UHC達成及び高齢化対策に向けた医療保険政策セミナーを開催

2019年3月12日

国際協力機構(JICA)とベトナム保健省及びベトナム社会保障は、3月12日、ハノイにて、「UHC達成及び高齢化対策に向けた医療保険政策セミナー」を共同開催しました。

同セミナーは、ベトナムの健康保険制度改善に向けた政策立案能力強化を支援するため、ベトナム保健省健康保険局及び計画財務局、ベトナム社会保障など、同国における健康保険制度にかかる政策立案及びその実施を担う行政機関の幹部・職員など約80名を対象に開催しました。

同セミナーでは、政策研究大学院大学の島崎謙治教授による「医療保険概論-日本のUHCから何を学ぶか-」、同・小野太一教授による「日本の高齢化対策-医療と福祉サービスの施策の展開-」の講義が行われました。日本の国民皆保険制度と保健医療システム整備によりUHC達成を果たした経験や高齢化対策に対して、会場から多くの質問がなされました。また、世界保健機関(WHO)及び世界銀行から、実践的な政策形成能力の養成に向けた保健財政戦略や健康保険の支払方式に関する講義が行われました。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とはすべての人が適切な予防、治療、リハビリなどの保健医療サービスを、必要な時に支払い可能な費用で受けられることを指します。しかし、ベトナムでは、患者の自己負担が国の総保健支出のうち4割を超えており、医療サービスの利用による支出が国民の深刻な経済的負担となっています。ベトナム保健省は、国民がいつでも安心して医療サービスを受けられるよう、国民皆保険達成に向けたロードマップを定め、2020年までに健康保険加入率90%以上、患者自己負担率4割未満とする目標を掲げ、健康保険制度の改善を進めています。また、今後ベトナムでは急速に高齢化が進むとされており、早期に高齢化対策に取り組むことが、医療費や社会福祉費の増大を抑制する観点からも重要です。

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VSSソン副長官によるオープニングスピーチ。

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政策研究大学院大学の島崎謙治教授による講義の様子。