日本の健康保険制度に関する定期勉強会

2018年1月23日

ベトナムでは、2009年に健康保険制度が法制化され、2014年には健康保険法が改正されました。この中では、健康保険への強制加入、世帯加入制度の導入、給付水準の引き上げ、診療報酬の改定(値上げ)が行われました。その際、郡レベルでのフリーアクセス(患者は郡内のどの医療機関でも受診できる仕組み)が導入され、健康保険加入率が2016年に81.7%にまで達するなどの改善がみられました。
一方で、高齢化や疾病構造の変化、医療の高度化等に伴い、今後ますます医療費は増大し健康保険財政を圧迫することが懸念されています。国民への安定的な医療の給付と、健康保険基金を将来にわたって健全に維持することとのバランスを保つために、健康保険制度の更なる改善が課題となっています。ベトナム社会保障(Vietnam Social Security:VSS)は、健康保険、年金、労働保険など社会保障にかかる業務を行っており健康保険基金の管理も行っています。

本プロジェクトでは、日本の健康保険制度の経験を踏まえた技術協力が期待されており、今後のベトナムの健康保険制度の更なる改善のための議論のベースを作るため、日本の健康保険制度の経験を共有する定期的な勉強会を開催しています。

第1回の勉強会は、2017年11月22日にVSS職員を対象に開催しました。最初の勉強会では、日本の健康保険制度の成り立ち、現況と課題について説明を行いました。日本は1961年に皆保険を実現した後、人口動態の変化や社会情勢に合わせて様々な制度改善を重ねてきました。その経験の良い部分だけでなく苦い経験等も紹介しながら議論を行いました。

続いて、第2回、第3回勉強会を2018年1月16日、1月23日に開催しました。第1回勉強会で要望のあった、日本の審査支払業務の流れや審査の観点、不正請求防止や医療機関への指導・監査の仕組みについて、日本の事例を紹介しました。毎回、実務者の視点からの具体的な質問が上がり、ベトナムの現状に関する活発な議論が行われています。

今後も、毎月2回を目安に定期的に勉強会を開催する予定です。

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日本人専門家から日本の健康保険制度について紹介しました。(2017年11月22日)

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VSSの6つの部署から18名が参加しました。(2017年11月22日)

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VSSの若手実務担当者も含め20名程度が参加しました。(2018年1月16日)

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健康保険請求の審査業務や審査の観点などについて紹介しました。(2018年1月23日)