プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)診療報酬及び保険適用診療サービスパッケージ改善プロジェクト
(英)Project of Development and Strengthening the Management of Provider Payment Methods and BHSP reimbursed by Health Insurance Fund

対象国名

ベトナム

署名日(実施合意)

2017年7月11日

対象地域

全国

協力期間

2017年10月8日から2019年10月7日

相手国機関名

保健省 健康保険局及び計画財務局
ベトナム社会保障

背景

ベトナムでは国の保健総支出のうち患者自己負担割合が5割近く、国民の深刻な経済的負担となっています。手術や入院を要するような傷病の場合は特に大きな負担となっており、患者自己負担割合の逓減への効果的な対応が求められてきました。一方で、一次レベル医療を提供するコミューンヘルスステーションや群病院における医療サービス水準が不十分であることから、省病院やバックマイ、チョーライといった中央病院への患者の集中につながっており、医療費高騰に拍車をかけています。
ベトナムではユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するため、ベトナム保健省が2013年に「2012年から2015年および2020年までの国民皆保険に向けたロードマップ」を策定し、健康保険加入率80%以上(2016年に首相指示により90%以上に改定)、患者自己負担率を40%未満とする目標を掲げてきました。これに対応する施策として、貧困層を中心に無償で健康保険カードを発給し、2016年末に健康保険加入率が81.6%、患者自己負担率も4割を少し超える水準にまで下がったと、ベトナム社会保障(VSS)により発表されています。
また、保健省は2014年に健康保険法を改正し、健康保険適用の基礎的保健サービスパッケージ(BHSP)策定に向けたロードマップを策定し、2017年末までに適切な診療報酬制度を設計し、公的健康保険の適用サービスを特定することと定めました。さらに、2016年8月には健康保険に関する政策決定の助言を行うための国家健康保険政策カウンシルを設立する大臣令が出されました。
これらに関しベトナム保健省から、BHSP及び診療報酬支払制度に係る管理能力強化やIT整備のための支援が要請され、開発計画調査型技術協力プロジェクトとして以下概要の通り実施することとなりました。

目標

1.診療報酬支払方式及び保険適用サービスパッケージの運用の仕組みを強化する。
2.健康保険制度改善に向けた戦略計画を策定する。

成果と活動

成果1

エビデンスに基づく最適な診療報酬支払方式の策定

活動

1-1.診療報酬支払方式(包括的支払(Diagnosis-Related Groups)、人頭払い(Capitation)、出来高払い(Fee for Service)のこれまでの進捗やパイロット事業の結果についてのレビューや進捗管理を行うための仕組みについて保健省計画財務局と協議のうえ、効果的な仕組みについて提案する。
1-2.1-1.で述べた3種類の診療報酬支払方式の組み合わせによる、1)健康保険基金の持続性及び2)サービスの質に対する短期的・長期的影響について予測を行う。
1-3.保健医療施設のレベル及び外来/入院に応じた、最適な支払方式のベストミックスとなる組み合わせ方法を上記1-2.のエビデンスに基づき提示する。
1-4.国家健康保険政策カウンシルを通じた関係機関間の技術的・政治的議論を促進し、最適な支払方式のベストミックス・モデルを提案する。
1-5.保健省計画財務局や国家健康保険政策カウンシルの事務局関係者らに対し調査方法、データ分析、エビデンスに基づく戦略的選択研究方法等について、技術移転を行う。

成果2

エビデンスに基づく保険適用サービスパッケージの開発

活動

2-1.健康保険適用サービスパッケージ改訂による1)健康保険基金の持続性及び2)サービスの質に対する短期的・長期的影響について予測を行う。
2-2.パッケージの定期的改訂・調整に必要な科学的エビデンスの収集方法について国家健康保険政策カウンシル事務局の能力強化を行う。
2-3.パッケージ改訂による健康保険基金の収支予測を行う。
2-4.(国家健康保険政策カウンシルを通じた)関係機関間の技術的・政治的議論を促進するとともに、保険適用サービスパッケージ改訂に必要な調査方法、データ分析、エビデンスに基づく戦略的選択研究方法等について、技術移転を行う。

成果3

健康保険及びサービス提供管理のためのIT活用及びIT能力強化

活動

3-1.保健省健康保険局に対し、全国で使用される医薬品、技術サービス、疾病分類等にかかるマスターコードのレビュー及び改訂にかかる支援を行う。
3-2.健康保険管理の病院レベルの報告フォーマットの現状を把握し、効果的な標準フォーマットを提案する。
3-3.診断・治療・健康保険支払に関するIT活用に関する法的文書(ガイドライン等)の策定につき保健省健康保険局に対し技術的助言を行う。
3-4.IT関連職員の能力向上を行う(本活動に関しては保健省健康保険局と協議のうえで、研修計画・教材等を作成し、パイロット活動を行う病院を2病院程度選定し、10名×2箇所、計20名を対象に試行的に研修を行うことを想定する(会場は対象病院内)。)。
3-5.国家健康保険政策カウンシルに提出するデータ収集、分析のスキル向上にかかる技術支援を行う。

成果4

国家健康保険政策カウンシルの機能及び能力強化

活動

4-1.国家健康保険政策カウンシルの 1)法的位置づけ、2)責任・役割分担、3)組織体制、4)事務局、5)メンバー、他の要素について、現状を評価し、必要に応じより効果的な実施体制を提案する。
4-2.保健省健康保険局のニーズに応じて日本の経験について共有するセミナーを行う(参加者15名×2回程度。保健省施設を活用することを想定)。
4-3.上述のセミナーや定期的な助言等を通じ、カウンシル事務局の能力強化を行う。
4-4.カウンシル会合、及び支払方式や保険適用サービスパッケージに関連するサブカウンシル会合の開催支援を行う。
4-5.カウンシル運営にかかる標準手順書案を作成する。
4-6.保険適用となる技術サービス・医薬品リスト等の策定基準への助言を行う。
4-7.医療サービスの質管理と医療費抑制策に関する助言を行う。

成果5

健康保険の審査ITシステムの改善

活動

5-1.VSSに対し、健康保険請求審査のルールとプロトコルの現状をレビューし、必要に応じ改訂のための提言を行う。
5-2.審査ITシステムの現状を把握し、管理・評価・健康保険支出の予測を強化するため、改善のための提案を行う。
5-3.改善版審査ITシステムの施行導入のための研修を行う(VSS及び施行導入対象病院関係者15名対象×1回、会場は施行導入対象病院を想定)。
5-4.VSSと協議のうえで施行導入を行う1病院を決定し、改善版審査ITシステムを施行導入する。
5-5.日本の審査プロトコルのベトナムへの適用可能性を検討する。

成果6

健康保険加入の促進策の提示

活動

6-1.VSSと協議のうえでターゲット地域を選定し、同地域における健康保険加入の現状と未加入層を特定するための現状調査を実施する。
6-2.現状調査に基づき、健康保険基金の持続性確保のため、未加入層に対する健康保険加入促進のための介入オプション(例:コミュニケーションツールの開発、研修教材開発等)を検討する。

成果7

健康保険システム改善のための戦略計画の策定

活動

7-1.成果1~6に関連するこれまでに実施した活動の中から、優良事例・教訓を取りまとめる。
7-2.健康保険システム改善のための戦略計画(戦略オプション及び提言含む)を検討する。

投入

日本側投入

・専門家派遣(総括/保健財政、健康保険制度、支払方式、健康保険IT、保険加入促進、保険数理分析、研修計画、財務分析/業務調整)
・本邦研修及び第三国研修
・プロジェクト事務所の資機材
・プロジェクト活動にかかる現地費用

相手国側投入

・カウンターパートの配置
・執務室の提供
・プロジェクトに関するデータ及び情報(地図や写真を含む)の提供
・その他プロジェクト実施に必要な経費
・効果的な調査実施に必要なファシリテーション