経路及び抗菌薬耐性を特定するための遺伝子解析技術について現状を評価する
2-4-2 2-4-1の結果に基づき、チョーライ病院における遺伝子解析技術の導入計画を立案する
2-4-3 2-4-2の計画に基づき、遺伝子解析のための必要な訓練を実施する
2-4-4 遺伝子解析技術を使用して、抗菌薬耐性遺伝子のアウトブレイク時の感染経路について解析を行う
2-4-5 遺伝子配列解析のモニタリング及び評価を実施する
2-4-6 チョーライ病院での活動結果に基づき、チョーライ日越友好病院での遺伝子解析導入計画を策定する

成果3

3-1 DOHA管轄の省病院のための臨床マニュアルを改訂する

3-1-1 DOHA管轄の省病院に対する臨床研修のカリキュラム及びマニュアルに関する状況を評価する
3-1-2 臨床マニュアルを改訂する計画を立案する
3-1-3 3-1-2の計画に基づき、モニタリング及び評価を実施する

3-2 DOHA管轄の省病院において、患者安全、安全な患者の搬送、感染管理を強化する

3-2-1 DOHA管轄の省病院における患者安全、安全な患者の搬送、感染管理に関する研修の現状を評価する
3-2-2 3-2-1に基づき、研修を実施する計画を立案する
3-2-3-1 3-2-2に基づき、研修の教材を準備する
3-2-3-2 DOHA管轄の省病院に対し、チョーライ病院において研修を実施する
3-2-4 3-2-2の計画に基づき、モニタリング及び評価を実施する

投入

日本側投入

【長期専門家派遣】
チーフアドバイザー、看護管理/院内感染対策、看護管理/医療安全、業務調整
【短期専門家派遣
臨床(呼吸器内科)、感染症治療、遺伝子タイピング、クリニカルパス 等
【研修員受け入れ】
医療安全、感染症管理、患者を中心とした医療サービス分野
【機材供与】
事務所設備等

相手国側投入

【カウンターパートスタッフの配置】
プロジェクトディレクター(チョーライ病院病院長)
プロジェクトマネージャー(チョーライ病院副院長:トレーニングセンター長)
プロジェクト事務スタッフ
【その他】
プロジェクト用執務スペース、その他プロジェクト実施に必要な設備、現地経費
(電気・水道代等)、日本人専門家の査証取得支援、プロジェクト供与機材免税措置支援