支払方式に関する病院視察

2018年3月23日

医療機関が患者に提供した医療サービス(診療行為)に対する対価として受け取る報酬のことを「診療報酬」といいます。ベトナムの健康保険制度では、社会保険制度の実施機関であるベトナム社会保障(VSS)と契約を結んでいる医療機関で保険診療として提供したサービスに対する対価として予め定められた価格に基づき診療報酬が支払われることになっています。ベトナムでは、このような医療サービスを提供する財政の仕組み(支払方式)として、「出来高払い」と一部「人頭払い」が採用されていますが、現在、「人頭払い」の拡大と「包括払い」の導入の検討が進められています。増加の一途をたどる医療費の抑制を考える上で、支払方式の検討は国の保健/健康保険財政や医療サービスに大きな影響を与えることから非常に重要です。

「出来高払い」は、患者に提供した医療サービスに対応する報酬を支払う方式、「包括払い」は、実際に提供した医療サービスに関わらず、患者の疾病(疾病群)に基づき定額の報酬を支払う方式、「人頭払い」は、医療機関に登録された患者数に定められた一人当たりの単価を乗ずる金額を当該医療機関の報酬として定額の報酬を支払う方式です。そのため、人頭払いでは、患者に実際に提供した医療サービスは報酬額に影響しません。なお、現在の日本では、「出来高払い」と「包括払い(DPC/PDPS:診断群分類に基づく一日あたり包括支払い制度)」の組み合わせが採用されています。

プロジェクトでは、保健省計画財務局とVSSを中心として、ベトナムの健康保険基金の持続性や保険料率や医療サービスの質に対する影響の予測を行いつつ、保健医療施設のレベル及び外来/入院に応じた、最適な支払方式の組み合わせ方法を検討する技術的支援を行います。

このような中、医療機関における支払方式に関連する実務上の実態を確認するため、プロジェクトチームのメンバーが2018年3月23日、ハノイ市郊外にある、ソンタイ(Son Tay)地域総合病院(省レベルの病院)、バーヴィ(Ba Vi)郡総合病院、バーヴィ郡内のティエンフォン(Tien Phong)コミューンヘルスステーション(CHS)の3つの医療サービス提供の現場を訪問しました。それぞれの訪問先では、診療報酬請求の手続きや医療サービス提供の現状、病院運営の課題などについて、担当職員の方々と意見交換を行いました。

今回訪問した医療機関は、それぞれの規模や提供する医療サービスも異なるものの、いずれも出来高払いを支払方式として採用しており、診療報酬の請求や支払いに関する事務手続きなどの面で、いくつかの課題が挙げられました。

プロジェクトでは、今回のように具体的な現場での実態も確認しながら、関係機関と協力して課題に取り組んでいきます。

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ソンタイ地域総合病院での意見交換。副病院長と病院職員が対応して下さりました。

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ソンタイ地域総合病院内を案内していただきました。中央の白衣を着た男性は、内科部長です。

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バーヴィ郡総合病院での意見交換。副病院長と病院職員が対応して下さりました。

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ティエンフォン・コミューンヘルスステーションでの意見交換。右端の白衣を着た男性は、医師で、施設長でもあります。たくさんの表彰状が飾られていました。