健康保険の審査実務に関する定期勉強会

2018年11月14日

健康保険制度を適切に運営していく上で欠かせないのが、医療機関から送信された請求情報(レセプト)を法律や医学的観点等に沿って点検する審査業務、及びこれを支えるITシステムです。ベトナムでは、ほぼ全ての医療機関がすでに、ベトナム社会保障(Vietnam Social Security:VSS)と電子的に接続され請求情報を送信しています。また、VSSは2017年、及び2018年にベトナム情報通信省が発表した電子化ランキングで2位を受賞するなど、かねてから先進的な技術の導入を積極的に進めています。

一方で、現在の電子審査は事務的な観点が中心となっており、今後は請求情報を医学的な観点でも審査することが課題となっています。また、高齢化や疾病構造の変化、医療の高度化等に伴い、今後ますますレセプト件数が増えることが予測されています。そこで本プロジェクトでは、VSSが運営する審査システムの医学的観点実装に向けた課題把握と、改善に向けた技術移転を行っています。

専門家が渡航している期間中、週に1回のペースで膝を突き合わせた技術移転活動を行っています。具体的には、傷病と技術サービスの関係性チェック、禁忌チェック、算定回数チェックなどの審査観点について具体的な作成方法、システムに実装するにあたっての留意点等を紹介し議論しています。また、現在ベトナムで発生している不適切な請求(不必要な入院、入院期間の水増し、架空請求、等)の事例について、それぞれのケースの原因分析と対策案を運用対処、システム対処両面の観点から検討しています。

プロジェクトでは、今後も継続的に審査業務、審査システムの改善に向けた技術移転を実施していきます。

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VSS審査センタへの技術移転の様子。(2018年6月20日)

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VSS審査センタの業務有識者、システム有識者からも活発な質問が出され、意見交換が行われた。(2018年8月8日)